第40話

王都の外へ行き、しばらくして収納を開く。


「久しぶりだな、相棒」


収納から大型バイクを出す。


さて!久しぶりの旅だ!店のことは任せたし、お金もそこそこある。特に心配することはないかな。


バイクに乗り出発する。


隣国、ガドゥルに行くには王都を出発し、リドル領、カナラ領、メルベナ領と通っていく必要がある。


バイクでどのくらいかな?馬車で隣国の国境までは2週間かからないくらいとは言ってたけど。


3時間走り、休憩、3時間走り、休憩、更に3時間走ると街が見えてきた。


馬車だと2.3日かかるって聞いてたけど、やっぱりバイクは早いなぁ。


時刻は夕方の6時になる頃。


まずは宿探し、適当に見つけたところで宿を取る。


しばらく街に留まって露店を開くのもいいかな、別に急ぐ旅でもないんだし。


ということで宿を20日取ることに。


そして次の日、念の為商業ギルドへ行き露店を出す際に許可がいるかを聞く。


「いえ、特に許可はいりませんよ」


とのことだったのでそのまま露店を出しに行く。


空いてるところを探し屋台を出す。


そしてお客さんを待つ。


しばらくするとお客さんが一人来た。


「あら?この商品…王都で噂のカネダ商会のものでは?」


噂、こんなところにまで流れてきてたのか。


「よくお気付きで、私カネダ商会のオーナーをしています、ダイチと言います、20日ほどこの街に滞在するのでよろしくお願いします」


「あらそうなの!あなたの店の商品、どれもいいものだって聞いてたから欲しかったのよ、じゃあこの食器とコップ、スプーンとフォークと…あら?これは石鹸かしら?」


「はい、身体用と髪用の石鹸です。1つ2万ダルで売っています」


「2万ダル…ちょっとお高いけど買えない値段ではないわね…少し待っててちょうだい、家からお金取ってきます」


そう言ってお金を取りに行った。


しばらくしてさっきの人が帰ってきた。たくさんの人を連れて。


「ここよここ!王都で噂のカネダ商会のオーナーさんの露店、オーナーさんごめんなさいねたくさん連れてきちゃって」


「いえいえ、商品が売れるのは商人にとって喜ばしいことですから」


そこからしばらくは忙しかった、人だかりがあると人は気になって近づくので人が人を呼ぶ。


商品は売り切れないようにまとめて買っておいたので心配ないが、とにかく忙しかった。


「ありがとうございましたー」


そうして忙しい時間が過ぎた。


やっぱり人の噂とか口コミって侮れないな。


次の日からも露店を出す。


初日のあの忙しさはないが、ちょこちょことお客さんが来てくれる。


お金は王都で半年店を出した際の利益が800万ダルほどあるのでまだ心配はない。


ただ最近は売上が落ちてたんだよなぁ、洗剤もこっちで詰め替えをするからボトルの売上もあんまりだし。


何か他の、ドカンと一撃儲けられるものか、毎日必要な、それこそ食材を売ることが出来たら…。


でもなぁ、うちは雑貨屋のイメージが付いちゃってるから今更厳しいよなぁ。


他の店舗を出してそっちを八百屋というか、食材専門店にするか?


でも今更王都に戻るのもなぁ。


俺の代わりに誰かやってくれたら…シエルやってくれるかな?


いやでも仕入れが問題か、うーん、とりあえず今は雑貨屋として考えよう。




街に来て2週間が経った頃、露店にメイドさんが来た。


これは…。


「失礼、少し質問をよろしいでしょうか」


「はい、どうぞ」


「こちらはカネダ商会の露店で間違いないでしょうか」


「はい、そうです」


「ではあなたがオーナーのダイチ様であっていますか」


「はい、俺がダイチです」


「そうですか、領主様よりこちらの露店の主人がダイチ様だった場合連れてくるようにと言われておりまして」


はい、またお偉いさんからの呼び出しです。


もう慣れましたよ。


「分かりました、今片付けますね」


「お忙しいところすみません」


屋台を収納にしまい領主邸へと向かう。


お、馬車が用意されている。


これだけでいい領主さんだって思うのは早いかもしれないけど、少なくとも悪い人ではなさそう。


そして領主邸に着いた。


さて、ここの領主さんはどんな人かな。

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