File058.依頼完了

 やっと町に帰ってきました。まずはマーキスお兄ちゃんに付き合って冒険者ギルドですね。ワイバーンを持っているのは私ですから仕方ありません。。

 「アリスちゃん、悪いな。治癒をかけてもらう前に付き合わせちまって。」

 「怪我の方はだいぶ良くなってますので、構いませんよ。」


 冒険者ギルドの受付でマーキスお兄ちゃんが話している間ちょっと暇ですね。依頼のボードでも見ていましょうか。

 たいして面白い依頼もないですが、ゴブリンの討伐がやけに多いですね。大量発生でもしているのでしょうか?あとでマーキスお兄ちゃんに話しておきましょう。


 「アリスちゃん、解体場まで来てくれるか?」

 ワイバーンを出すのですね、ここの町の解体場は広いのでしょうか?ワイバーン3匹ってかなり嵩張りますよ?

 結構大きな解体場ですね。でも、3匹はちょっときついんじゃないですか?いいところ2匹です。

 「マーキスお兄ちゃん、ここに出すんですか?」

 1匹だけ出すんですか?食べかけを出せばいいんですね。小声で話してくるってことは聞かれたくないってことですね。2匹目からはほとんど素材だけの値段になるってことでしたね。値段を釣り上げるつもりですか。

 「マーキスお兄ちゃん、これでいいですか?」

 アイテムボックスからワイバーンを出しましょう。周りの人が驚いてますが、気にしないでおきましょう。アイテムボックス持ちだとバレますが、マーキスお兄ちゃんがなんとかしてくれるのでしょう。

 ギルドの人が討伐完了の確認をしてますね。解体場の人は査定ですか。肉を取った分値段は下がりますが、状態がいいので結構な値段で買ってもらえるようです。

 「マーキスお兄ちゃん、あとはどうしますか?」

 「ちょっと待っててくれ。今から交渉してくる。」

 やっぱり値段を釣り上げるんですね。あと2匹は状態がいいですからね。2匹目は5割り増し、3匹目は3割増しですか。交渉が上手いですね。3匹目はギルドの裏の広場に出すんですね。了解です。



 「結構高値で売れたな。これもアリスちゃんが全部持ってきてくれたおかげだ。」

 「私は大したことはやってませんよ。」

 「何言ってるんだ。今回のワイバーン討伐の手柄はほとんどアリスちゃんだぞ。それこそ飛び級でAランクに申請してもいいくらいだ。」

 飛び級って、そんな制度もあるんですか?あまりにも優秀な冒険者がいつまでも低いランクでいるのは損失でしかないので、早めにランクを上げる制度ですか。

 「私はゆっくりでいいですから、そんなことしないでくださいね。」

 「そうか?ランクが上がれば色々と恩恵もあるんだぞ。」

 受けられる依頼の幅も広がるし、依頼料も高くなるですか。まぁ、今のところ困ってませんし、このままでいいですよ。

 「今は、マーキスお兄ちゃん達と一緒にいられればいいので、特に必要ないですよ。」

 「本当にアリスちゃんはいい子だなぁ、エマ達には内緒で何か美味いものでも食べて帰るか?」

 また、子供扱いですか?

 「そんなに子供扱いしないでください、そんなに子供扱いするなら、マーキスおじちゃんって呼びますよ。」

 「いや、悪かった。もう子供扱いはしないようにするから、おじちゃんはやめてくれるか?」

 おじちゃんは嫌なのですね。子供扱いしないなら今のまま、お兄ちゃんと呼びますから安心してください。

 もちろん帰りがけに、美味しい揚げパンを奢ってもらったのは言うまでもありません。エマお姉ちゃんやイリスにも内緒です。キティお姉ちゃんは町に帰って早々、囚人の収容施設に言ってしまったので知りません。本当に人体実験するんですね。怖いです・・・



 「お姉様、お帰りなさい。なんか揚げパンの匂いがします。お姉様、食べてきたんですか?」

 イリスの嗅覚は犬並みですか?匂いでばれるなんて嫌ですよ。

 「知りませんよ?揚げパン屋さんの前を通ったからじゃないですか?」

 「そうですか?なら後で、その揚げパン屋さんに連れて行ってください。すごくいい匂いなんで食べてみたいんです。」

 イリスは食べ物に関して結構うるさいですね、そのうち変な称号がつきますよ。転生者の横に食道楽とかついても知りませんからね。

 「先に治癒魔法をかけてもらってくるから、また明日にでも食べに行きましょう。」

 はい、今行ったら確実にバレますから。明日ならきっと大丈夫でしょう。


 「ロッドお兄ちゃん、上級の治癒魔法ってどこでかけてもらうんですか?」

 「そうだな、魔法使いギルドか、教会だな。アリスちゃんは魔法使いギルドには登録してないんだよな?」

 魔法使いギルドですか?初めて聞きましたね。イリスは知っているのでしょうか?

 「私はあんなところ必要ないと思ってるんで、登録しようと思いませんでしたよ?」

 あっ、一応知っていたんですね。魔法使いギルドというのは魔法を教えてくれるところらしいです。もちろん会費が必要ですし、魔法を覚える時にはさらにお金がかかるようなのです。確かに全ての魔法を知っているイリスには必要のないところですね。

 「そうすると、私は教会の方がいいんでしょうか?」

 「そこそこお布施は必要だが、そっちの方がいいと思うぞ。」

 なるほど、では教会にいきましょう。ところでこの町の教会はどこでしょうか?

 「ロッドお兄ちゃん、この町の教会ってどこにあるんですか?」

 「それじゃあ、案内してやるよ。さっきイリスちゃんが言っていた揚げパン屋も近くだし、イリスちゃんも一緒に行くか?」

 「そうなんですか?ロッドお兄さん、イリスも一緒に連れて行ってください。」

 揚げパン屋の近くだったんですか。まずいですね、マーキスお兄ちゃんに奢ってもらったのがバレますね。せっかく内緒でって言ってたのに・・・






********** 宣伝のコーナー **********


カクヨムのコンテスト用に書き下ろした作品です。


人形の館 ~人材派遣って人形を貸してもいいですよね?~


カクヨム

https://kakuyomu.jp/works/16817330647858637456


応援よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る