第39話

次の日、王城へ行き騎士さんに伝言を頼む。


「マーカス様に商会のことで話があると伝えてください」


「マーカス様…?王のことか、お前何者だ?」


「えっと、カネダ商会のダイチだと伝えてもらえれば分かると思います」


「カネダ商会…あぁ!あの商会のか、分かった、確かに伝えておく」


よかった、これでアポは取れた。




そして数日後、店に騎士さんが来た。


「王がお呼びです、こちらへどうぞ」


外には馬車が停まっていた。


え、今までこんな待遇じゃなかったけど?どういうことだ?


とりあえず、俺は馬車に乗り王城へと向かった。


そして通されるいつもの部屋。


そこにはすでにマーカス様がいた。


「こんにちはマーカス様」


「久しぶりだな、ダイチ、商会のほうはどうだ?」


「えぇ、最初は忙しかったですが、最近やっと落ち着いてきました」


「そうか、私も貴族たちに宣伝したからな、効果があってよかった、それで?話というのは?」


「そろそろ旅に出ようと思っていまして」


「…そうか、どこへ行くかは決まっているのか?」


「とりあえず隣国のガドゥル国に行こうかと」


「ガドゥルか、ガドゥルはいい国だぞ、我が王家とも親睦が深いしな」


「そうなんですね」


「だが、これから他の国を回るとしたらダダル国だけは気を付けろ、あの国は周りの国に戦争をふっかけたり、ほとんどの国では違法な一般奴隷が合法だったりとなにかと闇が深い国だからな」


「分かりました、気を付けます」


「では、約束通り宝物庫から例のアイテムバッグを持ってこさせよう」


そう言いマーカス様は部屋にいた騎士さんに命令する。


しばらくして騎士さんがアイテムバッグを2つ持ってきた。


「これが例のアイテムバッグだ、有意義に使ってくれ」


「…今更ですが、宝物庫にあったものなんですよね?こんなポンと渡していいんですか?」


「構わん構わん、置いておくだけで腐らせてしまうくらいなら使ってもらったほうがいいだろう、それに宝物庫の管理は王である私だからな」


「そうですか、それじゃあ遠慮なく貰っていきます」


「あぁ、だがくれぐれも盗まれたり、無くすことのないようにな」


「はい」


そうして王城を後にした。


店に戻りシエルにアイテムバッグの説明をする。


「なるほど、これで離れているオーナーから仕入れが出来るってことですね」


「そういうことだ、大丈夫そうか?」


「えぇ、任せてください」


その後シエルに仕入れるものは紙に書いてアイテムバッグに入れること。きちんと従業員の給金を払うこと。売上は給金とローンを引いた上でアイテムバッグに入れること。1番重要なことである無くさないことを伝えた。


出発は1週間後、それまではシエルが責任者としてちゃんと出来るか確認する。


仕入れもアイテムバッグからだ。


そして1週間、特に問題は無かったので出発することに。


「気を付けてくださいね、オーナー」


「また戻ってくるんですよね?」


「あぁ、何事もなければ戻ってくる予定だ」


「お店のことはお任せください」


「頼んだぞ、シエル、じゃあな」


「「「いってらっしゃーい!」」」


こうして俺のこの世界を巡る旅が始まった。

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