File048.お嫁さん
「アリスちゃん、今回は休みなしで目的地まで行くことになるかもしれないから、食材の調達お願いできるかしら?」
「どの位持って行きますか?」
「そうね、1ヶ月。できれば2ヶ月分持って行きたいわ。」
「いいですよ。私のアイテムボックスに入れていきますね。」
「アリスちゃん・・・入るの?」
「えっ・・・」
「私達全員分の食料・・・2ヶ月分よ?」
ああ、量のことですか・・・言ってませんでしたね・・・
「えっと・・・入りますよ・・・」
「大きめの馬車を借りに行ったのだけど・・・必要なかったかしら?」
「か、帰りのワイバーンを入れてくるのに・・・」
「ワイバーン3匹・・・入れられる?」
「・・・・・・・・・・」
「入るのね?」
「はい・・・多分・・・」
「はぁ~・・・」
あきれられてしまいましたね・・・まぁ、エマお姉ちゃん達はここで私を独占しようとかしないので付き合えてる部分はあるのですけどね。
「アリスちゃん。やっぱり私の妹になりましょ。」
いぇ・・・独占しようとはしてますね・・・エマお姉ちゃんの場合私がアイテムボックス持ちだからと言う意味よりも妹としての割合が高く感じますけど・・・
「妹にはならないって言ったじゃないですか・・・」
「妹がダメなら、キティのお嫁さんでもいいわよ。」
「ちょっと、お姉ちゃん・・・そりゃ、嫌じゃないけど・・・」
最後の方が良く聞き取れませんでした・・・でも嫌がっていることだけは分かりますよ・・・いくら女の子同士の結婚が認められているからといって、実際するとなるとちがうのです。
「エマお姉ちゃん、キティお姉ちゃんが嫌がってるじゃないですか・・・」
「えっ?」
「えっ・・・嫌がってないんですか?」
「そんな、アリスちゃんと結婚だなんて嫌がるはずないじゃないの・・・」
「・・・・・・・・・・」
2人とは少し距離をとった方がいい気がしてきました・・・身の危険を感じます・・・
「お姉様・・・絶対ダメですよ・・・お姉様は私と一緒になるんですから・・・私がお姉様のお嫁さんになるんです・・・」
「イリス、私はあなたの旦那さんになる気はないからね。わかった?」
「わかりました・・・お姉様がお嫁さんでいいです・・・」
えっと・・・そう言うことじゃないんですよ・・・結婚しないと言いたかったのですが・・・
「イリス、そうじゃなくてね・・・」
えっ、そこで泣きますか?今、ここでですか?私が虐めてるように見えるじゃないですか・・・
「い、イリス・・・泣かないでちょうだい・・・」
「じゃあ、お嫁さんになってくれますか・・・」
「それとこれとは別です!」
「ちっ・・・」
「イリス!」
逃げてきましたよ・・・嘘泣きですか・・・あざとすぎます・・・
「イリスちゃんもなかなかやるわね・・・」
「妹だからできる方法ですか・・・侮れませんね・・・」
エマお姉ちゃんもキティお姉ちゃんも何を言ってるんですか・・・3人で私を争うのですか?普通なら「私のために争わないで・・・」なんて台詞も出てくるところでしょうが、相手は3人とも女の子ですよ・・・寂しいじゃないですか・・・
私って、女の子受けする顔立ちなのでしょうか・・・でも、イリスも同じ顔ですよね・・・双子ですし・・・
「エマ達の方は準備できたか?」
「ええ、アリスちゃんが全部持ってくれたわ。」
「・・・全部って・・・」
「2ヶ月分全部よ・・・」
「「・・・・・・・・・・」」
マーキスお兄ちゃんもロッドお兄ちゃんも固まらないでください・・・入ったものは仕方ないじゃないですか・・・それでも、人がいるところではアイテムボックスの事は口に出さないのですね・・・さすがです。
「お姉様のアイテムボックスは大きいんです。」
イリス・・・あなたはあとでしっかりと教育しましょうね・・・みんなを見習いなさい・・・
「大きめの馬車を借りてきたんだがなぁ・・・必要なかったか?」
「いいんじゃない?寝床としても使えるし・・・」
エマお姉ちゃん、その半分諦めましたって感じで言うのやめて下さい・・・
「少し出しましょうか?」
「いや、いい・・・持っててくれ・・・」
マーキスお兄ちゃんも早々に諦めた顔をしないで下さいよ・・・ロッドお兄ちゃんに至ってはもう別のことをしてます・・・諦めきった顔をしてますね・・・
私もこの事実に対して諦めましょう・・・これに慣れないといけないのですね・・・
「マーキス・・・ワイバーンも3匹いけそうよ・・・」
「マジでか・・・」
「うん・・・」
みんな、だんだん言葉が少なくなってきましたよ・・・
「まぁ、アリスちゃんだし・・・この際諦めるか・・・」
「マーキスお兄ちゃん、私だからってなんですか・・・酷い言い方じゃないですか・・・」
怒っていいですよね・・・あの言い方は酷いです。
「アリスちゃん、いいか?剣と魔法が両方とも使える時点でちょっとおかしいんだからな。今更だとは思わないか?」
「うっ・・・」
「だからといって、アリスちゃんをどうこうしようとは思わないしな。それにキティのお嫁さんになるんだって?」
「なりません!」
エマお姉ちゃんですね・・・そのことを話したのは・・・いつ話してたんですか・・・キティお姉ちゃんもそこで否定して下さいよ・・・
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カクヨムのコンテスト用に書き下ろした作品です。
人形の館 ~人材派遣って人形を貸してもいいですよね?~
カクヨム
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