File004.ゴブリン退治

 翌日、私達はゴブリン討伐?に出かけました。本来ゴブリン討伐というのは冒険者ギルドからの依頼で受ける物なのですが、私達は勝手に来ているのでゴブリン退治ですね・・・

 ゴブリンは人に害をなす魔物ですので、見つけ次第殺して構わないのです。Gと同じです・・・Gは抹殺対象なのですから・・・世界中から1匹残らずいなくなればいいのに・・・


 まぁ、そのくらいゴブリンは害悪にしかならない魔物で、使い道すらない魔物なのです。本来魔物はその素材が有効に使われる物なのです・・・

 それなのにゴブリンには使えるところが全くないのですよ・・・魔石すら使えないほど小さいのです・・・使えるとしたら火を付けるのに着火剤として使うくらいでしょうか?別になくても構わない程度の物です・・・


 さて、害悪でしかないゴブリンを探して森の中を歩き回るのですが、なかなか見つかりませんね・・・あまり奥の方に行くとまたオークに出会ってしまいます。

 「お姉様、もう少し奥に行ってみませんか?」

 「奥には行かないって約束だったわよね?」

 「それは・・・それはそうですけど、ゴブリンが見つからないので・・・」

 「ゴブリンがいないと言うことはいいことじゃない?」

 「それはそうなのですけど・・・」


 ゴブリンなどの魔物は子供を残すこともありますが、魔力だまりから生まれることもあるのです。いわゆるポップですね・・・イリスが狩りすぎたからしばらくポップしないのでしょうね・・・


 「お姉様、魔物の気配がします・・・」

 「イリス、私の後ろに・・・」

 イリスは純魔法使いですから、体力もあまりありませんし、接近戦の為の武器も持っていません。ナイフ程度は持っていたと思いますが・・・

 「でも、お姉様・・・」

 「昨日までの私とは違うの。イリスは後ろ、いいわね。」

 「わかった・・・無理しないでね。」


 茂みから魔物が出てきます・・・

 「イリス、逃げるわよ・・・」

 よくよく運がありませんね・・・またオークですか・・・

 「お姉様は私が守るの・・・大いなる炎よ、礫となりて敵を燃やし尽くせ・・・ファイヤーボール。」


 イリスの魔法ですか・・・ファイヤーボールはそこそこ難易度の高い魔法だったはずです・・・でも、森の中でファイヤーボールですか・・・後でお説教です・・・


 「イリス、いいから逃げるわよ。」

 「で、でも・・・」

 オークが近づいてきます・・・今のイリスのファイヤーボールでは、倒しきれないみたいですね・・・

 「イリス、私に補助魔法をかけて。」

 「わ、わかった・・・彼の人の動きを助けよ、スピード。」

 行動補助魔法ですか・・・ありがたいです。でも、防御魔法でも良かったように思いますよ・・・

 オークに斬りかかりましょう、後ろにはイリスもいます・・・絶対に後ろにそらすことだけはダメです・・・

 一撃入りました・・・胸元を切り裂いただけですか・・・浅いですね・・・

 オークの鉈が真上から降ってきます、剣で受けますがかなり重いです・・・受けるのではなく受け流すべきでしたね・・・まだ私には押し返すだけの力がないようです・・・


 「お姉様・・・周囲をあまねく光で照らせ、ライト。」

 目くらませですか、いい判断です。オークの力が弱まりました・・・今なら抜け出せます。

 大きく一歩踏み込んで、スキルを発動させましょう・・・片手剣スキルの武技、スラッシュです・・・

 「スラッシュ・・・」

 思った以上にスキルの効果がすごいです・・・オークがまっぷたつですか・・・スキルの検証としては十分な結果が得られましたね。

 「お姉様・・・大丈夫ですか・・・」

 「ええ、大丈夫よ。昨日までの私じゃないって言ったでしょ?」

 「う、うん・・・」

 さて、どうやって運びましょうか・・・アイテムボックスに入れればいいのですが、イリスに見られてしまいますね・・・

 「イリス・・・今から見ることは内緒にしてね。」

 「なんなの・・・内緒って・・・」

 「いいから、約束して。出来ないなら・・・イリスのこと嫌いになっちゃうから・・・」

 「内緒にします・・・誰にも言わないから・・・嫌いにならないで・・・」

 イリスが私のことを大好きなのを知っていたとはいえ、ちょっと悪いことをしましたか・・・でも黙っていて貰いたいですしね・・・


 アイテムボックスを使ってオークをそのまま収納します。思っただけで収納出来るのはいいですね。

 「お姉様・・・今のは?」

 「う~ん・・・アイテムボックスみたいな物?」

 「みたいって何?アイテムボックスそのままでしょ・・・お姉様ってアイテムボックスなんて持ってたっけ?」

 「えっと・・・内緒にしててね・・・」

 イリスのおでこにキスしておきましょう・・・大抵のことはこれで言うこと聞いてくれますから・・・アリスの記憶ではそうなのですが、怜奈としては恥ずかしくてやってられないのですが・・・

 「お、お姉様・・・はい、イリスは何も見てないし何も知りません。」

 うん、大丈夫なようです。賢者の弱点は私のようです。

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