第34話
「え?」
越谷さんから席を外せと言われてしまった。
「で、でもさっきみたいな……」
「もう騒ぎにしないし、二人でガールズトークするから」
いや、どう考えてもガールズトークってテンションではない気がするけど……。川口さんの方を見ると僕を見つめてコクンと頷いている。
「女子同士でしか出来ない話もあるから」
「……、分かった。じゃあ……」
僕は自分の荷物と飲み物だけ持って席を立つ。出口手前で振り返って二人を見るともう既に二人で話を始めているみたいだ。僕はそのまま外へ出る。
外へ出たはいいがやはり二人の事が気になるので外から店内の様子が見えるか覗いてみる。窓際の席にいたからか多少は様子が見える。二人は先ほどと打って変わって笑顔になって話をしているようだ。え、これって僕が邪魔だったってこと!?あまり外から中を覗くのは気持ちのいい行為ではない為止める事にした。最悪通報されそうだし。
そういえば、さっきの本屋の中見れなかったな。どんな本が置いてあるか気になるしこのまま家に帰るのも何か気持ちが悪しちょうどいい。僕は再び本屋に寄る事にした。
「おお~」
本屋の中を見ると予想していたより奥行きがあって広い。気になる小説なども探せば出てくるかもしれない。こうして僕は店内を手前から軽く眺めながら見て回る事にした。
僕は本屋の品ぞろえの良さに感嘆しながらグルグル本屋中を歩き回る事になった。
「ふふ、もしかたら来てるかなと思ったらやっぱりいた」
声がする方を見ると川口さんが立っていた。あれ、僕この本屋にどれくらいいたんだ?気になってスマホを見ると本屋に入ってから一時間位立っていた。色々眺めていたらこんな時間になっていたのか。
「あれ、越谷さんは?」
「もう、解散してるよ。私は最初からこの本屋に用があったから来ただけ」
そういえば、川口さんは一人でこの本屋に来て僕達と鉢合わせたんだった。越谷さんとの話し合いが終わったから当初の用のここに来たという事か。
「まあ、もしかしたら春日部君いないかなとは思ったよ」
そういう川口さんは笑っている。越谷さんと何かあったかと不安に思っていたが何事も無かったのかな。
「あのさ、越谷さんとは何を?」
「え~、ガールズトークの内容を聞こうっていうの?」
「うっ」
そう言われてしまうと聞き辛いな。まあ、僕をわざわざ退席させたくらいだ。秘密の話があるのだろう。だが、二人の間に何か無かったかだけは気になる。
「春日部君が心配するように揉めたとかは全くないよ」
「そ、そうなんだ」
川口さんの様子を見ても嘘を言ってるように見えない。僕の不安は杞憂だったか。
「むしろ、越谷さんと仲良くなっちゃったし」
「そ、そうなんだ」
珍しい。越谷さんああ見えてコミュ障気味だから人と仲良くなるの難しそうなのに。本条君とだってしばらくぎこちなかったくらしだし。入間さんはグイグイ来るタイプだから受け入れざるを得なかったみたいなところもあるくらいだ。
「……、ちょっとだけ話しあるから外出よっか」
確かにここは書店だ。話し続けると迷惑になってしまうかもしれない。外に出て少し歩いた所にベンチがあったので二人共座って話をする。話って何だろう。
「単刀直入に聞くけどさ。春日部君ってさ、越谷さんの事好きなの?」
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