第46話
メルベナの街に滞在し20日が過ぎた。
いよいよガドゥルに入国するときだ。
メルベナの街を出発。
特に魔物と戦闘になることもなく国境に着いた。
国境付近には街、というか村、というか、国境警備隊の駐屯所がある。
国境を超える前にちょっと商売していきますか。
食器やハンガーは売れなさそうだから、石鹸だけにするか。
露店を出し、石鹸を置く。
そして駐屯所を練り歩く。
すると
「お、商人か、何売ってんだ?」
と声をかけられた。
「石鹸です。獣臭くないものですよ」
「なんだ食べ物じゃないのか…でも、石鹸かぁ、ちょっと気になるな、いくらなんだ?」
「1つ2万ダルで売っています」
「2万ダル!?うーん、ちょっと高いなぁ、悪いな、手持ちが少ないもんで」
そう言って去ってしまった。
うーん、やっぱり売れないかぁ。
食べ物を期待していたみたいだし、食べ物を出してみるか?
俺は前にも買ったことのあるお弁当12個セット(6810円)を10個購入、そしてこれも前に買ってあったレンジを出す。
ゴミを入れるゴミ袋も買っておくか。
45Lゴミ袋200枚入(1830円)を購入。
そしてお弁当を置きもう一度練り歩く。
「お、食べ物売ってるのか?」
早速ひっかかったな。
「はい、1つ1000ダルで売っています」
「1000ダルかぁ、ちょっと高めだが、美味そうだな、よし、1つ買おう」
「まいど!今温めるんでちょっと待っててくださいね」
俺はレンジに弁当を入れ1分半温める。
「それはなんだ?魔道具か?」
「これは入れたものを温める魔道具です、これで冷たい食べ物を温めるんです」
「へぇ今はそんな魔道具もあるのか」
いや、もしかしたら俺だけしか持ってない可能性があります、とは言えなかったのでそうなんですよぉと返しておいた。
温め終わった弁当を渡すときに気付いた。
どうやって食べるんだよ、これ。
急いで使い捨てスプーンとフォーク100本入(各450円)を購入し渡す。
「へぇ、使い捨てのスプーンとフォークか、あんた珍しいもん持ってるんだな」
「カネダ商会ってところのオーナーをしています、聞いたことありませんか?」
「カネダ商会?聞いたことが…あ、王が後ろ盾になってるっていう商会…あんたがオーナーなのか!?」
「えぇそうです、後ろ盾をしてもらった記憶はありませんが」
噂に尾ひれがついてるな。
その後、お弁当を買った兵士さんが美味い美味いと食べるのでどんどん集まってきた。
レンジ足りないな、レンジを追加で購入(15800円)
そうしてお弁当を売っていくと女の兵士さんが来た。
「さ、さっきここで石鹸を売ってるって聞いたんだけど!?」
「え?あぁ売ってますよ、1つ2万ダルです」
「買うわ!みんなー!ここよー!」
その女の兵士さんが6人の女の兵士さんを呼んだ。
「石鹸見せてくれるかしら?」
「えぇどうぞ」
俺は収納から石鹸を取り出す。
「あら?あなた収納スキルの持ち主なのね」
「えぇ、普段は隠してますが兵士さんなら魔力の流れで分かるかなと思って」
「そうね、魔力の流れが見えなきゃ兵士なんてやってられないわ」
石鹸を手に取ると獣臭くないことに驚き、少し使って見ますか?と渡すと泡立ちの良さにも驚いていた。
「2つ、いえ3つずつ買うわ!」
「まいど」
その後もお弁当は売れに売れ、購入した分は全て売れた。
余ったら俺のご飯にと思ったんだが、売れたなら売れたでいいか。
さて、いよいよ国境越えだ。
国境を越えるには身分証が必要とのことなので見せる。
出国はそんなに厳しくないが、入国は審査が厳しいので気をつけるようにと言われた。
この門を越えたらガドゥルか、緊張してきたな。
緊張しながらも俺は門をくぐり抜けた。
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