第25話


扉が開き1人のメガネをかけた男の人が入ってくる。


「マーカス様、お話は終わりましたか?」


「まだかかる、待ってくれ」


「まだやっていただきたい仕事がありますから、早めにお願いします」


「あぁ、あぁダイチ、宰相のムザナだ、ムザナ、商人のダイチだ」


「「よろしくお願いします」」


「全く、別に見つけ次第呼ばなくとも空いてる日に呼べばいいものを」


「そう言うなムザナ、私も少し楽しみにしていたのだ」


「はぁ、とにかく、早く帰ってきてくださいね」


そう言いムザナさんは出ていった。


「それで話を戻すが、その練習とやらを早くしようではないか」


「え?今ムザナさんに急かされていたじゃないですか」


「そんなのは後でいい!いいから外に行くぞ!」


えぇ…。


そのままマーカスさんに連れられ外に。


庭…なのか?広いなぁ。


「さて、では早くその練習とやらをさせてくれ」


「分かりました」


ラ・ヴェールを開き自転車を検索。


ママチャリ、これでいいか。


自転車(21600円)を購入。


「これは…なんだ?先ほどのバイクより小さく見えるが」


「これは自転車です。バイクは自動で動きますが、自転車は自分の足で漕いで進むものです」


「ふむ?これに乗る理由は?」


「バランスの感覚をつかむためですかね」


「バランス…では早速乗ってみよう、これはどうやってのるんだ?」


「こうやって跨って、それでこのペダルに足を置いて、こうです」


俺が自転車でマーカス様の周りをぐるぐると回る。


「おぉ、なるほど分かったぞ、次は私の番だな」


そう言いマーカス様が自転車に跨る。


そして足を地面から離した瞬間盛大にコケた。


「「「マーカス様!」」」


周りの騎士たちが一斉に集まってくる。


そしてマーカス様を立ち上がらせる。


うわ、高そうな服が少し汚れてる。


「貴様!なんてものをマーカス様に!」


「よせ!私が頼んだものだ、ダイチは何も悪くない」


騎士さんこわ、王様命かよ…いや、よく考えたら王様命は当たり前か。


「大丈夫ですか?マーカス様」


「あぁ大丈夫だ、なるほど、バランスを掴むとはこういうことか、これに乗れなければバイクには乗れないと」


「そうですね、自転車に乗れないのにバイクには乗れる、という人はいますがバランスは大事ですから」


「分かった、私は必ずやこの自転車を乗りこなして…!」


そのとき遠くから声が聞こえた。


「マーカス様!」


あれは…あ、ムザナさんだ。


ズンズンと近付いてくるムザナさん。


その顔は鬼そのものだ。


「マーカス様、私は用事が終わったらすぐに執務室に戻るように言いましたが?」


「う、わ、悪いムザナ、ダイチがどうしてもと言うから…」


あ、マーカス様俺のせいにしようと!


「そんなわけないでしょう!全く、王ともあろう方が他人のせいにするなど言語道断ですよ、さぁ執務室に戻りますよ」


「わ、私にはこの自転車を乗りこなすという使命が!」


そのままマーカス様はムザナさんに引き摺られていった。


「…王様って大変なんですね」


ダンガンさんにそう言う。


「まぁ、そうだな、この自転車俺も乗っていいか?バランスには自信があるんだ」


「いいですよ」


ダンガンさんも自転車に乗る。


そして盛大にコケる。


「くそっ、俺なら大丈夫かと思ったんだがな」


「その自転車あげるんで、マーカス様にも暇があったら乗って練習するように言ってあげてください」


「本当か!分かった、言っておこう」


そして俺は王城での用事が終わった?ので街に帰ることにした。

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