第34話

今日のところはこれでお開き、明日からレジの使い方、商品の確認、接客の練習をしてもらう。


そして次の日、まずは商品の確認をしてもらう。


俺は従業員が来る前に店のテーブルの上に商品を置いていく。


全員が集まり商品の説明をしていく。


全員が商品1つ1つの値段に驚く。


まぁ貴族向けと言える値段だからな。


平民がちょっと贅沢をして買うような値段だ。


そう考えると露店のときにこの商品を手に入れた人はラッキーだな、壊れてたりしたら知らないけど。


そして液状石鹸の説明をしたとき、住み込みの人たちが驚いた。


「これってここのお風呂場にあったやつですよね?」


「ん?あぁそうだけど?」


「え、あの、私普通に使っちゃったんですけど…」


「あぁいいのいいの、あれは実際に使ってどうなのかお客さんに説明するためにまずは自分で使ってってことで置いてあるから」


すると住み込み以外の人から熱い視線を感じた。


「あー、分かった、1本ずつ渡すからどうだったのかちゃんとお客さんに説明してね、詰め替えはお金取るから」


歓喜の声が聞こえる。


その後はレジの使い方をみっちり教えた。


大半の人は覚えが良く、1日でどうにか使いこなせていた。


残りの人はまだこれからって感じだ。


次の日からもレジの使い方、商品の説明、接客などを教えていく。


そして名札のことなのだが、お互いの名前もまだ把握しきれていないので助かると言われた。


のでネームプレート(50枚セット2000円)を買い全員に渡す。


ここでようやく全員の名前が分かった。


まず男性4人。


元冒険者で妻を亡くし子供と一緒にいる時間を増やすために応募してきたリングス、26歳。


元冒険者で怪我のため王都内での仕事を探していたカザル、21歳。


孤児院育ちで成人したため住み込みの仕事を探していたザリュス、15歳。


兄弟姉妹が多いため家族に負担をかけないために住み込みの仕事を探していたダグ、18歳。


次に女性6人。


子供を養うために夫の収益だけで足りないため応募してきたカルナ、23歳。ナナ、22歳。アイリ、20歳。エリス、19歳。


ザリュスと同じく、孤児院育ちで住み込みの仕事を探していたべレナ、16歳。


両親を事故で亡くしローンを払えなくなり家を売ったので住み込みの仕事を探していたシエル、17歳。


以上がカネダ商会のメンバーである。


全員の名前も分かったところでそろそろ商品を並べていく。


前並べたときのように並べていくとシエルから声をかけられた。


「あの、本気でそういう風に売るんですか?」


「え?そうだけど、なんか変?」


「変というか、もうちょっとやり方があるというか」


「じゃあやって見せてくれる?」


「はい」


するとテキパキと商品を並べていくシエル。


俺は適当に置いていっただけだけど、シエルはきちんと商品別に並べていく。


「この箱も、もっとなにかいいものありませんか?」


「え、あ、はい」


洗濯バサミを入れていたダンボールにもダメ出しをくらった。


収納ボックス(940円)を…いくつ買えばいいんだ?


とりあえず5つほど買っておく。


それをシエルに渡す。


「これでいい?」


「はい、ありがとうございます、これどこから持ってきたんですか?」


「え?あぁ」


うーん、従業員には俺のギフトについて話すべきか?


いやまだ早いかな。もう少ししてから教えよう。


「たまたまあったやつを持ってきたんだ」


「そうなんですね、そういえばこの店って仕入れはどうするんですか?」


「仕入れに関しては俺が全部やるから問題無いよ」


「…そうですか」


シエルはなんかアレスさんと似たような鋭さがあるな。


なんか、バレてるけど言わないの?感がすごい。


とりあえずバレてないと思って接しよう。


その後もシエルの指示の元、従業員総出で商品を並べていく。


するとなんということでしょう。


俺が並べたときよりも綺麗になっている。


商品棚はボディソープ、シャンプー、トリートメント、コンディショナーとしっかり分けられ、綺麗に整頓されています。


食器、スプーンフォークも綺麗に並べられ、本当にどこかの店かと思うくらいです。


いや店なんだけど。


とにかく、俺が並べるよりも全然綺麗です、恐れ入りました。


「ありがとうシエル、俺だけだったらとんでもないことになってたと思うわ」


「これくらい出来て当然です」


あ、はい、出来なくてごめんなさい。

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