File039.塩むすび

 お米を買った後に、大きめの瓶と木の棒を買っておきました。もちろん精米するためですよ。馬車に乗っている間、これで精米でもしようと思います。精米しなくても食べることはできますが、あまり美味しくなりませんからね。


 

 準備もできましたし、これでいつでも出発できます。

 英気の補充だと言って、キティお姉ちゃんのベッドに引き込まれました・・・私はぬいぐるみとかではないので、寝る時に抱き抱えたりしないでください・・・

 結構しっかり抱き抱えられてしまってますので、簡単には抜け出せませんね・・・頑張れば抜け出せないことはないのですが、別に嫌なわけでもありませんし、このまま寝てしまいましょう・・・


 朝起きるとエマお姉ちゃんの肌がツヤツヤですね・・・キティお姉ちゃんもそうですから、イリスが抱き抱えられてましたね・・・本当にこんなんで英気を補充できるのですね・・・2人の事をすごいと思ってしまいました・・・私はイリスを抱っこして眠っても英気を補充することはできませんからね・・・


 「それじゃあ、出かけるぞ。」

 マーキスお兄ちゃんの号令でザナックさんの待っている広場に向かいます。私は、ザナックさんの食料を持つ依頼も別に引き受けていますからそれも預からないといけません。


 マーキスお兄ちゃんに聞いてみたら、それは私個人に出ている依頼なのでパーティとは別口で受けてもいいそうです。あくまでも、パーティが引き受けた依頼は護衛依頼だということらしいです。


 「やぁ、アリスちゃん。今回は護衛依頼とは別口でこの荷物を運んでもらうことになるのだが、よろしく頼むよ。」

 「はい、わかりました。」

 私が運ぶのはあくまでも、旅の途中に必要と思われる食料だけです。ザナックさんの商品は一切運ばないという契約です。それを運び始めるとその依頼ばかりになってしまいますからね・・・私が商人をやった方が早くなってしまうのはよろしくないです。商人になる気は無いのですから・・・



 「それじゃあ、アリスちゃんとイリスちゃんは交代で馬車に乗ってくれていいぞ。」

 私たちは馬を持ってますから、馬を連れてきてます。ロッドお兄ちゃんが馬があると便利だから連れてきた方がいいと言ってましたから。確かに斥候とかで先に進むにしても馬があると便利ですからね。

 「いいんですか、私たちも馬車に帯同して歩きますよ。」

 「2人はまだ体もしっかりできてないんだ。馬車と馬で移動すればいい。」

 マーキスお兄ちゃん・・・意外と過保護ですよ・・・でも、せっかくですから好意に甘えましょう。

 「「ありがとうございます。」」

 また、ハモりました・・・



 またこれから5日間の行程で、この間までいた町に戻ります。今回は魔物が出たら私たちも戦闘に参加しますよ。出発前に、弱い魔物が出たら戦ってもらうと言ってましたが、多分戦わしてもらえないような気がします・・・エマお姉ちゃんやキティお姉ちゃんが率先して倒してしまうような気がするんです・・・



 街を出発して2日経ちますが、私達のところに魔物が回ってきません・・・意外ですが、マーキスお兄ちゃんとロッドお兄ちゃんが倒してしまうそうです・・・

 「悪いなぁ、いきなりだったから倒しちまったよ・・・」

 ロッドお兄ちゃんはこう言っていましたが、ずいぶん早くに見つけていたたように見えます・・・私達に戦わせる気はなさそうですね・・・ロッドお兄ちゃんも過保護ですね・・・


 私は馬車に乗っている時間で、お米の精米をすることにします。

 「ねぇ、アリスちゃん・・・それってこの間買ったお米でしょ?なんで潰したりしてるの?パンでも焼くの?」

 「違いますよ、お米を炊くんです。」

 「煮るってこと?」

 「まぁ、そんな感じです。」

 「お米って、煮ても焼いても美味しくならないってマーキスが言ってたわよ。」

 そんなこと言ってたんですか・・・マーキスお兄ちゃんにはあげませんよ・・・

 「任しておいてください。キティお姉ちゃんには美味しいお米を食べさせてあげます。」

 「本当、それじゃあアリスちゃんがあ~んしてくれるのを待ってるわね。」

 「えっ?」

 「食べさせてくれるのよね?」

 食べさせるの意味違ってませんか・・・あ~んはやりませんよ・・・


 精米は結構時間がかかりますね・・・今度スキル使って精米器でも作りましょうか・・・お米のためですからしっかりとしたものを用意したいですから。



 今日の野営で、お米を炊きましょう。初めちょろちょろ、なかぱっぱです・・・


 そこそこ美味しく炊けましたね・・・もっと白いご飯が炊ければよかったのですが、かなり茶色いですね・・・精米が足りないのでしょうね・・・あれは時間がかかりますから・・・やっぱり精米器は作った方がいいみたいです・・・

 ちょっと熱いですが、おにぎりにしてしまいましょう。塩を少し使った塩むすびです。


 「キティお姉ちゃん。約束の美味しいお米ですよ。」

 「これがお米?煮るんじゃなかったの・・・」

 「煮るとはちょっと違うんですが・・・」

 「じゃあ、あ~んして食べさせてね。」

 「それはやりませんよ・・・自分で食べて下さい。」

 「仕方ないわね・・・このまま食べればいいの?」

 「はい、塩で味付けしてあるので、そのまま食べてください。」

 「あら、ホクホクしてて美味しいわ。お米ってこんなに美味しかったの?」

 「ちゃんとした調理をすれば美味しいですよ。」

 「米がうまいって、どういうことだ?」

 マーキスお兄ちゃんですか・・・お米は煮ても焼いても食べられないでしたっけ?

 「お米はまずいんでしたよね?お口に合いそうに無いのでマーキスお兄ちゃんの分は無しでみんなで食べましょう。」

 「ちょっと待て、きっと調理の仕方だ・・・アリスちゃん、俺にも分けてくれるよな?」

 「仕方ありませんね・・・」


 私のおにぎりは結構高評価だったようです。また作ってくれとのことでしたので、やっぱり精米器は必要のようです。






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