第24話

しばらく待っていると扉がバンッと開いた。


なんだなんだ?


「お?お前か?噂の商人は」


なんだか王様って言うよりも戦士って言葉が似合う人が来たな。


俺が立ち上がろうとすると。


「あぁいいいい、俺ぁそんなかしこまったこと好きじゃないからな」


「はぁ」


「俺はダンガンって言うんだ、この国の騎士団の総団長をやってる」


「総団長…?めちゃくちゃ偉い人じゃないですか…

あ、俺はダイチです」


「ははっ!まぁ肩書きは偉そうなものだが、俺はあんまりそういうの好きじゃないからな」


「ダンガンさんはなんでここに?」


「王が直接会いたいっていう噂の商人様を見に来たのさ、王はまだ執務中だと思うからもう少しかかるぜ」


「そうですか」


「で?ダイチはなんで王に呼ばれたんだ?」


「俺の売っている商品が珍しいからですかね?」


「そうなのか?今見せてくれるか?」


「いいですよ」


俺は収納袋から…いや、この人は騎士の総団長だから魔力の流れくらい見えるか。


ま、試しにやってみよう。


収納袋から取り出すフリをして収納から取り出す。


「お?収納スキルか?珍しいもん持ってんな」


やはりバレたか。


「分かりますか?」


「そりゃもちろんだ、魔力の流れが見えなきゃ騎士なんてやってられないからな」


ということは騎士全員見れるってことか。


「これがその珍しいと言われている商品です」


「ん?んん…確かに珍しいが、王が直々に呼ぶほどのものか?」


「まぁ…そうですよね」


「お前まだなんか隠してるだろ?」


「いえ、商品はそれだけですよ」


「そうか、まぁ王が来りゃそこら辺も分かるだろ」


その後ダンガンさんと雑談をしていると扉がコンコンとノックされた。


「お、王が来たみたいだな」


扉が開くと同時に俺とダンガンさんは立ち上がる。


「ん?ダンガンいたのか、良い、これは公の場ではないのだから座ってくれ」


そう言われ座る。


そして王様?も座ったところで挨拶が始まった。


「まずは初めまして、だな、私がルベル王国国王のマーカス・リリフラル・ルベルだ」


「初めまして、商人のダイチと言います」


「さて、ダイチのことはゼンフィールドの者から聞いている、それとこの王都に来るときにもな、噂になっていたぞ」


「来るとき?噂?」


「謎の乗り物が馬車よりも早い速度で王都に向かった、とな、ダイチだろう?」


マジか、マジで噂になっちゃったのか。


「えーっと、そうですね、俺です」


「あの謎の乗り物、今ここで出せるか?」


「ここでですか?」


いや確かにあのバイクを出せるほどこの部屋は広いけど。


「じゃあ出しますよ?」


「あぁ」


収納からバイクを出す。


「おぉこれか、その貴族たちが言っていた乗り物とは」


「バイクと言います」


「バイク…な、なぁダイチよ、私にも乗れるだろうか」


「え?乗る気ですか?」


「もちろんだ、気になって気になって仕方なかったのだ」


いきなりバイクは絶対に危ないよなぁ。


そうだ、自転車、自転車を出そう。その後に原付だな。


「練習してからならいいですよ」


「本当か!」


「ラ・ヴェールオープン」


「ん?それか?ダイチが使うという仕入れ先は」


「そうです、ラ・ヴェールと言って異世界の色々な物が売っています」


するとダンガンさんが話に入ってきた。


「王よ、発言しても?」


「先も言ったがこれは公の場ではないからな、好きにするといい」


「では、その乗り物はなんだ!?異世界ってなんだ!?ダイチ、お前は一体なんなんだ!?」


「ん?ダイチ、ダンガンに説明していなかったのか」


「えぇ、あとで分かるかな、と」


「ダンガン、ダイチはな、渡り人なのだよ」


「渡り人?あの文献に残っている?」


「らしいです」


「ダイチのギフトは異世界の物を購入出来るというギフトなのだよ」


「はぇー、なるほど、このバイクってやつも異世界のものなのか」


「そうです、あぁ王様」


「マーカスでいいぞ」


「では、マーカス様、実は1つ分かった、というか少し謎な部分があって」


「ほう?」


「このバイクなんですけど、本来はガソリンというものをエネルギーに動くんですけど、どうやら魔素で動いてるみたいなんです」


「なに!?それはつまり、そのバイクは魔道具ということか?」


「まぁ状況的に見てそうなりますね」


「ということはだぞ、それはこの世界でも作れるということか!?」


「それは分かりません。俺をこの世界に送りギフトを与えた何者かの手によってこうなってるとしたら、人間には出来ないかもしれませんし」


「ふむ、なるほど、確かにそれはそうだな、しかし、それが魔道具だと分かったのはいい報告だ」


そのとき部屋の扉がノックされた、また誰か来たのか?

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