第33話
面接は普通なら1人ずつ行うようなのだが、人数が多いので5人ずつ面接することに。
部屋の外でマリアさんが列を整理してくれている。
「それでは5名の方、どうぞ」
そう言うと部屋の中に5人の男女が入ってきた。
そして俺の前にある5つの椅子にそれぞれ座る。
「それでは向かって右側の人からお名前をお願いします」
こうして面接が始まった。
俺が聞いたのは、名前と年齢、なぜ応募したのか程度だ。
意外にも給金が高いからや住み込みで働けるからなど、裏のない答えが多かった。
俺だったら「こういうところで働いてみたかった」とか「企業理念に共感したから」とか媚びる答えを出しそうだ。
たまに「楽そうだから」という答えが出てきたが、恐らく楽出来ないぞ俺の職場は。
そうして2時間かけて面接が終わった。
面接の途中で「待ち時間が長すぎる」と帰ってしまった人が5人ほどいた。
そういうやつはきっとどこに行っても文句ばっかりで成長しないんだろうな。
53人の面接を終え、誰を雇うのかを決めなければならない。
まぁ俺の中ではもう10人ほど雇おうと思っている人は決まっているのだが。
しかし、いきなり10人か、大丈夫かな?
商品は売れると思うが、人を育成するのは得意じゃないんだよなぁ。
やってみてダメだったらごめんなさいすればいいか。
ということで決めていた10人を呼び出す。
「ここに呼ばれた方は合格です、これからよろしくお願いします」
言うと安堵の声や喜びの声が聞こえる。
男4人女6人、この人たちを交代制で働かせる。
名前は…名札でも付けてもらおうかな。
この世界が個人情報にうるさくなければだけど。
「この中で住み込みで働きたいという人は?」
そう言うと男2人女2人が手を挙げた。
住み込みの理由は家族に負担をかけないようにとか、家賃が払えなくて困っていたとかだった気がする。
「じゃあさっそく店に行こうか」
10人を引き連れて店へと向かう。
「ここがこれから皆が働く店になる」
すると1人、女の人が声をかけてきた。
「ここは貴族街に近いようですが、貴族を相手に商売をするのですか?」
「まぁそうなるだろうね」
「そうですか、分かりました」
やはり貴族相手というのは緊張するのだろうか。
「店の中はまだ未完成だけど、とりあえず見るだけ見ていって」
そう言い鍵を開ける。
ぞろぞろと店の中に入っていく。
「まだ商品とかは置いてないけど、とりあえずどんな感じなのか見ていってね、で、住み込みの人はこっち」
住み込みの4人を上の階に案内する。
「2階3階が従業員用の部屋になってるから、2階の角部屋は俺の部屋だから、他の部屋で好きなところにしてね」
ついでにと思いラ・ヴェールで手書き出来るルームプレート(1280円)を購入し渡す。
下の階に行くとさっき質問してきた女の人がまた質問をしてくる。
「広さに対して商品を置く場所が少なくありませんか?」
「そう…かな?まぁ必要だったらまた足すだけだから」
「そうですか、開店はいつ頃の予定で?」
「そうだね、君たちの商品の覚え次第だけど、1週間後かな」
「分かりました」
この人、なかなかやり手なのかな?すっごいきちんとしてる。
その後、上の階から4人が降りてきたのでレジスターの使い方を教える。
全員、レジスターに驚いていた。
計算機の魔道具ってそんなに高いのかな?
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