第58話
「え?なんでジオーネの王様がここに?」
「なに、最近ルベルで珍しいものを売る商会が出来たって話を聞いたからどんなものかとお忍びで様子を見にな」
お忍びなのに王様ってバラしていいのか、まぁもうジオーネの中だしいいのか?
「あー、もしかしてカネダ商会ってところですか」
「お?やはり知っておるか」
「知ってるも何も俺がそのカネダ商会のオーナーですから」
「なに!?それは本当か!?ということはその乗り物も売っているのか!?」
「いえ、売ってはいません、けどルベルのマーカス王には買っていただいてるので」
「わし!わしも買う!いくらだ!」
「ま、まぁまぁ、少し落ち着いてください」
「む、そ、そうだな」
「とりあえず、王都まで帰るんですよね?」
「そうだな」
「じゃあ王都に戻ったらバイク出しますよ」
「ほ、本当だな!?それは分解して調べてもいいんだな!?」
「えぇ、陛下が買ったものなら自由にしていいですよ」
ダガ陛下がガッツポーズをする。
「そういえば名前を聞いていなかったな」
「あ、言ってませんでしたね、ダイチです、よろしくお願いします」
「ダイチだな、よろしく頼む、ところで他にも面白そうな魔道具は無いのか?」
「ありますよ、掃除機に洗濯機にレンジ、ドライヤーにミキサーに扇風機…」
「どれも聞いたことがないな…それらを見せてくれるか?」
「買っていただけるなら」
「よし買おう!」
「では王都でまた会いましょう」
「一緒に行かないのか?」
「え?一緒に行っていいんですか?」
「もちろんだ!一緒に行こう!というより面白い話を聞かせてくれ!」
ということでダガ陛下と一緒に王都へ向かうことに。
馬車の中で俺がこの世界ではない、異世界の人間だということを話すと驚いていた。
そしてギフト、異世界の商品を取り寄せる、買えるギフトと話すと羨ましそうに俺をじーっと見てくる。
おっさんにそんな見つめられても嬉しくないんだが…。
そして1週間ほどかけて王都に着いた。
「おぉ…」
「ジオーネの王都を見るのは初めてか?」
「えぇ、入国したのもこの前でしたから」
「そうかそうか」
街並みをボーッと見ていると王城に着いたようだ。
到着すると同時に1人の獣人が近寄ってきた。
すごくいい笑顔をしている。
「陛下、お帰りなさいませ」
「お、おぉ、ただいま戻ったぞヤーン」
「私に内密でお出かけなど、さぞ楽しかったことでしょうな」
あ、この笑顔は怖い方の笑顔だ。
「な、内密ってそんな…ちゃんと置き手紙はしていただろう?」
「置き手紙?あぁ、「出掛ける」とだけ書かれてあったあの紙ですか、陛下、ぶっ飛ばしますよ?」
「すすすすすまん!この通り!」
おぉ、1番偉いはずなのに頭下げとる。
「はぁ、お客の前なのですから少しは威厳を保ってください、すみませんこんな王様で。私は宰相のヤーンといいます、見ての通り犬獣人です」
「初めまして、カネダ商会というところのオーナーをしています、ダイチです」
「カネダ商会…例の珍しいものを売っている商会ですね、陛下に出くわすとは不運なことで…」
「おいおい、そこまで言うか!?」
「言います、折角作った魔道具を分解された職人の顔を見たことがありますか?」
「ぐっ…そ、それは…」
「とりあえず、ダイチさん、案内します、どうぞこちらへ」
「あ、はい」
そのまま王城の部屋へと通された。
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