第35話
そんなこんなで開店前日になった。
最後の確認をする。
食器類は壊れるまで使われるので問題無いだろうが、液状石鹸と洗剤はボトルが捨てられると困る、ので使い終わったボトルを持ってきてもらえれば洗剤は2万ダル、液状石鹸は5万ダルで詰め替えをすることにした。これも店員の仕事になる。
ティッシュの箱やトイレットペーパーの芯は燃やせばいいのでそこら辺は紙ゴミと一緒だな。
他に何か問題点はあったかな…。
そうだ、値段表を置かなきゃ。
値段表示プレート(10個入り860円)を10個ほど購入し、従業員に値段を書いて商品の前に立てるように言う。
よし、これで準備はいいかな。
明日はとりあえず全員に店にいてもらうようにした。
明後日から客足次第で人数を調整して、出来れば1週間に1日は定休日を設けたいなぁ。
そんなことを思いながら外に出て店の外観を見たとき、何か足りないなと思った。
なんか…なん…看板!看板が無い!
これは一大事だ、と思ったが慌てることはない。
ラ・ヴェールで看板と検索し、出てきた立て看板(4800円)を購入、そこに「カネダ商会」と書き、立てる、これだけで立派な店に…見えないな、うん。
俺はそのまま商業ギルドへ行き、看板の事をマリアさんに話した。
「看板ですか、ですが看板を作成する余裕はあるのですか?」
「看板ってどのくらいかかります?」
「安く見積っても設置費用なども込みで30万ダルほどはするかと」
意外とするんだなぁ。
「それでも店の顔ですから、しないわけにはいかないです」
「そうですか、分かりました、それでしたら工業ギルドに行って見積もりを出してもらってください」
「分かりました」
工業ギルド、そんなところがあるのか。
俺はその足で工業ギルドへ。
商業ギルドから歩いて5分ほどのところだった。
受付嬢に声をかける。
「こんにちは、ここで看板の作成、設置依頼をしたいんだけど」
「看板の作成設置ですね、少々お待ちください」
すると受付嬢が本をペラペラとめくる。
「今空いているのはヨロズさんのところですね、地図を渡すので行ってみてください」
そう言われ地図を渡された。
王都の大雑把な地図、その地図に赤い丸がされていた。
ここがさっき言ってたヨロズさんってところの工房なのかな?
早速行ってみる。
歩いて20分、着いたのはまさに工房と呼べる場所だった。
カンカンと何かを打つ音が聞こえる。
俺はその工房へ入る。
「こんにちはー」
すると女の人が1人出てきた。
「はいはい、どうかしましたか?」
「ここで看板の作成と設置依頼が出来るって聞いたんだけど」
「はいはい、やってますよ、あんたー!お客さんだよ!」
すると奥から髭がもじゃもじゃのおっさんが出てきた。
「なんだぁ?依頼か?」
「はい、看板を作ってほしくて」
「ほいじゃあまずは設計図からだな」
横にあった紙をバンと広げる。
「どんな看板がいいんだ?」
「商会なんで、きっちりしたやつがいいですね」
「商会…きっちり…」
するとサラサラと図を書き始める。
10分後。
「こんな感じでどうだ?」
「いいですね!ここにカネダ商会って書いてもらえます?」
「カネダ商会ね、こんな感じか?」
「いいですね、じゃあこれで作ってもらえますか?」
「…本当にこれでいいのか?」
「え?なんかダメですか?」
「いや、こんなあっさり決めるやつ初めてだからよ、どいつもこいつもあれがダメこれがダメってうるさくてうるさくて」
「俺は職人さんの腕を信じて全部任せてもいいと思ってますから」
嘘です、ただとりあえず看板があればいいと思っているだけです。
「へっ、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか、待ってろ1週間で出来るからよ」
「お願いします、あ、店の場所は…ここです」
さっきの地図を使って場所を示す。
「貴族街の近くか、分かった、完成したら連絡するから待ってろ」
「お願いします」
よし、看板は何とかなりそうだ。
あとは明日の営業がどうなるかだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます