File033.ほうれんそう
「イリス、ちょっといい?」
「なんですか、お姉様。」
「実は昨日ね・・・」
昨日マーキスさんにパーティに誘われたことを話しましょう。とてもいい話ではあるので保留にはしましたがイリスの意見も聞いておかないといけませんからね。
「その話、私もキティさんにされたよ。」
イリスにはキティさんが話していたんですか・・・ちゃんとどちらにも話をしていたんですね。
「イリスはどう思う?」
「うん、みんないい人達だと思うけど・・・私達ってまだ駆け出しだし・・・」
イリスもそう思ってるんですね・・・よかったです。私だけがそう思っていたわけじゃなくて一安心です。
「マーキスさんには前向きに検討するって事で、保留にして貰ってるわ。」
「それじゃあ、早く一人前にならないといけないですね。」
なんだかんだ言って、マーキスさんの所のパーティに入りたいようですね。私もマーキスさんの所でやっていけるのならお願いしたいと思いますからね。
「それなら当面の目標は、Cランクになることかしら。」
「そうですね。お姉様、頑張りましょう。」
とりあえずは、Cランクになってから考えると言うことでイリスとの話はお終いですね。
さっきからキティさんがこっちを伺っていますね・・・パーティに入るかどうかの話でしょうね・・・
「キティお姉ちゃん、何か用ですか?」
「別に用事って訳じゃないんだけどね・・・」
「パーティのことですか?」
「あはは、昨日イリスちゃんに断られちゃったから・・・」
イリスははっきり断ったんですか・・・そこはちゃんと保留とかしておきましょうよ・・・いい人達なんですからちゃんとしておくべきだと思うんですよ・・・
「イリスがそんなこと言ったんですね・・・ごめんなさい・・・」
「いいのよ、アリスちゃんはマーキスに保留って言ってくれてたんでしょ?」
「はい、さっきもイリスと話をして保留って事になりましたよ。」
「それじゃあ、まだアリスちゃん達とパーティーを組めるかもしれないのね。」
まぁ、そうなりますね・・・私としては自分の実力さえ問題なければ一緒に行きたいと思っちゃってますから。
「マーキスお兄ちゃんはBランク、お姉ちゃん達ももうすぐBランクですよね・・・」
「そうね、この仕事を終えて、あと1つ依頼を受ければそろそろ試験を受けても良いかなって感じかな。」
試験があるのですか・・・聞いてませんよ・・・
「試験があるの?」
「Bランクからは昇級試験があるの。実績だけでは判断できないところもあるからって・・・」
「ちなみにBランクの実績ってどんなのがあるんですか・・・」
結構気になりますね・・・Cランクもまだなのにって気もしますが、いずれはBランクも狙いたいですから・・・
「そうね、パーティでなら群れの討伐は必要かしら。それと盗賊討伐の依頼なんかも必要ね。あとは4箇所以上のギルドでの依頼を受ける事かしら?」
「なんで4箇所以上のギルドで依頼を受けるのが実績になるんですか?」
「そうね、1箇所だけだと贔屓目に見られることもあるからって事ね。」
なるほど、不正防止って事ですか。それなりにしっかりしてるんですね。大きな組織ですから当たり前と言えばそれまでなんですけど・・・
「群れの討伐って、なんの群れでも良いんですか?」
「そうね・・・ゴブリンなら集落位。オークなら10匹以上。オーガ位になると3匹位で群れ扱いされるわね・・・」
そうですか・・・ゴブリンだと集落ですか・・・やってしまってますね・・・それでギルドであんなに注意を受けたんですか・・・納得です・・・
「ゴブリンの集落って潰すのって大変なんですか・・・」
「ゴブリンはあまり強くないから、優秀な前衛と優秀な魔法使いがいれば何とかなる位かしら。ちょうどアリスちゃんとイリスちゃんみたいな感じかな?」
「それなら私達ならできちゃう感じですか?」
どの位の実力と見られてるのでしょうね・・・ちょっと聞いてみましょう。
「そうね・・・ちょうど先日ゴブリンの集落が見つかったんだって。誰かに潰されたようなんだけど・・・」
あっ・・・これって、私達がやったって知ってますね・・・どこから漏れたんでしょう・・・
「そ、そうなんですか・・・」
「アリスちゃん、目が泳いでるわよ・・・2人でやっちゃったんでしょ?」
「えっとですね・・・」
「ほら、お姉ちゃんに正直に言っちゃいなさい。」
「はい・・・2人で潰しました。」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
気まずいです・・・この思い空気をどうにかして欲しいです・・・
「マーキス・・・やっぱりこの子達だったって。ゴブリンの件。」
ちょ、早速マーキスさんに報告ですか・・・「ほうれんそう」は大切ですか・・・はい、先日習いました。嫌と言うほど・・・
「やっぱりか・・・知り合いの冒険者がほとんど知らないって言ってたからな。消去法でアリスちゃん達だと踏んでたが、本当だったか・・・」
2人の視線が痛いですよ・・・Bランク程度の実力があるって事ですよね・・・実力不足って事は言えそうにないですね・・・経験不足なだけですか・・・
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