第12話

品物を置くとすぐに1人、女の人がやってきた。


「いらっしゃいませ」


「少し見てもいいかしら?」


「えぇどうぞ」


食器を手に取り見始める。


「とてもいい食器ですね、柄も私好みです。いくらですか?」


「1つ800ダル、3点セットで2000ダルになります」


「なら3セットいただこうかしら」


「では6000ダルになります」


「あとこちらのスプーンとフォークも3セットいただこうかしら」


「そちらは1セット500ダルなので1500ダル、合わせて7500ダルになります」


「じゃあ、はい」


半銀貨7枚と銅貨5枚を貰う。


「それではどうぞ、ありがとうございました」


女の人は持っていたカゴに品物を入れて去っていった。


早速売れたな、この調子で他のも売れるといいな。


と思っていたら次のお客さんも来た。


「いらっしゃいませ」


「こんにちわ、こちらの商品はなんですか?」


「そちらは洗濯バサミといって、竿にかけた洗濯物が飛ばされないように挟むものになります」


「そうなの、よく出来ていますね、どちらで作られているのですか?」


「私も仕入れてるだけなので、製造元や製造方法はなんとも…」


「あらそうなのね、この洗濯バサミ、20個ほどいただいても?」


「1つ100ダルなので2000ダルになります」


「100ダル?こんなにいいものなのに安いのね、ありがたいわ」


そう言いながら半銀貨2枚を渡される。


「ありがとうございました」


「また来るわね」


露店を出して10分も経たずにもう1万ダルほど売れた。


仕入れ値は21500円だからまだまだ足りないけど、この調子ならすぐに儲けが出そうだ。




と思っていたのは数時間前のこと。


来たお客さんはあの後2人だけ、コップが4つと洗濯バサミが30個だけ売れた。


周りの店が閉めていくのを見て俺も店を閉めた。


今日の売上は14100ダル、今日1日だけなら赤字だ。


売れ残った商品を収納にしまう。


屋台を崩そうと思ったが、ふとこのまま収納出来るのではと思いやってみたら出来た。


この収納スキル、大きさとか関係ないのか?


まぁ今後収納のことは考えるとして、今日の反省点がひとつ。


お釣りを準備していなかった。


洗濯バサミを買った人に「細かくてごめんなさいね」と銅貨で払ってもらわなかったらコップを買った人にお釣りが出せないところだった。


宿の人に言ったら両替してくれるかな…。


いや、商業ギルドに行った方がいいか?


ということで商業ギルドに行くことに。


商業ギルドに着くと扉が開いた。


出てきたのはマイクさんだった。


「あれ?マイクさん、こんにちわ」


「おや、ダイチ様ではないですか、どうかされました?」


「露店を出したはいいんですけど、お釣りのことを忘れてまして」


「あぁなるほど、受付に言えば両替してくれますよ」


「本当ですか、ありがとうございます、マイクさんはこれからお出かけですか?」


「えぇ、少し商談がありまして」


「そうですか、お気を付けて」


「はい、ダイチ様も頑張ってくださいね」


そう言いマイクさんは商談に向かった。


商業ギルドに入り受付嬢に両替を頼む。


半銀貨5枚を銅貨50枚にしてもらった。


そういえばお金って収納に入るのかな?


試してみた。


「収納」


お、入った、マジか、なんでも入るんだなこれ。


流石に生き物は入らないだろうけど。


ウィンドウのリストには32200ダル(銀貨1枚 半銀貨16枚 銅貨62枚)と表示されている。


出すときは半銀貨〇枚 銅貨〇枚といった形で出せるみたいだ。


それが分かっただけでも収穫だ。


今日はもう宿に戻り明日に備える。


部屋に戻り収納からパンを3つ取り出し食べる。


そして寝る。


おやすみ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る