第54話

「ダイチはルベルで商会を開いていると聞いたが、商品はどうやって仕入れているんだ?まさか転移の魔法が使えるわけではないだろう?」


「特殊なアイテムバッグをマーカス様からいただきまして、それで仕入れをしています」


「特殊な…あぁ、あれか、確かにあのアイテムバッグなら仕入れが出来るな、うーむ、うちの国でも商会、2号店を出してもらおうと思ったのだが、仕入れがやはり問題か…」


「ルベルから輸入するんじゃダメなんですか?」


「ルベルの王都からここまでは1月、いやもしかしたら2月近くかかるかもしれん、その間の配送料や護衛料を考えると、ルベルで売っている値段の1.5倍から2倍近くで売らないと利益が出ない」


「そうなると難しいですね…」


「あぁ、だからカネダ商会は諦めようと思っている」


「そうですか、こちらとしてはお手伝いしたかったんですけど、1つの国にそう長くは滞在しませんから」


「あぁ、ダイチの意思を尊重するよ」


「すみません、ありがとうございます」


と、話が終わったところでアンデルセンさんが戻ってきた。


「こちら、代金になります」


「はい、確かに」


そうして俺はガゼル様と別れた。


さてと、それじゃあ1度ルベルの商会に戻ってみんなに会おうかな。


俺はルベルへ帰るときに寄る各街で10日ほど滞在し、商品を売りながら帰った。


そして2ヶ月かけて国境まで帰ってきた。


国境を抜けルベル王国へと帰ってくる。


ルベルの王都までは直行だ。


途中、何度か魔物に出会ったがスルー、バイクの速さについてこれる魔物がいなくて良かった。


やっとのことで王都についた。


うーん、久しぶりに帰ってきたけど、変わらないなぁ。


まぁ変わっていたらそれはそれで困るんだけどね。


さて、カネダ商会、というか俺の家に帰るか。




「いらっしゃいま…あれ!?オーナー!」


「ただいまー、みんな元気してた?」


「え?オーナー?」


「本当だ!オーナー帰ってきたんだ!」


閉店してからみんなにガドゥルであった事を話した。


逆にここであったことも聞いた。


なんと、俺が出かけたあとに貴族がまたやって来たそうだ。


なんでも私は偉いから無料でそれを渡せと。


しかし、そんなことは出来ないと断るとガラの悪いやつらに店を荒らされてしまったと。


そんなことをされては黙っていれず、冒険者を雇って警備をさせたそう。


あぁ、だから外に武器を持った人がいるのか。


その後、しびれを切らせた貴族がまたやって来て色々と文句を言ったそう。


しかし、たまたまそこに王家の使用人とその荷物持ちで騎士たちが来ており、速攻取り押さえられてマーカス様の元へ連れていかれたそう。


その後どうなったかは知らないと。


そんなことがあったのか。


「大変だったね、みんな大丈夫だった?」


「えぇ、まさか王家と繋がりのあるこのお店にそんなことをするなんて思ってもいませんでした、さすがに頭が悪いというかなんというか…」


みんなの中ではもう笑い話のようだ。


しかし、ちゃんと営業できてて良かった。


いやまぁ毎日売上金を見てるから分かってはいるんだけどね。


さて、今日は自分の部屋で寝て、明日はどうしよう、次はどの国に行こうかな。

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