File066.索敵
「ねぇ、アリスちゃん。呪文の詠唱がなかったことについてだけど、色々離してくれるかな?」
エマお姉ちゃん、目が怖いです。キティお姉ちゃんもですよ。どうやらやらかしてしまったようですが、出来てしまった物は仕方ないじゃないですか。私じゃなくて、神様に言ってくださいよ。
「そんなこと言われても、出来ちゃったんですから仕方なくありませんか?」
「アリスちゃん、出来ちゃったですむことじゃないのだけど、わかってる?」
わかってません・・・ちょっと便利かなって位ですか?
「お姉様、わかってないようなのでイリスが説明してあげます。」
魔法には呪文の詠唱が必要で、高度な魔法になればなるほど、詠唱時間が長くなるのだそうです。優秀な魔法使いは詠唱短縮や詠唱省略などでその詠唱を短くするのだそうです。それでも私のように無詠唱は出来ないのだそうです。
詠唱中に妨害されれば魔法は発動しないし、魔法がわかればカウンタースペルガ使えるのだとか。なので、相手に何の情報も与えずいきなり魔法を撃てる無詠唱は魔法使いの到達点なのだそうです。
「わかりましたか、お姉様。」
「だけど出来ちゃったものは・・・」
「使わないでください。」
えっ?使わないでって、便利なものは使って行かないといけないでしょ。
「でもせっかく使えるなら使った方が良くない?」
「他の人がいる所ではの話です。お姉様は何でも出来るくせに、そう言うことは何にも知らないのですね。」
エマお姉ちゃんもキティお姉ちゃんもそこで頷かないでくださいよ。私が世間知らずのように聞こえるじゃないですか。
それにしてもイリスにこんなお説教を喰らうだなんて思ってもいませんでしたよ。
「イリスちゃんの言うとおり、人前では使わない方がいいわ。少なくとも呪文名くらいは言った方がいいわね。」
エマお姉ちゃんの言うとおりにしましょう。多少は呪文を唱えるようにしましょう。最低限が呪文名だけですか。
私自身なぜ使えるのかがわからないので、無詠唱についての追求はいったん終了となりました。依頼が終わって、町に帰ったらもう1度ゆっくり話し合うのだそうです。当事者の私は参加確定のようです。
「昨夜のゴブリンの夜襲だけど、かなり統率が取れていて通常のゴブリンとは違う感じがしたな。」
最初に対応したロッドお兄ちゃんがそう言うのですからきっとそうなのでしょう。私はそこまでゴブリンの生態について知りませんからわからないですけど。
「そうだな、間違いなくロード以上がいると言うことか。」
「マーキスお兄ちゃん、ロード以上ってどんな種類がいるんですか?」
「そうだな、ロード、ジェネラル、キング。この辺りは有名どころだな。後はやっかいどころとしてメイジだな。」
ゴブリンが魔法を使うのですか?それは確かにやっかいですね。
「たいした魔法は使ってこないのだけど、いきなり魔法が飛んでくると確実に怪我人が出るわ。」
魔法にあたって怪我ですむのですか?それとも怪我ですむ程度の魔法しか飛んでこないのでしょうか?
「例えばどんな魔法を使うのですか?」
「そうね、ほとんどがストーンバレットかな?」
ストーンバレットですか、投石よりは威力があった気がします。確かに面倒ですね。
「ただ、たまにファイヤーバレットを使ってくるときがあるのよ。それがやっかいね。」
確かにファイヤーバレットがいきなり飛んできたら厳しいですね。ダメージ的にはたいして変わりないですが、2次被害がありますからね。髪の毛に火が燃え移ったりしたら大変です。
「昨日のゴブリン達が斥候だとすると、本体は100匹近いかもしれんな。」
「それって、大丈夫なんですか?私達だけで対処出来るんですか?」
「確かに数だけ見ればかなりやっかいだけどな。こちらが先制攻撃をかけられればこのパーティなら何とかなる数だ。」
マーキスお兄ちゃん達って強いんですね。さすがBランクです。
今回はゴブリンが群れを作っている事を想定して最初から遠距離で倒す作戦だったようです。私もイリスも遠距離攻撃は出来ますからね。特に何も言われていなかったのですか。マーキスお兄ちゃんとロッドお兄ちゃんは大きな弓を持ってきていますからね。とにかく接近させないことが重要なのだそうです。
「エマ、キティ。索敵を密に頼むぞ。」
「わかったわ、キティ。交代で索敵をするわよ。」
「うん。」
あれっ?索敵ってそこまで魔力が必要でしたっけ?私はいつも展開していますが気になりませんね。
イリスに小声で聞いてみましょう。
「ねぇ、イリス。索敵って交代でかけないといけないほど魔力を必要としたっけ?」
「私やお姉様くらいの魔力があれば気になりませんよ。それと集中力が必要なのでそんなの長時間使ってられないのですよ。」
なるほど、では四六時中索敵をかけていられる私は何なのでしょうか?特に集中している気はないのですけど。
「そうなんだ。」
「お姉様?ひょっとしてずっと索敵かけていたりしますか?」
「えっ。」
「かけてるんですね?」
「い、イリス。あのね・・・」
「かけてるんだ・・・お姉様の非常識さは私の想像の斜め上をいってます。」
イリスに非常識と言われてしまいました。かなりショックです。
「お姉様、他の人には言ったらだめですからね。」
「う、うん。」
なんかイリスに注意を受けてばかりな気がします。普段は私がイリスに注意する側なんですけど。
シスターズ ~妹は転生賢者のようですが、異世界転生した私は現代知識でチートする~ 睦月薫 @KaoruMutuki
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