File038.着せ替え人形

 宿に戻ってきました・・・予想通り、私とイリスは着せ替え人形状態です・・・キティお姉ちゃんの趣味と言うことで、かなりひらひらのお洋服です・・・結構な値段がしたと思うのですが、私とイリスの分を買ってもらいました。

 たまに・・・いえ、依頼の時以外は着ていて欲しいそうです・・・かなり可愛らしい服なので、断りにくいのですよ・・・イリスが着ているのを見て可愛いと思ってしまったのです・・・私達双子ですよ・・・私が着てても可愛いって事ですよね・・・多分・・・


 「なぁ、アリスちゃん・・・その服は何なんだ?」

 食事の時にマーキスお兄ちゃんに言われてしまいました・・・イリスとお揃いのひらひらのお洋服を着ていればそんな感想も出るでしょうね・・・

 「可愛いでしょ?可愛いわよね。」

 キティお姉ちゃん・・・マーキスお兄ちゃんに返事を強要するようしないでください。困っているじゃないですか・・・

 「あ、ああ・・・可愛いと思うが、なんでそんな格好をしているんだ?」

 「キティお姉ちゃんが、プレゼントしてくれたんです・・・」

 「なるほど、キティの趣味で着せられているというわけか・・・」

 はい、そう言うわけです・・・

 「別に無理やり着させてるわけじゃないわよ。」

 確かに無理やり着せられたわけではないです・・・脱ぐのを却下されただけですね・・・


 「まぁ、依頼の時は普通の服にしてくれよ・・・」

 もちろんですよ・・・さすがに依頼の時はこれは着ませんよ、着させたりはしませんよね?


 食事をしながら今後のことを話しました。私達は十分戦力になると言うことなので、隊列のことや、何かあったときの行動など、色々話し合います。

 私とイリスは2人でワンセット扱いです。万が一パーティを2つに分ける必要が出来たときも、私とイリスで行動した方がいいだろうとのことです。

 今まで、マーキスお兄ちゃん達で決めてきた色々なルールのようなことも私達が入ったことで少し変更をしたりしながら私達にも教えてくれました。


 お試しとは言ってましたが、マーキスお兄ちゃん達は本格的に私達をパーティに組み入れる気で話しているようです。

 私達としても、悪い話ではないのでしばらくはこのまま任せようと思ってます。


 「それじゃあ、食料以外の物は揃ったんだな。」

 「ええ、護衛依頼ならこのくらいあれば大丈夫だと思うわ。日数はまた5日なんでしょ?」

 「ああ、またいつもの町に戻るコースだ。」

 マーキスお兄ちゃんとキティお姉ちゃんが、今日買ってきた物と、今後の日程を話しています。エマお姉ちゃんは・・・イリスを抱きかかえて頭を撫でてますね・・・イリス、交代はしませんからね、1人で頑張って下さい。

 私はイリスを見捨てて、2人の話を聞いていましょう。ロッドお兄ちゃんは・・・ベッドの上でいびきをかいてますね・・・飲み過ぎですか・・・ダメですよ・・・




 依頼の前日に、市場で頼んでおいた食材を取りに行きます。今日は私とキティお姉ちゃんの2人です。イリスが自分も連れて行って欲しいと言っていましたが、エマお姉ちゃんに捕まったまま逃げ切れなかったようです。どこがちがうのか分かりませんが、イリスはエマお姉ちゃんに気にいられたようです。


 「エマお姉ちゃんはどうしてイリスばかり可愛がるんでしょうか?」

 「あら、アリスちゃんもお姉ちゃんの方がよかった?」

 「あ、いえ、そう言うわけじゃないんですけど・・・私達って双子じゃないですか・・・何がちがって見えるのかなと思って・・・」

 「お姉ちゃんは、イリスちゃんの魔法使いとしての資質が気になるのだと思うわ。」

 「おもちゃにしてるだけじゃないんですね・・・」

 「う~ん・・・7割位はそっちだと思うわ・・・」

 そんなにおもちゃの割合が多いんですか・・・キティお姉ちゃんは私のことをどう思ってるんでしょうか・・・聞いてみたい気もしますが怖すぎます。

 「私はそんなんじゃないから安心していいわよ。」

 「えっ・・・顔に出てましたか?」

 「そんな気がしただけ。私は本当に妹が欲しかっただけだから。いっぱい甘えていいのよ。」

 そうですか・・・エマお姉ちゃんにされたことをそのまま私にしているんでしょうね・・・なんとなく解りましたよ。


 「ここで食材を受け取ったら終わりだから。」

 最後の店にやってきました。豆とかですね、一応パンと並んで主食になりますね。お腹も膨れますし私も結構好きですよ。

 店頭にお米らしき物が並んでますね・・・ええ、麦ではなくお米ですね・・・

 「おじさん・・・それってお米ですか?」

 「ああ、お嬢ちゃんは米をしっているのかい?」

 「ええ、一応。それって、いくらですか・・・」

 「そうだな・・・うちではあまり売れないからな・・・一袋銀貨5枚でどうだい?」

 銀貨5枚ですか・・・小麦よりずいぶん安いですね・・・

 「今、どれだけありますか?」

 「今は、10袋だな。全部買ってくれるなら1袋分割り引いてやるぞ。」

 金貨4枚と銀貨5枚ですか・・・

 「金貨4枚なら、全部買い取りたいです。」

 値切ってみましょうか・・・売れないと言ってましたし、負けてくれるかもしれないですね。

 「う~ん・・・金貨4枚と銀貨2枚までなら負けてやる。」

 「わかりました。全部下さい。」

 「ねぇ、アリスちゃん・・・そんなの買って大丈夫なの?」

 玄米のままなので1年や2年は大丈夫でしょう。特にアイテムボックスの中ですし、そのくらいは持つはずです。

 「大丈夫ですよ、かなり長持ちするはずですから。」

 「そうなの・・・ならいいけど・・・」

 キティお姉ちゃんが心配そうにしてますね・・・美味しいご飯を食べさせてあげますから待っていて下さい。これでご飯が食べられますね・・・なるべく綺麗に精米しておにぎりにでもしましょうか・・・塩むすびでも美味しいですから・・・





********** 宣伝のコーナー **********

カクヨムのコンテスト用に書き下ろした作品です。


人形の館 ~人材派遣って人形を貸してもいいですよね?~


カクヨム

https://kakuyomu.jp/works/16817330647858637456


応援よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る