シスターズ ～妹は転生賢者のようですが、異世界転生した私は現代知識でチートする～

File044.昇級試験

　「ねぇ、アリスちゃん･･･おかしいって言ったことは謝るから機嫌直してくれないかな･･･」

　「なんですか・・・エマさん。どうせ私はおかしいですよ･･･」

　「ほら、エマお姉ちゃんって呼んでよ･･･謝るからね･･･」

　「別にエマさんは悪くないですよ･･･全属性使えて、剣も使える私がおかしいだけですから･･･」

　「お、おい・・・俺も謝るから･･･」

　「ロッドさんもお気遣いなく･･･」

　さっきからお兄ちゃん、お姉ちゃん呼びを止めています。みんなしておかしいって虐めるんだから仕方ないのです。

　「ね、そろそろ機嫌直してよ。美味しいクッキーあげるから･･･」

　「うっ・・・」

　別にクッキーが食べたかったからじゃありませんからね･･･そろそろ許してあげてもいいかなって思っただけですから･･･

　「分かりました･･･もうおかしいって言わないでくださいね･･･エマお姉ちゃん。」

　「わかったわ、思っても口に出さないから。」

　「キティお姉ちゃん、エマさんはほっておいてあっちでクッキーでも食べましょう。」

　「アリスちゃん、お姉ちゃんも悪気があったんじゃないから･･･」

　「わかってますよ、ちょっと意地悪しただけです。」

　「お姉ちゃんには相当堪えたと思うわよ･･･」

　そうなんですか・・・お姉ちゃん呼びを止めただけでそこまで堪える物なんですか･･･

　「それで、ワイバーンの討伐は受けても大丈夫だな？」

　「俺達はいいけど、アリスちゃん達はどうだ？」

　「ロッドお兄ちゃん、私とイリスなら大丈夫ですよ。」

　「それなら、ワイバーンの討伐を受けることにするぞ。」

　「私達はまだＣランクになったばかりですけど、大丈夫なんですか？」

　「ええ、私とキティがＢランクに上がるからね、パーティの半数がＢランクなら受けられるのよ。」

　「ロッドお兄ちゃんは？」

　「俺はまだだな。このパーティには途中から入ったんで、まだ規定に達してないんだよ。」

　そうなんですね･･･まだ、４つのギルドで依頼を受けるが達成されていないそうです･･･

　「エマお姉ちゃん達は試験はいいのですか？」

　「ここからワイバーンの出る地域までは時間もかかるからね、試験に必要な薬草と魔物素材を集めながら行けば大丈夫よ。」

　素材の納品が試験なのですか･･･どこのギルドで納品してもいいのですか･･･それなら移動しながらやれますね・・・でもそれなら最初から集めておけばＢランクの試験なんて簡単なのでは？

　「アリスちゃん、Ｂランクの試験は毎回変わるのよ。今回は納品で済んだけど、色々あるの･･･」

　当たり外れがあるって事ですか･･･私達の時は楽な物が出るといいですね･･･

　「集める薬草とかは結構難しい物なんですか？」

　「今回はそれほど難しくはないわね。アリスちゃんもいるし。」

　「えっ・・・私ですか？」

　「そうよ、結構な量の薬草を鮮度を保ったまま納品しないと行けないの。」

　なるほど、それでアイテムボックスを持っている私がいると楽なのですか･･･でもそれってズルじゃないのですか？

　「私がいないと難しかったんですか？」

　「そうね、鮮度ってところがネックかな･･･」

　私がいなければ馬車で持って帰ることになったそうです。荷台で、氷系統の魔法を何度も唱えながらだそうです･･･結構大変なことですね･･･

　「本当に運がよかったわ。アリスちゃんがいてくれたおかげで、薬草の方は簡単にクリアだわ。」

　「魔物素材の方は大変なんですか？」

　「素材自体はめずらしい物ではないの･･･」

　あれ、２人とも顔が暗いですよ･･･と言うより引き攣ってますよ･･･どうしたんですか？

　「どうしたんですか、エマお姉ちゃんもキティお姉ちゃんもおかしいですよ？」

　「サンドワームの肝の納品なの･･･」

　「サンドワームですか・・・」

　「そうよ・・・群れて行動するから気持ち悪くて･･･」

　ああ、あのミミズの大きなやつですか･･･たいして強くありませんが、ぬるぬるしているし、気持ち悪いですね･･･なんと言っても装備を溶かすのが最悪です･･･

　「俺の時もサンドワームだったな･･･」

　「マーキスお兄ちゃんもですか？どうやって取ったか教えてあげればいいじゃないですか。」

　「いや、俺のやり方は２人には無理だからな･･･」

　マーキスお兄ちゃんはできて、エマお姉ちゃんとキティお姉ちゃんは無理なのですか･･･魔法職では無理と言うことでしょうか？

　「いやな、装備を溶かされるのがいやだったんで、その、装備を脱いで倒しにいったんだよ･･･」

　ああ・・・それは無理ですね･･･私もそのやり方は無理です･･･恥ずかしいじゃないですか･･･

　「どこかで、安いローブでも買うわよ･･･革の胸当てと･･･」

　キティお姉ちゃん・・・投げやりですね･･･まぁ、おっきなミミズと戦わないと行けないのですからテンションも下がるという物ですね・・・

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カクヨムのコンテスト用に書き下ろした作品です。

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