File017.オークの氷漬け
「お父様、お母様、行って来ます。」
「行って来ます。」
今日は2人の旅立ちの日です。とは言っても隣村を経由して隣の町くらいまでしか足を伸ばすつもりはないのですが・・・
あまり遠くまで行くと、心配しますからね・・・なにかあったらすぐに帰れるくらいの距離までしかまだ来ませんよ。それは旅じゃないって?いえ、旅です・・・
「まずはギルドによって隣町まで行く事を報告しておきましょう。」
「そうね、しばらくは拠点を移すのだし必要だと思う。」
イリスもだんだんポンコツから脱却しつつありますか・・・色々思いだしてきているのでしょうか・・・魔法も思い出してくれるといいのですが・・・炎系の攻撃魔法ばっかりというのは困りものです・・・
「ところでイリス・・・私のアイテムボックスの中にまだオークとゴブリンがたくさん入ってるのでけど売ってく?」
「ゴブリンと、オークを2匹くらいにしませんか?どうせ凍っているのだし腐りにくいでしょ?」
まぁ、それもそうですね・・・アイテムボックスだからといって腐らないわけではないですが氷漬けですから腐りにくいでしょうね。
「それじゃあ、イリスの言うとおりにしましょう。」
「はい、ゴブリンの討伐と、オークを2匹売りたいのです。」
「それじゃあ、今回の討伐でランクが上がるわよ。」
「もうですか?」
「所詮Eランクなんてお試し期間のような物だからね。真面目にやって、数回依頼を完了すればすぐDランクよ。」
そうなんですね・・・旅に出る前にカードが金属製になってよかったです。くしゃくしゃになると嫌じゃないですか・・・大切に持っておきましょう。
「私達、隣の町に拠点を移そうと思うんです。それで今日はちょっと挨拶もかねてなんです。」
「そうなんですね、有能な新人さんがいなくなるのは残念です。またこちらに戻ってこられるんですよね?」
「まだ、どうなるかはわかりませんが、帰ってくると思います。」
家がこちらにありますからね・・・
さて、後はオークを買い取ってもらいましょう。解体場に置きに行かないといけませんね。
「イリス、ちょっと待っていてくださいね。オークを置いてきますから。」
「オークって・・・あの氷漬け?」
「・・・・・・・・・・」
「ちゃんと売れる?」
「多分・・・」
「なぁ、嬢ちゃん・・・これは氷魔法か?肉だからいいがなぁ・・・革なんかだとかなり傷むぞ・・・」
「申し訳ないです・・・」
「いや、別にいいんだがな・・・買い取り価格が下がるぞって事だ。気をつけるといい。」
「はい、ありがとうございます。」
氷漬けもダメですか・・・すっぱり首を落とせって事ですか・・・精進が必要ですね・・・
「お姉様、大丈夫だった?」
「うん、氷漬けは買い取り価格が下がるから気をつけろって言われた・・・」
「焼いてダメ、凍らせてダメ・・・難しいね・・・」
そうですね、そう思いますよね・・・やっぱり首を一発ですか・・・
「さぁ、ギルドでやる事も終わりましたね。そろそろ出発しましょうか。」
「はい。乗馬はお姉様の方が上手いのでイリスは後ろに乗りますね。」
いえ、それほど差はないと思いますよ?イリスが前でも言いと思いますけど・・・
「そうですか?なら私が手綱をにぎりますけど、疲れたら交代してくださいよ。」
「はい、ちゃんと交代しますから大丈夫です。」
まずは村までですが、そんなにギュッとしがみつかなくてもいいのですよ。簡単に落ちたりしませんから・・・
「お姉様・・・お姉様・・・」
何か小声で言っているようですがよく聞こえません・・・
「イリス、何か言いましたか?」
「えっ・・・いえ、何でもないですよ・・・」
そうですか・・・何か呼ばれたような気がするんですが・・・気のせいでしょうか・・・
もう少し馬を走らせれば、村に着きますね。今日は村で宿を取る感じになりますが、その後は町まで3日ほどです。途中に村はないので野宿ですね・・・早速テントが必要になります。
今日は村でしっかり休息を取らないといけませんね。さぁ、村も見えてきましたよ。あと一息です。
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