File031.お兄ちゃん

 今日の夜営場所に着きましたね。ロッドさんが、ボアを捌き始めました。私達は竈の準備でも手伝いましょうか・・・準備をしようとしていたら、マーキスさんに追い払われてしまいました・・・子供が無理して重いものを持たなくていいって・・・もう子供じゃありませんよ・・・あと4ヶ月で成人です。それまでは子供ですか・・・言い返せません・・・


 「アリスちゃん達は見てればいいわ。今回は私達がやってあげるから。」

 そうですか・・・では甘えさせてもらいます・・・だからと言ってエマさんの妹にはなりませんからね・・・

 「アリスちゃんにはお肉を預かってもらわないといけないしね。アイテムボックスの中は時間の進みが遅いのでしょ?」

 「ええ、そうですね。お肉も腐りにくいですよ。」

 「それが有難いのよね。これで道中ずっとお肉が食べられるもの。」

 「やっぱり腐りやすいですか?」

 「そうね・・・時間があれば干しておくんだけど・・・護衛中ではなかなかそれもできないしね・・・みんなで翌日までに食べてしまうことが多いわ。」

 そうなのですか・・・私のアイテムボックスは破格なのですね・・・ザナックさんが欲しがるわけです。


 「ほら、2人の分は厚めに切っておいてやったぞ。」

 「ロッドさん、ありがとうございます。」

 イリスが喜んで受け取ってますね・・・私は普通でいいと言ったと思うんですが・・・結構厚めですね・・・

 味付けは塩だけですね・・・ピンクペッパーを少しかけましょう。ピリッとしてなかなかいい感じですね。


 スープもボアの骨から出汁を取ってるんですか。いい味が出てますね。

 もっと簡単にスープが作れればいいんですけどね・・・粉末スープでも作ってみましょうか・・・乾燥させるだけですよね?


 ロッドさんのおかげで美味しい夕飯をいただけました。燻製肉ってイマイチなんですよね・・・やっぱり焼きたてのお肉がいいです。



 今日の見張りはキティさんとイリスが一緒ですね。2番目だそうです。私はロッドさんと3番目ですね。基本私は朝食の準備の関係で3番目ばかりです。

 「ロッドさん、ボアのお肉ありがとうございました。」

 「子供が遠慮するなって、偶然取れたやつだしな。気にすることはないよ。」

 「そうですか・・・でも、ご馳走様でした。」

 「アリスちゃんは礼儀正しいんだな。」

 イリスよりは礼儀を弁えてるとは思いますよ・・・でも普通だと思いますけどね・・・

 「いえ、普通だと思いますよ。」

 「そうか。そういえば、エマとキティのことをお姉ちゃんと呼んでいるそうだな。」

 えっ・・・まさかとは思いますが・・・

 「ええ、そう呼んで欲しいって・・・」

 「そうか・・・可愛い妹分が欲しいもんな。よかったら俺のことも・・・」

 やっぱりですか・・・

 「えっとですね・・・そうすると、マーキスさんはおじちゃんとでもよんだ方がいいですか?」

 飲んでいたお茶を思い切り吹き出しましたね・・・

 「それはいいな。マーキスのことはおじちゃんと呼んでやれよ。パパとかでも面白いかもな・・・」

 ロッドさんって、悪ノリする人だったのですね・・・

 「わかりました。ではロッドお兄ちゃん、マーキスさんのことはマーキス父様とでも呼びましょうか。」

 また吹き出しましたよ・・・

 「何か言われたら、ロッドお兄ちゃんに言われたって言いますからね。」

 「ああ、わかった。あと、イリスちゃんにも言っておいてくれるか?」

 「わかりました。ロッドお兄ちゃんも意外と悪い人ですね。」

 「それを言うなら、アリスちゃんも相当な悪だぞ。」

 2人で笑いながら見張りを続けました。




 「マーキス父様、おはようございます。」

 「・・・・・・・・・・」

 「えっと・・・おはようございます・・・」

 「なぁ、嬢ちゃん・・その呼び方はなんなんだ?」

 「ロッドさんをロッドお兄ちゃんって呼ぶよう言われた時に・・・」

 昨日の経緯を簡単に話しました・・・

 「そうか・・・ロッドがか・・・」



 そのあと、ロッドさんと2人しっかり怒られました・・・もちろん父様呼びはやめるようキツく言われた結果、マーキスさんもお兄ちゃん呼びするよう言われました・・・一気にお兄ちゃんお姉ちゃんが増えてしまいましたね・・・いい人たちなので構わないのですが・・・



 「お姉さま・・・朝から何やってるんですか・・・」

 「昨日の夜、ロッドさんと色々話をしててね・・・」

 「別にいいのですけど・・・お姉さまももう少し考えてくださいね・・・」

 イリスに注意されてしまいました・・・面白いからいいじゃないですか・・・


 「そうそう、イリスもロッドさんとマーキスさんの事をお兄ちゃんと呼んでくださいね。」

 「えっ・・・なんで私まで・・・」

 「イリスは私の妹よね?」

 「え、ええ・・・」

 「なら私のお兄ちゃんはイリスのお兄ちゃんよね?」

 「そんな・・・無茶苦茶です・・・」


 もちろん、お兄ちゃんと呼ぶ様言い含めましたよ。これからもお世話になると思いますし、そう呼びましょう。

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