第41話
部屋に通されしばらく待っていると扉が開いた。
男の人と女の人だ。
「やぁ初めまして、私がここの領主、サウス・リドル、そしてこちらが私の妻のメリー・リドルだ」
「初めまして」
「初めまして、ダイチです」
「さて、君を呼んだのは他でもない、カネダ商会の主人である君から直接買い物をと思ってね」
「そうですか」
…ん?直接?なんか俺のラ・ヴェールのこと知ってるみたいな言い方だな。
「君のことは聞いているよ、王であるマーカス様に目をかけられて、商会を開き、他にはない商品で貴族たちの心を掴んでいると」
「まぁそうですね」
「なんでも、異世界の商品を購入出来る力があるとか」
驚いた、やっぱり知ってたか。
「どこでその情報を?」
「なに、貴族たちの間ではすでに結構有名な話なだけだ、情報源はアレスという貴族だが、聞き覚えは無いか?」
「あー、アレスさんですか」
「やはり、会っていたか、アレスは冒険者上がりの貴族だからな、色々と探られただろう?」
「そうですね、アレスさんにはほとんど見抜かれてしまいました」
「それで、アレスの妻が購入したというダイヤモンドのネックレス、あれが私たちも欲しいのだが」
「ダイヤのネックレスですか、いいですよ、いくら出せますか?」
「アレスはいくら出したのだ?」
「500万ダルですね」
「そうか、では私は800万ダル出そう、いい物を選んでくれ」
「分かりました」
うぅ、めちゃくちゃプレッシャーだなぁ。
とりあえずダイヤのネックレスで検索。
アレスさんの奥さんには13万くらいのネックレスだったから、30万くらいのネックレスで更に検索。
ここからは俺のセンスの問題だ、どれにしようかな…。
…ど、れ、に、し、よ、う、か、な。よし、これにしよう。
最後は神頼みにしました。
購入し、渡す。
「これはどうでしょうか」
「あら、とってもいいわね、これがダイヤモンド…身に付けるのは初めてですわ」
「私もダイヤモンドなど見るのは久しぶりすぎて…」
どうやら気に入ってくれたようだ。
「どうですか?800万ダルの価値はありそうですか?」
「えぇ、もちろんですわ、気に入りました」
「妻もこう言っているので約束通り800万ダルでこれを買おう」
サウスさんがパンパンと手を叩くと執事さんが扉から箱を持って現れた。
そして箱を開くと金貨が10枚、久しぶりに見るな金貨。
「では金貨8枚、800万ダルで取引成立ということで」
「はい、確かに受け取りました」
このとき俺は思った。
そうだ、店でアクセサリーを売ればもっと利益が出るんじゃないか?と。
今夜アイテムバッグにアクセサリー数種類入れて店に出すように手紙に書いておこう。
「それでは、急に呼び出してすまなかったね、この街にはまだしばらくいるのか?」
「あと6日ほどいます、そのあとはガドゥル国に向けて出発します」
「ガドゥルか、君の旅が無事に終わるように祈っているよ」
「はい」
そうして俺は領主邸を後にした。
ここの領主さんはいい人で良かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます