第17話

1週間が過ぎ宿の退室の日になった。


「短い間ですがお世話になりました」


「またこの街に来たときはぜひ利用してね」


「はい」


さて、あとはアレスさんのところに行くだけか。


前のように馬車で行くわけではないのでのんびり歩いて行く。


貴族街に入るには身分証が必要だとのことなのでギルドカードを見せ貴族街に入る。


この前は領主さんのところの馬車に乗ってたから確認されなかったのかな?


そんなことを思いつつ領主邸に向かう。




歩いて1時間、ようやく領主邸に着いた。


門兵さんに「領主のアレスさんに挨拶に来た」と言ったら俺の顔を覚えていてくれていたらしく、すぐに通してくれた。


屋敷の扉の前にはセドさんがいた。


「お久しぶりです、ダイチ様」


「セドさんも、お久しぶりです、今日はそろそろこの街を出ようかと思ったので挨拶に来ました」


「そうですか、それは寂しくなりますな、どうぞこちらです」


そうセドさんに言われ部屋へと通される。


待っていると扉がノックされアレスさんが入ってきた。1人の女の人と共に。


「やぁダイチ、わざわざ挨拶に来てくれてありがとう」


「街を離れるときにはって話でしたからね、それでそちらの方は?」


「あぁ、私の妻、エレナだ」


「初めましてダイチさん、エレナ・ゼンフィールドと言います、ダイチさんの売ってくれた石鹸、とてもいいもので重宝していますよ」


「初めまして、ダイチです、それは良かったです」


「そういえばダイチ、あの後また新しい商品を売り出したと聞いたが?」


「あぁハンガーですか、もし必要なら出しますけど」


「是非欲しいね」


「いくつほどいります?」


「そうだね、そこら辺のことはメイドたちに任せてるから」


アレスさんがパンパンと手を叩く。するとセドさんが入ってきた。


「セドリック、少し話に入れ」


「はい」


「ダイチ、早速そのハンガーとやらを出してもらえるか?」


「いいですよ」


俺はラ・ヴェールからハンガー30本組(1980円)を出した。


「これです、服をかけて干すものですね」


「なるほど…セドリック、どのくらい必要だ?」


「そうですね、屋敷の使用人のものも合わせると…50本ほどは欲しいかと」


「だそうだ、出せるか?」


「えぇ、1本200ダルです」


「50本で1万ダルか、すぐに用意する」


「ありがとうございます、アレスさん、ひとつ相談というか、お願いがあるんですけど」


「なんだ?言ってみろ」


「実は自分が欲しい商品がありまして、それを買うお金が欲しいんですよ」


「なるほど、私に金を貸してほしい、ということだな」


「いえ、貸してほしいんではなくて、商品を買ってもらってその利益でそれを買いたいなと」


「ふむ、そこまでのものがあるのか?」


「アクセサリーですね」


その俺の言葉にいち早く反応したのは奥さんのエレナさんだった。


「アクセサリー、どんなものがあるのですか?」


「そうですね、宝石を使ったものが主ですね」


「宝石…どんなものか見せていただくことは出来るのですか?」


「あー、ちょっと難しいかと」


俺のこのギフトは他の人には見えない画面が浮かぶため俺にしか見えないのだ。


「なるほど、ダイチのセンス次第ってことか」


変なプレッシャーをかけないでほしい。


「とりあえず、なにか欲しいアクセサリーってあります?」


「そうね、アクセサリーなんていくらあっても悪いことなんて無いのだけど、ネックレスが欲しいわね」


ダイヤのネックレスで検索、1万しないものから数十万、100万を超えるものまであるな。


余っていたポイントで135000円のダイヤのネックレスを買う。


目の前に箱が出てくる。


「それはどうですか?」


エレナさんが箱を開けて中を確認する。


「あら、とっても綺麗ね、これはなんて宝石かしら」


「ダイヤモンドです」


「「ダイヤモンド!?」」


アレスさんとエレナさんの声が揃う。


「ど、どうしたんですか?」


「だ、ダイチ、ダイヤモンドはな、この世界では超希少な宝石なんだ」


マジカ。


「ってことはこれ相当お高い値段がつくってことですよね?」


「そうなるな…」


「…じゃあ今の聞かなかったことにして、これ100万ダルで買いません?」


「いや、聞かなかったことには出来ないだろう」


「ですよね、ちなみにこれ値段をつけるとしたらどれくらいになりますか?」


「そうだな、低く見積っても500万ダルはするだろう」


ひえぇ…。


じゃあ他の宝石にするか。

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