第56話
「じゃあ、食べようか」
みんなで力を合わせて作ったカレーを盛り付けなども終わって食べる時が来た。他の班を見ると少しだけ先に作り終わっている班があるが、まだ多くの班が作っているのを見受けられるので僕達は手際良く出来ている方だろう。
「春日部君のおかげで手際よく出来たね」
「いやいや、みんなで協力してやった結果だよ」
川口さんが褒めてくれるのが僕は本当にみんなと一緒に作業しただけだ。だが褒められて嬉しい為か顔が熱くなっているのが分かって、下を向いて顔を隠す。
「なに、照れてんのよ」
越谷さんに脳天チョップをされる。思わず「うごっ」という、うめき声を出してしまった。それを聞いた越谷さんは笑いを堪えているのかプルプルしている。本当に覚えておいて欲しい……。
「まあ、イチャイチャするのは後にして早く食おうぜ」
「イチャイチャしてない!!」
僕と越谷さんは必死に否定するが皆に軽くスルーされる。僕達は納得のいかない顔をしながら目の前のカレーとサラダを食べる事にする。カレーの見た目はかなり良く美味しそうだ。
「いただきます」
みんなで一斉に食べ始める。僕はまずサラダから食べる。大体が越谷さんが切り分けてくれた野菜だから、キレイに切れていて美味しそうだ。
「サラダどう?」
「あっ、キレイに切れてて美味しそうだよ。ありがとう」
「ふ、ふーん、別に」
越谷さんは褒められてるからか顔が赤くなっている。いや、照れているのめっちゃ可愛いな。ただそれを口にする勇気が無いので声には出さない。そうしてサラダを口に入れる。うん、シャキシャキで美味しい。
「ちょっと、私も一生懸命米研いだんですけど!!」
「いや、ホントにね……」
川口さんがアピールしている横で、入間さんがめっちゃ疲れている顔してる。まあ、川口さんが暴走しないように隣でフォローしながら自分の作業していたからね……。ただ、その甲斐があってか米も上手く炊けている。
「川口さん、ありがとう。入間さんもありがとね……」
「ふふん、そうでしょ」
「あっ、私もか」
川口さんと入間さんの二人にお礼を言う。そうしてカレーを食べる。カレーも米も良く出来てて大成功と言えるだろう。
「本庄君と小川君もありがとう」
「おう」
「いや、一番頑張ったのお前だろ。こちらこそありがとな」
本庄君が僕にお礼を言った途端、班のみんなが僕に対してお礼を言ってくる。僕は必死に自分は何もしていないと伝えたが皆聞こうとしなかった。ただ、何かこういう経験って無いから何か新鮮な経験になった。やっぱり皆に感謝されるって嬉しい気持ちになるんだなと感じた。
その後、早めに食べ終わったので夕方のオリエンテーションの時間まで自由時間となる。ちなみに合宿所の敷地内であれば自由に行動していいとの事なので自分の部屋戻ったり、合宿所の前が大きなグラウンドになっているのでそこで遊んでいる生徒達もいる。
「俺達、どうするか」
本庄君からこの自由時間、何をして過ごすか相談される。正直、飯盒炊飯前に部屋で大分休めたし何かしてもいいのだが、かといって何か遊ぶ用具もないしなあと考える。
「あ、そういえば、ここって運動部の合宿所としても使われてるはずだし、ボールとかだったら体育倉庫にあるかも」
入間さんが何か思い出したのか、そう答えた。そうか、入間さんバスケ部だからこういう事も分かるのか。
「でもそれって使っていいのかな?」
「でもグラウンドでサッカーやってる男子いるし、聞いてくるよ」
入間さんはそういうとグラウンドでサッカーをしている男子達に話を聞きに行った。あまり見た事ない男子達だからAやBクラスじゃなさそうなのに話かけに行けるの凄いな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます