File045.サンドワーム

 ワイバーンの討伐依頼はもう少し行った先の町で受けると言うことらしいです。先にエマお姉ちゃんとキティお姉ちゃんのランクを上げてしまうらしいです。

 「マーキスお兄ちゃん、先にミミズを退治しに行くんですか?」

 「ミミズって・・・上手いこと言うなぁ。」

 「アリスちゃん止めてよ、今からサンドワームと戦わないといけないんだからね。」

 「わかってますよ、でもエマお姉ちゃん達だけで戦うって訳でもないんですよね?」

 「まぁ、そうなんだけどね・・・」

 それならばマーキスお兄ちゃんかロッドお兄ちゃんを餌にすればいいんですよ。

 「エマお姉ちゃん、私いい方法を思いついたんですよ。マーキスお兄ちゃんかロッドお兄ちゃんに手伝ってもらうんです。」

 「手伝ってもらうって・・・代わりにやってもらうのはダメよ・・・たとえバレなくても実力はつかないから・・・」

 「はい、どちらかにサンドワームをおびき出してもらえばいいんです。地面から出てきたら魔法で攻撃すればいいと思うんですよ。」

 「ちょっと待て、アリスちゃんは俺たちを餌にするって言うのか?」

 はい、そのとおりです。エマお姉ちゃん達のために餌になってあげて下さい・・・

 「それはいいアイデアだわ。ロッド、お願い出来るかしら?」

 「エマ、俺が餌になるのかよ・・・勘弁してくれよ・・・」

 そろそろ助け船を出しましょうか・・・別にロッドお兄ちゃんでなくとも魔物の肉でいいと思うんです。

 「魔物の肉でもいいと思うんでそれで釣り上げましょう。そうすれば簡単だと思うんです。」

 「なぁ、アリスちゃん・・・最初からそっちの案を出してくれよ・・・」



 サンドワームがよく現れるというところまで、馬で2日ほどですか・・・そこまでに適当な魔物を狩らないといけませんね・・・

 「ロッドお兄ちゃん、餌は何がいいと思いますか?」

 「何でもいいんじゃないか?あいつらは雑食性だしな。」

 「ロッドお兄ちゃんでも大丈夫ですか?」

 「アリスちゃん・・・それは止めようぜ・・・その辺りでオークでも狩ればいいんじゃないか?」

 「ロッドお兄さん、オークは美味しいのでもったいないですよ・・・」

 イリス・・・それはそうかもしれませんが、まずはエマお姉ちゃん達の試験を終わらせましょう・・・

 ちゃんと手伝わないと分け前を貰えませんよ・・・

 「イリスちゃん、サンドワームも意外と美味いらしいぞ。本当は肝が一番なんだが、祖肝は今回納品するからな・・・」

 「ゲテモノですか・・・」

 「イリスちゃん・・・ゲテモノってなぁ・・・辛めのタレで食べると美味いって話だぞ。俺も食べたことはないが食べたいって思わないか?」

 「それは・・・食べたいとは思いますが・・・」



 とりあえずオークを狩って餌にすることにします。ロープはそこそこ長いものを持ってますからそれに縛り付ければいいでしょう。

 あとは出てきたところをエマお姉ちゃんの魔法でなんとかしてもらえばいいのです。

 「エマお姉ちゃん、何とかなりそうですか?」

 「本当はロッドが餌になってくれるのが一番なんだけど・・・オークでも大丈夫よ。」

 いえ、私が聞きたいのは餌の心配じゃないのですが・・・魔法で仕留められるかどうかが聞きたかったのです・・・

 「アリスちゃん、お姉ちゃんなら大丈夫だと思うわ。私は攻撃魔法はないから何もできないけどね・・・」

 キティお姉ちゃんは、薬草採取を頑張ってたじゃないですか・・・適材適所だと思いますよ。




 「エマ、かかったぞ・・・」

 サンドワームが、オークを丸呑みしたようですね・・・意外と大きいのですね・・・

 地面にくいを打ち付けてそれにロープを縛り付けてるんですね、これでしばらくは土の中に潜れませんね・・・

 エマお姉ちゃんはアイスニードルですか・・・7本浮かんでますね・・・確実に仕留めるためでしょうか・・・意外とたくさん出してますね・・・

 撃ち出したのは1本だけですか?あとの6本は待機のようですが・・・どうするんでしょうか・・・

 「エマお姉ちゃん、その6本はどうするんですか?」

 「こうするのよ!」

 死んだワームの周りに何匹かのワームが出てきましたね・・・共食いですか・・・本当に何でも食べるんですね・・・

 出てきたワームも一網打尽ですか・・・このワームも私のアイテムボックスに入れるんですか・・・あんまりミミズを持ち歩きたくはないんですが・・・エマお姉ちゃん達のためです、我慢しましょう・・・


 「エマお姉さん、たくさんワームを倒したけど全部納品するの?」

 「そのつもりだけど・・・」

 「1匹残したらダメですか?」

 「ははぁ~ん・・・イリスちゃん、サンドワームの肝が食べてみたいんだ?」

 「べ、別にそんなことはないです・・・」

 「なら、全部売ってしまおうかしら?」

 「エマお姉さん・・・肝が食べてみたいです・・・1匹残して下さい・・・」

 イリス・・・素直にお願いするのはいいと思うんですけど・・・マーキスお兄ちゃんに笑われてますよ・・・あんまり意地汚いのはやめて下さいね・・・私が恥ずかしいじゃないですか・・・






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カクヨムのコンテスト用に書き下ろした作品です。


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カクヨム

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