第14話

宿に戻りラ・ヴェールを開く。


「支払い方法にポイントか貨幣かってあったからこのお金でも買えると思うんだけど…」


言いながら支払い方法を貨幣に変えると【残高が足りません】という文字と四角い空白が出てきた。


「ここにお金を入れろってことか?」


その四角い空白に半銀貨を入れるとスゥッと吸い込まれていき【1000ダル】と表記された。


こうやって貨幣を使うわけだ。


俺は買う分だけお金を入れて商品を購入した。


食器(お椀、小皿、中皿 3点10セット 12600円)を5つ

コップ(6個セット 1200円)を10個

スプーンとフォーク(10点5セット 1500円)を10個

洗濯バサミ(10個入り 350円)を100個


仕入れ値は125000円。


洗濯バサミを倍仕入れたが、果たしてどうなるか。




次の日、収納から屋台を出し押して行くと昨日と同じようにすでにお客さんが並んでいた。


「はーい、今商品出しますねー」


商品を屋台の影で収納から出し並べていく。


「はい、お待たせしました、どうぞ」


こうして今日も営業が始まった。




「ありがとうございました」


並んでいた最後のお客さんが帰った。


残ったのは食器が3セット、コップが5個、スプーンとフォークが3セット、洗濯バサミは全部売れた。


その後来たお客さんにより残りの商品は全部売れ、売上は184000ダル、約6万ダルの利益になった。


その後も同じように屋台を出し、商品を売っていき1週間が過ぎた。


「ご利用ありがとうございます、退室します?それとも延長します?」


あの後も屋台を出し続けたが、日が経つにつれて商品の売れ行きも悪くなった。


この街での商売は新しい品を出さない限りここらが限界だろう。


それにラ・ヴェールの商品は科学が進んだ別世界の商品だ。


そういうものを出しすぎると俺のこのギフトがバレてしまう。


いや、別にバレたって問題ないんだが、身分が高い人のあれやこれやに付き合うのは嫌だ。


別の街に行きたいが、移動手段がなぁ…。


バイクが欲しくて色々と見てみたが、欲しいものはどれも100万円超え、買ってしまうと残るお金が心もとない。


もうしばらくこの街で粘ってみるかぁ…。


「あと1週間延長出来ますか?」


「素泊まりでいいですか?」


「はい」


「では、14000ダルです」


俺は銀貨1枚と半銀貨4枚を出した。


さて、商品を追加して行きますか。


食器(お椀、小皿、中皿 3点10セット 12600円)を3つ

コップ(6個セット 1200円)を5個

スプーンとフォーク(10点5セット 1500円)を6個

洗濯バサミ(10個入り 350円)を50個


購入して収納に入れ屋台を出しいつもの場所へ向かう。


待っている人はいなかったが、まぁこれが普通か。


屋台を置いてお客さんを待つ。




ちょこちょことお客さんは来たが、全部の商品が売れるほどではなかった。


色んな人に行き渡ったからな、こんなものか。


もう少し売れると思ったんだがなぁ。


屋台を片付けようと思ったとき、1人メイドのような人がやってきた。


「こんにちわ、まだやっていますか?」


「えっと、今から片付けようと思っていたところで、なにか買われますか?」


「はい、出来れば大量に購入したいのですが」


「どのくらい買われますか?」


「まずは商品を見せてはもらえませんか?」


「あぁ、これは失礼しました、ちょっと待っていてくださいね」


俺は屋台の影に隠れ収納から商品を取り出す。


「これがうちで扱っている商品です」


食器、スプーンとフォーク、コップ、洗濯バサミをひとつずつ出す。


それをメイドさんがひとつひとつ見ていく。


「…………なるほど、噂通りいい商品ですね、では食器の方を100セット、スプーンとフォークも100セット、コップは50個、洗濯バサミは200個、用意していただけますか?」


「え?そんなに大量に買われるのですか?」


「えぇ、あぁ失礼しました、私領主邸で働いているミレイと申します。街の方の噂でこちらに安くていい商品があると聞いて来ました」


なんと!領主さんのところのメイドさんってことか!


「それはそれは、ありがとうございます、では明日のお昼頃に私が直接領主邸に向かいお渡ししましょうか?」


「それはとてもありがたいですが、領主邸に行くには貴族街を通らなければならないので迎えに来ます。明日のお昼頃にここに来ますので準備の方をお願いします」


そう言ってメイドさん、ミレイさんは去っていった。


まさか領主さんに目をつけられるとはな。


とりあえず、今日はもう帰って、明日の準備して、寝よ。

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