第36話
翌日、朝起きた外でハトがポーポーやかましく鳴っている。余りにうるさくて起こされる。おかげでいつも起きている時間より早く起きちゃったではないか。仕方ないので起きるかと思い、トイレに行こうとドアを開けると目の前に誰か立っていた。
「げ、姉ちゃん」
「げって何だ、おい」
目の前に立っていたのは僕の姉の
「なんだ、珍しく早いじゃん」
「外のハトがうるさすぎて起きたよ」
「あ~、あれうるさい。アンタ追っ払ってきてよ」
何というやつだ。弟にハトを追い払うように命令してくるとは弟だからってなんでもするわけじゃないぞ。俺は首を横に振り姉ちゃんに睨まれる。
「まあ、どうでもいいけど、アンタそろそろ新入生合宿でしょ?」
「よく覚えてるね……」
「一緒に行動するような友達いるの?」
「ふふふ、何と昨日友達から一緒の班になろうって誘われたんだよ」
「それ普通じゃん。何でそんなドヤ顔なん」
全然普通じゃないんですけど!!え、これ普通の出来事なの?僕がポケッーとしていると姉ちゃんが頭を叩いてくる。痛いんですけど!?
「あ、あと隆さ……」
「悠長に話してるけど、姉ちゃん朝練の時間平気なの?」
姉ちゃんは自分のスマホを見てヤバイと叫ぶと慌てて荷物を持って外へ飛び出した。全く朝からせわしない人だと呆れながらトイレへ向かった。
その後、いつもよりちょっと早めに登校した。クラスは何人かいるが、越谷さんや本庄君はまだ来ていないようだ。大人しく自分の机に座る。越谷さんと話をしたかったが、いつも僕も越谷さんもギリギリに登校してくるもんな。しばらく座って本を読んでいると本庄君が登校してきた。
「春日部早いな」
「本庄君、おはよう」
「おう、昨日送ったけど今日、集団合宿の話し合いだな。何か他の奴に聞いたら一組と二組で合同で班作るみたいだな」
「えっ、そうなの?」
「ああ、どうやって決めるのかは分からねえけど」
僕達は今日の新入生合宿の話し合いが気になるので盛り上がる。そしてそんな事をしていると教室の後ろの扉がガラッと開く。越谷さんが登校してきたようだ。
「越谷さんおはよう」
「……おはよ」
越谷さんはいつもよりテンションが低いのだろうか。本庄君は越谷さんに挨拶した途端自分の席に戻っていった。
「越谷さん、昨日の事なんだけど……」
席に座る越谷さんに向かって話しかける。昨日の話聞かせてくれるだろうか。
「話なら川口さんから聞いたんじゃないの?」
「え、なんでそれを?」
「連絡先交換したもん。あの後、春日部に会ったから説明しておいたって言ってたよ」
なるほど、しかしこの様子だと昨日の話が聞ける感じじゃないな。まあ二人が秘密にしたいなら無理に聞かない方がいいのだろう。揉めた様子でもないし。聞くのを諦めた僕はハアとため息をつく。
「……なんで、アンタが気になるんだろうね……」
「え?何て言ったの?」
越谷さんは僕の疑問には答えずそっぽを向いてしまった。全然聞こえなかったし耳鼻科行った方がいいのだろうか……。僕がポケッ~と考えている姿を見て越谷さんはため息をついていた。
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