File011.初めてのクエスト

 イリスの秘密を聞いた翌日ですが、ゴブリンが多く出るという森に来ています。Gの棲家ってことですよね・・・森ごと焼き払ってはダメでしょうか・・・他の動物もいるからダメですね・・・Gと聞くと、殲滅してやりたくなるのですよ・・・仕方ないですよね?



 少し先に3匹いますね・・・

 「イリス、ゴブリンはいそうですか?」

 探知魔法とかありますよね?私は、お父様に仕込まれましたので、ある程度感覚でわかりますが。

 「お姉様、この辺りにはいないようです。」

 ダメじゃないですか・・・探知魔法は使ってないのですか・・・そもそも覚えているんでしょうね?

 「イリス、少し先に3匹いますよ・・・気をつけて下さいね。」

 「えっ・・・」

 先制しましょう・・・1匹は仕留めたいところです・・・お父様も言ってましたからね、先制攻撃は大切だって。

 「イリス、スピードをかけてもらえる?」

 「あっ、はい・・・彼の人の動きを助けよ、スピード。」

 一気に藪の中に飛び込んでゴブリンに切り掛かります。とは言っても喉を目掛けて突くのですが、これが1番確実でしょうから。

 「イリス、1匹お願い!」

 「大地よ、刃となって敵を貫け、グランドスピア!」

 細い槍が一本だけですか・・・ランスじゃなくてスピアですからね・・・それでも一体仕留めれたみたいです。私も振り返り様に一撃入れましょう、下段からの切り上げです。若干浅いですか・・・


 逃げられましたね・・・イリスの追撃の魔法は無かったようですがどうしたのでしょう・・・

 「イリス、どうして追撃しなかったの?」

 「詠唱短縮で打てる魔法が炎系だけで・・・」

 なるほど、この間注意したからですね・・・でも簡単な魔法なら無詠唱で使えないのですか?

 「イリス・・・聞きたいのだけど、無詠唱って使えないの?」

 「無詠唱?お姉様、どこのお伽噺ですか・・・無詠唱なんてできるはずないじゃないですか・・・」

 えっ・・・出来ないんですか・・・私、出来ますけど・・・

 「えっと、ごめんね・・・私魔法は詳しくないから・・・」

 「いいんです、お姉さまは魔法に詳しくなくても、私が詳しいですからそれで大丈夫ですよね。」

 本当に大丈夫なのでしょうか・・・賢者のイリスより魔法が使えそうなのですが・・・どうしましょう・・・



 とりあえず、倒したゴブリンの証拠として右耳を切り取っておきます。これが討伐証明ですからね。稼ぎにはなりませんが、魔石も取っておきましょう。

 ゴブリンの死体は適当に穴を掘って埋めます・・・このままにしておくとアンデッドになるのだそうです・・・


 「さっき逃したゴブリンが仲間を連れてきたりすると厄介ね・・・」

 「まだ、2匹だけですけど戻りますか?」

 イリスらしくない意見ですね。でも無理をしない約束でしたからね。ちゃんと守ろうとしてくれてるのはいいことです。

 「そうね、戻りましょうか。今日は様子見でもあるしね。」



 帰ろうと思ったのですよ。無理をせずに・・・早めにです。私ってよくよく豚に好かれているようです・・・オークに出会ってしまいました・・・こんなに浅いところで出会うなんて運が悪いです。

 「イリス、もう一度スピードをお願い。」

 「はい。」

 イリスにスピードをかけてもらって、突っ込みましょう・・・一撃で倒せるなんて思ってませんが、1匹釣れれば多少よいでしょう。イリスに1匹任せることになりますが、なんとかしてくれると信じます。

 「イリス、1匹はそっちに行くと思うけど、お願い!」

 「はい、お姉様・・・大地よ、刃となって敵を貫け、グランドスピア!」

 イリス上手いですよ、足を刺すだなんてしっかりと足止めが出来てるじゃないですか。今のうちに私はこっちのオークを倒してしまいましょう。

 1匹だけであれば武技が使えそうです。使った後に少しだけ硬直しますからね・・・使い所が難しいのです。

 「スラッシュ!」

 さすがに武技は威力がありますね、オークが真っ二つです。ただ、私にもオークの鉈が当たったみたいですね・・・左手のバックラーに大きな傷が入ってます・・・お父様、ありがとうございます。ガントレットだけでは腕の骨が折れてたかもしれないです・・・


 イリスの方はどうでしょう・・・グランドスピアが4本刺さってますね・・・あれなら絶命しているでしょう。1本目で足止めできたのが良かったのですね。

 「イリス、大丈夫?」

 「はい、最初のグランドスピアが外れてしまって焦りましたがなんとかなりました。」

 最初のが外れたのですか・・・足を狙ったわけでは無かったのですね・・・イリスの評価を改めましょう・・・すごいと思ったのですが・・・私の勘違いだったようです・・・



 「オークの素材は売れますから、私がアイテムボックスに入れて帰りますね。」

 「お願いします・・・お姉さまのアイテムボックスが羨ましいです・・・オークが2匹も入るんですね・・・」

 そうですね・・・でもどれだけ入るのでしょうか・・・試しておかないといけないですね・・・100人乗っても大丈夫なくらいに入ると嬉しいのですが・・・

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