第28話

「では改めて、今回ダイチさんの担当をするマリアベルと言います、マリアとお呼びください。実際に開業をしたら担当は変わるかもしれませんがよろしくお願いします」


「ダイチです、よろしくお願いします」


「さて、開業をしたいとのことですが、資金はどれくらいお持ちで?」


「そうですね、500万ダルは出せます」


「開業資金の平均はご存知で?」


「はい、1000万ダルほどと聞いてます、なのでローンを組んでやりたいなと」


「どこか貴族様の後ろ盾はありますか?」


「いえ、どこにもありません」


「そうですか、申し訳ないですがその状態での開業は難しいかと思われます」


「そうですか?」


「はい、王都の土地代は平均よりも高いので、ダイチさんの場合貴族の後ろ盾も資金も無いとなると信用が足りません」


「そうですか、王家と繋がりがあるとしたらどうなります?」


「それは…本当の話ですか?」


「えぇ、王様であるマーカス様と直接話してきましたから」


「…それが本当だとしたらどこの貴族の後ろ盾よりも信用度が高いですね」


俺はそういえばと思い出し、収納から王家のメダルを取り出した。


「もしなにかあったらこれを見せろと言われたんですが」


「これは…ルベル王家のメダル!失礼しました、これなら信用に関して文句はありません。開業するにあたってまずは土地ですね、どこがいい、などの希望はありますか?」


「そうですね、売るものがものなので貴族街に近い平民街がいいですね」


「なるほど、高価なものを売る予定なのですね」


「そうですね、値段設定は土地とかが決まってからですけど」


「そうですか、なるべく貴族街に近いとなると…この5箇所ですね、実際に行ってみますか?」


「はい、案内お願いします」


早速その5箇所の空き家を回ることに。


商業ギルドから歩いて30分ほどで1件目に着いた。


「こちらが1件目になります。元々魔道具店だったところですね」


表は少し人通りが少なく、店内もちょっと狭め、2階は居住スペースになっているようだ。


「ちなみにここはいくらですか?」


「1350万ダルになります」


おぉ、いきなり平均を超えてきたな。


「次行きますか?」


「はい」


そうして2件目、3件目、4件目と回った。


2件目は元住宅、3件目は元飯屋、4件目も元飯屋だったらしい。


そして5件目。


「ここで最後になります、そしてここが恐らく1番オススメかと」


5件目は元雑貨屋で店内は広々としていた、3階まであり、3階に従業員を住まわせることも出来そうだ。


貴族街も歩いて5分ほど、表の人通りもそこそこ、うん、ここが1番いいかな。


「ここはいくらですか?」


「3495万ダルになります」


うわぉ、平均の3倍じゃん。


でもここに決めた。


「ここ買います」


「ありがとうございます。では商業ギルドに戻って…」


と言ったところで夕方5時の鐘が鳴った。


「戻って詳しく、と思いましたがそろそろ時間ですね、続きは明日にしましょう。明日のお昼頃にまた商業ギルドに来ていただけますか?」


「分かりました」


「ではまた明日のお昼に」


そうしてマリアさんと別れた。


次の日、お昼の鐘が鳴る頃商業ギルドへ向かった。


受付嬢にマリアさんに繋いでくれとお願い、そしてマリアさんが上から降りてきて部屋に案内された。


「さて、昨日の続きですね、あの土地を買うとのことですが、何年でローンを組みますか?」


「月いくら支払うっていう返済方法でも大丈夫ですか?」


「えぇ問題ありません」


「では最初の月は100万ダル返済します、その後は売上次第で額を決めて返済、という形でも大丈夫ですか?」


「こちらとしては最終的に3495万ダル支払っていただければ問題ありません」


「ありがとうございます」


「ではこちらの契約書にサインを、それと店舗で商売をするにあたって許可証が必要なのでこちらにもサインをお願いします」


俺は2枚の紙にサインをした。


「これであの土地はダイチさんのものになりました、許可証は見えるところに置いてくださいね、それと商売をするにあたって街の税とは別に商業ギルドに税を納める必要があるのでお忘れなく」


「税?それはいくらほどですか?」


「店舗によって違いますが、基本ひと月の売上の1割をいただいてます」


「それは商業ギルドに持ってくればいい、ということですか?」


「いえ、担当のものが毎月回収に行くので、その担当に渡していただければ大丈夫です」


「分かりました」


「それでは、その土地の権利書と商売の許可証を持って受付に行ってください、そこで担当が決まりますので」


「分かりました」


部屋を出て1階の受付へ。


受付嬢に土地の権利書と商売の許可証、そしてそこで商売を始めることを伝えた。


「はい、それでは担当は…マリアベルさんになります」


お、担当は変わらずか。


「後で担当のものが挨拶に向かうと思うのでよろしくお願いします」


「はい」


よし、これで商売が始められるぞ。


何を売るかが問題だけどね。


そこら辺は相談だな。

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