第38話
カネダ商会を設立し半年が経った。
店も段々と落ち着いてきたし、そろそろ旅に出るのもいいかな。
ということで俺がいない間にこの店を任せる責任者を選ばなければ。
もう誰にするかは決めてあるんだが。
「みんな、ちょっといいか」
「「「はーい」」」
「実はな、店も落ち着いてきたし、そろそろ俺は旅に出ようかと思ってるんだ」
「えっ」
「ど、どういうことですかオーナー!」
「元々店なんかやらずに世界を見て回りたかったんだよ、ただマーカス様がどうしてもって言うからこの店を出しただけで」
「そうだったんですね…」
「ってことで、俺がいない間のこの店の責任者を決める、シエル、やってくれるか?」
「えっ私ですか?」
「あぁ、シエルは最初からこの店の悪いところを見つけて直してくれた、接客態度も良い、レジ打ちも早いし悪いところの指摘も的確だ」
「いいじゃないシエル、やってみたら?」
「そうだぜ、なんかあったら俺たちがフォローしてやるからよ」
「だそうだ、どうだ?やってくれるか?」
「…はい、分かりました。みんながそう言ってくれるなら私、やります!」
「良かった、じゃあ正式な契約書貰ってきたからサインしてくれ」
俺はシエルに契約書の紙を渡す。
それにサインをするシエル。
「これでシエルは正式にこの店の責任者になった。この店のこと、頼んだぞ」
「はい!」
そして営業終わり、シエルに俺の事、ラ・ヴェールのことについて教えることに。
シエルを俺の部屋に呼び出す。
コンコン。
「どうぞ」
「失礼します、お呼びですか、オーナー」
「あぁ、旅に出る前に伝えておかなきゃいけないことがあってな」
「はい」
「実はな、俺はこの世界の人間じゃないんだ」
「…………はい?」
「この世界では渡り人って言うらしいんだが、俺は別の世界の人間なんだ」
「…はぁ」
「信じてない?」
「信じてない、というかえっと、どういうことですか?」
「言った通りだ、この世界の人間じゃない、まぁ信じても信じなくても別にいいんだが、大事なのはこの店の仕入れだ」
「確かに、仕入れはいつの間にかオーナーが商品を持ってきていましたが、あの商品はどこから仕入れているんですか?」
「あれは俺のギフト、ラ・ヴェールから仕入れているんだ」
「ギフト?で仕入れ?」
「そう、俺のギフトは異世界の商品を購入出来るっていうギフトなんだ」
「異世界の商品…え、待ってください、そしたらこの店の商品はオーナーがいないと仕入れができない、ということになりませんか?」
「そういうことになるな」
「え、そしたらどうやって仕入れをするんですか?」
「そこはマーカス様に相談済みだから大丈夫」
「そ、そうですか」
「ま、渡り人とかギフトのことはあまり関係無いから忘れてくれても構わない、大事なのはこの店がちゃんと営業出来るかどうかだからな、呼び出して悪かった、戻っていいぞ」
「はい」
まぁいきなり「私はこの世界の人間じゃありません」なんて言っても信じるわけないか。
俺もいきなりこの世界に来たときはなんかのドッキリかと思ったしな。
言うことは言ったし、あとはマーカス様に特殊なアイテムバッグを貰うだけだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます