第44話

近づくとどうやら馬車が魔物に襲われているようだった。


どうしよう、俺戦えないんだけど。


今までも魔物に遭遇することはあった。


しかし、バイクのスピードを上げれば素通り出来るので、後の人たちには悪いがいつも無視させてもらっていた。


しかし、今回ばかりは無視出来なさそうだ。


武器といえば、コンパウンドボウが売ってたはずだ。


検索すると…あった、おもちゃのコンパウンドボウからちゃんとしたものまで様々だ。


俺が今1番欲しいのはちゃんとしたやつ。


コンパウンドボウ(85000円)と矢(12本 10500円)を3つほど購入。


よし、戦う準備は出来た…けどちょっとまだ腰が引けてるな。


最悪バイクで逃げればいいし、大丈夫、行くぞ!


コンパウンドボウの説明書をさらっと読む。


なるほど、矢をセットしてこのリリーサーって呼ばれるものを付けてトリガーを押せば矢が発射されるのね。


早速試してみる。


矢をセット、リリーサーを付けて、引いて、照準を合わせて…トリガーを押す!


すると矢がヒュンッと飛んでいった、が当たることはなかった。


なるほど、なかなか難しいな。


外れたおかげで魔物に気付かれることはなかった。


しかし、次は当てないと。


同じように撃つ、すると魔物に当たった。


よっしゃ!


発射音が小さいためか、戦闘音が大きいのか、気付かれていない。


よし、この調子でガンガン当てるぞ!




買った弓矢全てを使って魔物を倒した。


ふぅ、なんとかなったか。


矢はもったいないから回収しよう。


馬車に近づく。


生き残ったのは…女の人が1人だけか、馬車の中の隅にいたようで、魔物に襲われなかったようだ。


俺は魔物に刺さった弓矢を回収していく。


…いや?魔物ごと回収すればいいか、途中で路線変更、魔物ごと回収していく。


収納のリストには弓矢と魔物と別れて表示された。


うん、やっぱり魔物ごと回収してよかったな。


あとはこの馬車だけど、どうなるのかな?


冒険者らしい格好の男が3人いたが、全員死んでいた。


他に男が2人、女が3人、もう少し早く戦いに参加していたらと思うが、仕方の無いことだ。


生き残った女の人に声をかける。


「魔物は全部倒したよ」


女の人は答えない、ブルブル震えたままだ。


うーん、どうしたものか。


「答えないならこのまま置いて行くよ?」


「…あ…ほ、本当に魔物はいないんですか?」


「あぁ、全て倒した」


「あ、ありがとうございます…」


「生き残ったのはあなただけだから、良かったらこの先の街まで送るよ」


「…お願いします」


俺はラ・ヴェールから安いヘルメット(2000円)を買い女の人に被るように言う。


「じゃあ後ろに乗って、ちゃんと捕まってないと落ちるからね」


「は、はい…」


そして街に向けて出発。


4時間ほどすると街が見えてきた。


「すごい…こんなに早く…」


そして門兵さんに途中で馬車が襲われて死人がいることを伝えた。


すると、後で現場確認に行く、報告ありがとうと言われた。


そしてその街で女の人と別れた。


こういうときって、その女の人がすごく有名か貴族の人で、お礼をってなるはずなんだけどなぁ。


まぁ別にお礼なんて求めてないし、いいか。

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