第55話

寝ながら考えたが、次はジオーネ王国、別名魔道王国に行こうと思った。


その名の通り、魔道具の研究がされている国で日々いろんな魔道具が作られ、出荷されている。


火を起こす魔道具、水を浄化する魔道具、液体から不純物を取り除く魔道具、時を知らせる魔道具。


色んな魔道具があるが、俺の世界の家電のように物を温める、冷やす魔道具、物を粉々にし、液状にする魔道具、髪を乾かす魔道具などなど、まだ無いものもある。


これらを見せてもしこの世界の素材で作れたのなら、面白いことになりそうだ。


でもしばらくはここで休もう。


旅の疲れもあるし、ゆっくりしたい。


王都を見て回ろうと思い部屋から出る。


店から出るとき、警備の仕事をしている冒険者に挨拶をして…この人たちの依頼料ってどこから出てるんだ?


戻ってシエルに確認すると、なんとシエルのポケットマネーから出ていると。


店のことなんだから店の売上金から出しなさい、と言っておいた。


その後、王都を見て回った。


うん、特に変わったところはないかな。


少し変わったところがあるとするなら、たまにすごくいい匂いをさせる女の人がいること。


うちの商品かな。


道行く男の人たちほぼ全員目が釘付けだ。


奮発して買ったのかな、まいどありです。


店に戻り閉店作業を一緒にして帰る従業員を見送る。


そんな日々を送ること1週間、店に騎士さんがやってきた。


「王がお呼びです、こちらへどうぞ」


外には馬車が。


またなにかあったのかな。


王城につき部屋へと通される。


そこにはなんだか不機嫌そうなマーカス様がいた。


「えっと、こんにちは…?」


「久しぶりだなダイチよ」


「あの、俺なんかしましたっけ?」


「なにもしてないから怒っているのだ!」


「えぇ…」


「戻ってきたのなら私に顔を見せるくらいしたらどうなのだ!ダイチが来るのを待っていたのだぞ!」


そんな恋する乙女みたいなこと言わないでくださいよ、とは言わずに。


「すみませんでした、まさか待っていただいているとは思っていなくて」


「…まぁよい、ガドゥルはどうだった?」


「まぁ問題はありましたが楽しかったですよ」


「そうか、ガゼルは元気そうだったか?」


「えぇ、カネダ商会の2号店を置きたかったみたいですけど、仕入れの関係で諦めざるを得ませんでしたが、元気でしたよ」


「そうか、我が国はあの特殊なアイテムバッグがあったからなんとか商会を開くことが出来たが、それが無ければどこかから輸入するしかないからな、そうすると値段が跳ね上がる。それでもいいと言うのなら無理やりにでも開くのだが…まぁ厳しいだろうな」


「そうですね、なんとか出来たら良かったんですけど…」


「仕方の無いことさ、だが王家に商品は売ってきたのだろう?」


「えぇ、それはもちろん」


「今はそれだけで大丈夫さ、そのうち解決策を向こうが出すだろう」


だといいんだけど。

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