第57話

久しぶりに相棒を収納から取り出し、出発。


チェイス領の街までノンストップだ。


途中、盗賊のような人たちが茂みから出てきたが無視して通り過ぎる。


チェイス領、ファントム領、ズィーク領、それぞれで20日ほど滞在、露店を開き商品を売った。


どの領でも領主に会うイベントは起こらなかった。


そして国境を越え、ジオーネ王国に辿り着いた。


ジオーネ王国は他のどの国よりも亜人種に寛容らしく、国境付近で亜人の姿をよく見かけた。


特に多いのがドワーフ、やはり魔道国というだけあって物作りに強い人が集まるのだろうか。


ジオーネ側の駐屯所で国の大まかな地図をゲット。


王都まではイースティン領、ハバル領、カスティエ領、ユークス領と通るようだ。


さて、では相棒を取り出し出発…しようと思ったのだが。


「ちょ、ちょっと待ってくれそこの君!」


「…」


「君!そこの黒髪の君だよ!」


「…あ、俺?」


「そう!そうだよ!それはなんだ?乗り物なのか?」


そう声を掛けてきたのはドワーフらしき人。


「えぇ、俺の持っている移動手段、乗り物ですけど、なにか?」


「それはどこで手に入れたんだ?」


「どこと言われましても…」


困ったなぁ。どうやって切り抜けよう。


…まぁでも隠す事でもないし、いいか。


「俺のギフトによるものですね」


「ギフト…ギフトかぁ…そうか、それはもうひとつ出せないのか?」


「出せないことはないですけど、先にこの国の王様にでも、と思って」


「!そうか!なら早く見せてくれ!」


「え?」


するとそのドワーフの後ろからもう1人、エルフだろうか、やってきた。


「やっと見つけましたよダガ陛下!なにやってるんですか!」


「へ、陛下?」


「おぉ、言い忘れていたな、俺の名前はダガ・スーラ・ジオーネ、ジオーネ王国の王だ」


「へ?え?ええぇぇぇぇぇぇぇ!?」

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