File016.旅立ち

 イリスと話をしてから数日経ちました。そろそろイリスと一緒に旅に出たいとお願いしないといけませんね。


 「お父様、お母様。お願いがあるんだけど・・・」

 「ん、なんだい?あらたまって。」

 「私達、旅に出たいの・・・ここ以外の土地でも色々な物を見て色々冒険したいの。」

 「2人とももうそんな事を考えるようになったんだね。」

 お父様は私達がこう言い出すのを察していたのでしょうか・・・

 「お父様は反対とかしないのですか?」

 「かわいい子には旅をさせよ、と言うじゃないか。私達も子供の頃に旅に出たものだからね。」

 「それと、たまには帰ってくるのよ。」

 お母様も反対しないのですね・・・両親が冒険者だったおかげもありますね・・・普通に2人で旅に出る許可が出ました。


 「イリス、それじゃあ、旅に必要なものを揃えないといけないね。」

 「はい、結構荷物が増えますけど・・・その・・・」

 「大きいものや、2人で使うものなんかは、私のアイテムボックスに入れてあげるから大丈夫よ。」

 「お姉様、ありがとうございます。」

 あまりに持つが多くなっても大変ですからね・・・こういったときにアイテムボックスがあると便利ですね。商人が欲しがるのもわかります。

 私は商人になる気はありませんけどね・・・



 「本来ならテントなんて大きいから持って行くなんて無理だけど、私のアイテムボックスに入れればいいし持ってく?」

 「はい、テントがあった方が安心して寝られますし、お願いしていいですか?」

 「それじゃあ入れとくね。毛布なんかは自分持ちね。」

 「うん。」

 なんとなくですが旅に必要な物も揃ってきましたね。


 「アリス、イリス。これを持って行きなさい。」

 何でしょうか・・・この近辺の地図ですか・・・色々書き込みがありますが・・・

 「お母様が使っていた地図ですか?」

 「ええ、古い書き込みも多いけど、きっと役に立つだろうから持って行くといいわ。」

 「「ありがとう。」」

 「それじゃあ、地図はイリスが持ってて。」

 「私が?」

 「イリスが持ってた方がいいと思う。私は何かと前に出る事が多いと思うし・・・」

 「それじゃあ私が持ってるね。」


 「それじゃあ、父さんからは馬を1頭やろう。」

 「いいの?」

 「ああ、お前達2人くらい乗れるだろうからな。どうせ荷物はアリスが持つのだろ?」

 「お姉様と2人乗り・・・」

 イリスが何か言ってますが、無視しておきましょう。

 「うん、それじゃあ使わせて貰うね。お父様もありがとう。」

 ここは娘らしく抱きついておきましょう。そのほうがお父様も喜んでくれるでしょう。




 なんだかんだで、旅の準備は整いましたね。あとは足りないものとかがあればその都度買いましょう。保存食も数日分持ちましたし、アイテムボックスの中にはその他の食材も結構入ってます。どうやらアイテムボックス内は時間経過が遅いらしく、食べ物が腐りにくいのです。通常の5倍くらい長持ちするので、保存食はいざという時だけで、通常はアイテムボックスの中の食料から使いましょう。



 「イリス、まだ起きてる?」

 「はい、なかなか寝られなくて・・・」

 やっぱりイリスもですか・・・

 「こっちに来る?」

 別々のベッドで寝てましたが、こちらに呼びましょう。2人で寝た方が安心もしますから・・・これからは2人一緒に寝る事は少なくなりますし・・・

 「いいの?」

 このところ一緒に寝ようとするとベッドから追い出してましたからね。

 「うん、今日は特別。」

 「お姉様と一緒のベッド・・・」

 「これからは野宿の時は交代で寝なきゃいけないしね。」

 「はい・・・でもお姉様の寝顔を見ながら見張りをしますので・・・」

 それはそれで嫌ですね・・・寝顔を見られながらなんて恥ずかしいです・・・

 「それはダメだからね・・・」

 「はい・・・こっそりやるからいいです。」

 「何か言った?」

 小声で何か言っていたようでしたが、よく聞き取れませんでした・・・

 やっぱり双子だからでしょうか・・・一緒にいるとすごく安心します。私の事が異常に好きで結婚するとか言ってますが、傍にいるだけで違うのですね・・・

 明日は朝早く家を出ますし、私もそろそろ寝てしまいましょう・・・



 明日の朝目が覚めれば私達の冒険の始まりです。ギルドに行って、それから隣の村に向かうのです・・・それから・・・それから・・・

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