シスターズ ~妹は転生賢者のようですが、異世界転生した私は現代知識でチートする~

睦月薫

File001.異世界転生

 「お姉様、お姉様・・・」

 ・・・誰?私を呼んでるの?

 「お姉様、目を開けて下さい・・・」

 ・・・私を呼んでるの・・・誰?なんだかとても眠いの・・・もう少し・・・もう少し寝させていて・・・

 「お姉様・・・死なないで下さい・・・もう1度目を開けて下さい・・・」

 ・・・死ぬ?私が・・・私は誰?そして、ここはどこなの・・・

 「お姉様・・・」

 ・・・・・・・・・・




 私の名前は、有栖川怜奈ありすがわれいな普通の大学生・・・のはずだ・・・多少趣味は偏っていると自覚はあるが、それでも普通の範疇内だと信じている。自己申告ではあるが・・・

 私は、交通事故に遭い病院に搬送・・・その辺りから記憶が曖昧・・・そのあと誰かと会って話をしてような気がするのだけれど・・・病院で?いえ、違うような気がする・・・確かに白一色の部屋だったような気がするけど、病室ではないように思う・・・誰と話をしたのだろうか・・・


 そして、今・・・

 私は死にかけているようです・・・

 さっき交通事故に遭ったばかりですよ・・・まだ病院のはずなのに・・・

 私は一人っ子で、妹なんていないはずです・・・

 頭の中がグルグルしていてよく分からないです・・・そんなに耳元で大声を出さないで下さい・・・

 もう少しだけ寝させて下さい・・・起きてから聞きますから・・・




 「お姉様、よかった・・・ポーションが間に合ったようです・・・」

 えっ・・・ポーション?お薬の事でしょうか?

 「私の魔法が未熟な為、お姉様を危険にさらしてしまって・・・」

 はい?魔法ですか・・・この手のゲームは嗜んではいますが、そこまでやりこんだ憶えはありませんよ・・・それに私がよくやっていたのはVRMMOではなくてTRPGのはずです・・・

 「お姉様・・・私の事・・・わかりますよね・・・」

 綺麗な子ですね・・・こんな娘が妹だったらいいですね・・・

 なんか頭の中に色々な記憶が流れ込んできます・・・幼かった頃の記憶、いつも一緒だった妹の記憶・・・

 私・・・転生したんですか?流行のあれですか?

 「・・・イリス?」

 私は流れ込んできた記憶の中にいる妹の名前を呼んでみた・・・

 「・・・そうです、アリスお姉様の妹のイリスです。」

 私の妹・・・妹と言っても双子ですね・・・魔法の才能のあるとても良く出来た妹です。

 「私がお姉様を森になんか連れ出さなければ・・・」

 どうやら森でオークに遭遇して、私は大けがを負ったようです。1匹はイリスが仕留めたようですが、もう1匹が私を攻撃したようです・・・それで瀕死の状態ですか・・・

 確かにオークは強いですが、ちゃんと帯剣していたようですし、それなりの訓練も受けていたようです・・・私って弱いのですか・・・普通転生って、異世界無双なんじゃ・・・そうですか・・・転生前でしたね・・・これから無双って事ですね・・・



 「お姉様、まだ横になっていて下さいね。傷は塞がりましたけど、まだ体力は戻ってないでしょうから。」

 たしかに・・・力が入りませんね、ずいぶんと血を失ったようです・・・しばらく安静でしょうか・・・

 「イリス、ごめんね・・・」

 「そんな、お姉様が謝る事なんてないです。全部私のせいなんです・・・」

 まぁ、イリスに誘われてゴブリン討伐に出たようなんですが・・・ゴブリンとか、オークとか普通にいる世界なんですね・・・

 ファンタシー物はTRPGくらいしかやってないですからね・・・MMOはどうも好きになれませんでした・・・

 普通の女子大生ですよ・・・ちょっとだけ趣味が偏っているだけの・・・ちょっとだけです・・・



 しばらく森の中で休息を取ってから家に戻ってきました。うちは両親も冒険者で、結構家を空けている事が多いです。以前はメイドを雇っていた事もありますが、今は私達も大きくなったのでメイドはいませんが・・・少しだけ残念です・・・リアルメイド見たかったです・・・


 「お姉様・・・もう起きて大丈夫なの・・・」

 私がキッチンに行くとイリスが食事を作ってくれていたようです・・・お世辞にも上手とは言えませんでしたよね・・・でも私の為に作ってくれたのですから食べますが・・・

 「ええ、もう大丈夫。心配かけちゃったわね。」

 アリスの記憶のせいか、イリスとも普通に話す事が出来るようです。そうでなければ、金髪美少女とお話しなんて無理です。まぁ、私も同じ容姿なのですけどね・・・だって双子なんですから・・・

 「お姉様。次は絶対守ってみせるからね・・・」

 まだ、森に行くつもりなのですね・・・来年になって冒険者登録をしてからにしませんか?私達まだ未成年ですよ・・・14歳ですからね・・・勝手に森に入ってるのがバレたら怒られますよ・・・

 「イリス・・・森に入るのはちゃんと冒険者登録してからにしない?」

 「でも・・・」

 「でもじゃなくて・・・」

 「わかった・・・もう少し訓練とかしてからにするね。」

 そこは、冒険者登録してからにしますと言わないといけないところですよ。

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