File032.父様・・・

 護衛も4日めです、ボアが出てからは毎日平和ですね。そうそう魔物がでていては危なくて仕方がないですか・・・全くです。

 やっぱり、安全第一ですからね。


 「アリスちゃん、ちょっといいかな?」

 ザナックさんですか、なんでしょうか・・・

 「はい、なんでしょうか?」

 「確か2人はもうすぐ成人すると言っていたね。」

 「はい、後4ヶ月ほどですね。」

 「次の移動からは、護衛も視野に入れての帯同にしないか?」

 護衛任務も含むということですか・・・

 「私達で務まるでしょうか?」

 「まだまだ慣れも必要だろうから、他の冒険者との合同ということになるだろうが、2人が成人した後は護衛もメインでお願いしたいと思うんだよ。」

 なるほどそういうことですか・・・確かに私たち2人がただの荷物持ちとしてついて行くのでは勿体無いですからね、そこそこの戦力になるかをテストしようということですか。私たちの実力についてはマーキスさんあたりからも聞いているのでしょう。オークが倒せるなら大丈夫との判断なのでしょうね。

 「わかりました。こちらこそよろしくお願いします。」

 もちろん快諾しておきます。今のところザナックさんのところはいい稼ぎ口なので、頑張りたいと思いますからね。


 「イリス、まだ先の話になりますけど、ザナックさんの所でちゃんとした護衛依頼を受ける話をしてきましたよ。」

 「そうなの?」

 「ええ、本格的な護衛依頼は私たちが成人する頃になると思うけど、その間に他の冒険者と合同で護衛任務にあたることになると思うわ。」

 「合同での護衛依頼ですか。Cランクへの昇格の条件にもありましたよね、護衛依頼。」

 「そうね、ザナックさんの所にいればそのうち受けることになるとは思ってましたけど、結構早くに受けることになりましたね。」

 「まだ、今回の依頼も終わってませんけどね。」

 イリスの言う通りですね・・・町まで後1日ほどですが、まだ到着していないのですから気を緩めてはいきませんね。



 「よう、アリスちゃん。今日は俺とペアだ。よろしくな。」

 マーキスお兄ちゃんですか。これで全員と一緒になりましたね。これって、意識して組んでるんでしょうね・・・

 「どうだ、ザナックのところに帯同してみて。」

 どうだって・・・たいして何もしてませんでしたからね。

 「どうと言われても、私たちは荷物持ちでしたし・・・」

 「そうだな・・・今回自分達が護衛をしていたとしたら2人だけでやっていけれたと思うか?」

 そう言うことですか、帯同しただけでなくちゃんと勉強できたかってことですね。

 「正直言って、無理だと思いました。」

 「ほう、どこが無理だと思った?」

 「私たちは2人だけなので、護衛をするには人数が足りません。」

 「そうだな、合同依頼とかで受けないと休息も取れないはずだ。」

 「はい・・・」

 「お前達と同じくらいの力量の者とパーティを組むのもいいだろうし、常に他の冒険者と合同で依頼を受けるのもいい。」

 「はい、そう言うのは必要だとは思います・・・」

 「力量という点では異なるが、ウチのメンバーとしてパーティに入ってくれてもいいぞ。」

 マーキスさんのところにですか・・・嬉しい話ですよね・・・みんないい人ですし、一緒にいても安心できます。でも、まだまだ私達が実力不足でお荷物でしかないように思います。

 「いい話だとは思うんですけど・・・私達がお荷物になりそうで・・・」

 「まぁ、今のところはお荷物だろうと思うぞ。ただ、お前らは将来有望そうなんだよ。」

 「私達がですか?」

 「ああ、2人ともしっかりした冒険者になると思う。特にアリスちゃんはアイテムボックス持ちだ。」

 確かにアイテムボックスを持っているだけで、旅が随分と楽になりますからね・・・

 「やっぱりアイテムボックス持ちは貴重ですか?」

 「ああ、魔法が使えて、戦闘ができる。そんなアイテムボックス持ちなんてほとんどいないからな。早めにスカウトしておきたいというものだよ。」

 「スカウトするのは私だけですか?」

 「まさか、イリスちゃんもだよ。話してみてわかったが、あの子は魔法に関してはかなりの知識があるみたいだな。将来は良い魔術師になると思う。」

 そんなところまで見ていたのですね・・・交代で私達とペアを組んだのはそう言ったところを見るためでもあったわけですね。

 「しばらく考えさせてもらっても良いですか?」

 「ああ、そこまで急ぐ話でもないからな。これっきりというわけでもないだろうしな。」

 「はい、ちゃんとしたお返事をするまでは他のパーティに誘われても入らないようにしますんで。」

 「ははは、そう言ってもらえると嬉しいよ。」

 「代わりに父様と呼んだらいけませんか?」

 ちょっと悪戯してみましょう・・・

 「・・・・・・・・・・」

 「じょ、冗談ですよ・・・」

 「ウチのパーティに入ってくれるというならそれでも構わんぞ・・・」

 「えっ・・・」

 待ってください、そこまでして私達をパーティに入れたいのですか・・・

 イリスと要相談ですね・・・

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