File010.冒険の準備

 ゴブリンの討伐は常時依頼ですか・・・この世界でもGは蔓延っていると言うことですね・・・抹殺対象と言うことで構いませんね。


 「イリス、特に依頼は受けないけど、ゴブリンなら常時依頼みたいね。」

 「はい、お姉様。今からゴブリン討伐ですか?」

 この子は本当に賢者なのでしょうか・・・頭の中が筋肉で出来てるんじゃないでしょうか・・・

 「今日は行きません。」

 「そうですか・・・」

 残念そうな目をしても行きませんからね。

 「装備はお父様に買って貰いましたが、その他の持ち物は自分たちで用意しないといけないのですよ。今日はその買い物です。」

 「いつも日帰りだから特に要りませんよね?」

 「何かあったらいけないでしょ?」

 「それはそうですけど・・・」

 「そんなんじゃイリスとパーティなんて組めませんよ?」

 「お姉様、買い物に行きましょう。色々揃えないといけませんものね。」

 そこまでして私とパーティを組みたいのですか?1度理由を聞いてみたい物です・・・


 「しっかりしたバックパックに保存食と水筒・・・結構ありますね・・・」

 「お姉様、袋もいくつか持った方がいいですよね?」

 「ええ、油とランタンは?」

 「さっき買ってきました。あと、薬草もついでに買ってきました。お姉様の分も・・・」

 「ありがとう、ロープは持った?」

 「はい。以外と大荷物になりましたね・・・これでも最小限なのですよね・・・」

 「そうね、これでだいたい1泊出来るくらいの量ね。旅をするならもう少し持たないとね・・・」

 「お姉様と旅行・・・」

 まだ、旅なんてしませんよ・・・したいとは思いますけど、先立つものもありませんし、技量もないです。しばらくはこの辺で経験を積まないといけません。


 「お姉様、意外と重いですね・・・」

 「今までいかに軽装で森に入っていたかわかるでしょ?」

 「ええ、結構無茶してたんですね・・・」

 分かってくれればいいのです・・・って、あなた賢者ですよね・・・私は今までの知識と前世のキャンプの知識くらいですよ・・・それとも賢者は部屋にこもって研究しかしないのですか・・・



 家に帰ってくるとお父様とお母様に荷物検査をされました・・・冒険者として最低限の物をしっかり持っているかをチェックするのだそうです・・・

 「イリス・・・買ってきてよかったでしょ?」

 「はい、お姉様の言うとおりでした・・・」

 「必要な物はだいたい揃っているようだね。あとはバックパックに入れる順番とかかな・・・」

 順番もあるのですね・・・よく使う物を上にするですか・・・当たり前と言えば当たり前ですがやってませんでしたね・・・

 「あとは、ウエストポーチも持っていると便利よ。」

 ウエストポーチですか・・・保存食の一部と薬草を入れておくといいのですか・・・お金が出来たらポーションもですか・・・

 「お父様もお母様もありがとう。すごく参考になった。」

 親であると同時に先輩冒険者ですからね・・・教わることは沢山あります。




 「お姉様・・・明日は森に行きませんか?」

 「う~ん・・・そんなに行きたい?」

 「はい。お姉様と一緒に最初のクエストです。」

 そうですか・・・私もレベル上げしたいですからね・・・ここはゴブリン討伐に行きましょうか・・・

 「無理をしない。守れますか?」

 「はい、あんまり奥に行かないですよね?」

 「それじゃあ、明日は森に入りましょうか。」

 「やったぁ~・・・」



 明日は森に行くことになったのですが、どうして私とパーティを組みたがるのか1度聞いておきたいですね・・・

 「ねぇ、イリス・・・どうしてそんなに私とパーティを組みたがるの?」

 「どうしてって、お姉様が大好きだからです。」

 面と向かって真顔で言いましたよ・・・本当に私のことが大好きなんですね・・・

 「それと、お父様とお母様には内緒なんですがお姉様にだけ私の秘密を教えてあげます。」

 イリスの秘密ですか・・・転生者って事ですよね?

 「イリスの秘密?」

 「はい、実は私・・・お姉様のお嫁さんになりたいんです・・・」

 「・・・・・・・・・・」

 その、言っちゃった・・・みたいな顔はやめなさい・・・確かにお父様やお母様には言えないでしょうね・・・

 「お姉様・・・どうしたんですか?ひょっとして嬉しくて仕方ないとかですか?」

 「・・・・・・・・・・」

 何をどう言うべきでしょうか・・・怒るべきでしょうか・・・いえ、嬉しいとは思うんですけどね・・・

 お嫁さんってのがちょっと引っかかるんです・・・私がお嫁さんじゃないんですか?

 

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