File043.逃げ道

 「お姉様、やっぱりマーキスお兄さん達とパーティーを組むのはやめませんか・・・」

 今になって何を言い出すんですか・・・それとも何か理由でもあるのでしょうか・・・エマお姉ちゃんに何かされたとかでしょうか・・・

 「どうかしたの?」

 「お姉様と一緒に寝れません・・・」

 そんなことですか・・・私と一緒に寝られればパーティを組んでいても構わないと言うことでしょうか・・・

 「私と一緒に寝られればいいの?」

 「はい、お姉様と一緒に寝られるのであればどこでもいいです。」

 この子の頭の中を1度見てみたい物です、本当に賢者なのでしょうか・・・



 「・・・と言うことなんです・・・」

 エマお姉ちゃんとキティお姉ちゃんを交えて今後の相談をしているところなのですが・・・

 「そうなんだ・・・それじゃあ、みんなで交代にしましょうね。」

 「えっ・・・どういうことですか?」

 交代って・・・何が誰と交代って事でしょうか?

 「今まで私がイリスちゃんを独り占めにしてたからいけなかったのね。だから順番にしましょう。私の次はキティとその次はアリスちゃんと・・・そんな感じで順番に寝ればいいの。」

 3日に1度イリスと寝るわけですか・・・それって1人で寝るという選択肢はないのですか?

 「私が1人で寝るという選択肢は・・・」

 「ないです。」

 イリス・・・なぜそこで否定するのですか・・・

 「キティお姉ちゃん・・・」

 「アリスちゃん・・・イリスちゃんの言う通りよ。」

 「えっ・・・」

 なぜ、キティお姉ちゃんまで・・・エマお姉ちゃんは・・・首を横に振ってます・・・私の味方は誰もいないと言うことですか・・・

 「お姉様と一緒に寝られる日があるのなら少しは我慢します。」

 「イリスちゃんがそう言ってくれてよかったわ。」

 イリスは、エマお姉ちゃんに懐柔されてしまったようですね・・・3日に1度でもいいのですか・・・

 毎日キティお姉ちゃんの抱き枕にされていたのが3人に抱き枕にされるのに変わっただけですよ・・・私にとってはあまり変わりのない変更でしたね・・・

 まぁ、イリスが喜んでいるので良しとしましょう・・・



 「マーキスお兄ちゃん、次のお仕事は決まったんですか?」

 「まだ、これと言って決まっちゃいないんだがな・・・ここから馬で1ヶ月ほどの所でワイバーンが目撃されたらしいんだ。」

 馬で1ヶ月ってかなり遠いですよね・・・でも、ワイバーンなら飛んでくるのでそれほど遠いって事はないのでしょうか・・・

 「うちも魔法使いの戦力が増えたことだし、ちょっと金儲けに行ってもいいと思っててな。」

 お金儲けですか・・・ワイバーンはいいお金になるのですね・・・

 「なんと言っても、ワイバーンは美味いらしいんだよ。」

 「ロッドお兄さん、ワイバーンを倒しにいきましょう・・・」

 イリスはワイバーンを食べてみたいだけですね・・・美味しいと聞いて目の色が変わりましたから・・・

 まぁ、私も食べてみたいとは思いますが、それとこれとは話が別ですよ・・・


 「アリスちゃんも遠距離の攻撃魔法が使えるって事でいいんだよな?」

 「ええ、簡単な物でよければ・・・」

 「アリスちゃん、簡単な遠距離魔法ってなにかしら?」

 エマお姉ちゃんの笑顔が怖いです・・・遠距離魔法は簡単な魔法の部類には入らないそうです・・・

 「えっと、イリスと同じでファイヤーランスは使えます・・・」

 「あれっ?お姉様は氷系の魔法も使えましたよね?」

 イリス・・・またあなたは余計なことを・・・

 「ねぇ、アリスちゃん。私と向こうでお話ししましょうか・・・」

 エマお姉ちゃん・・・目が笑ってないです・・・笑顔が怖いです・・・



 エマお姉ちゃんと色々話しました・・・いえ、白状させられたというのが正解だと思います。もちろん全部白状なんてしてませんよ・・・私が使える系統の魔法を少し話しただけです・・・

 エマお姉ちゃんの目がうつろになってましたが聞いてきたから答えただけです・・・私は悪くないと思いますよ・・・だって、エマお姉ちゃんの笑顔が怖かったんですから・・・


 「おい、エマ・・・どうしたんだ?アリスちゃんと2人で話をしてきてから少しおかしいぞ・・・」

 「うん、おかしいのは私じゃないから・・・おかしいのはアリスちゃんよ・・・」

 エマお姉ちゃん・・・酷いです・・・私がおかしいだなんて・・・

 「お姉ちゃん、アリスちゃんがおかしいだなんて可哀想でしょ・・・」

 「だって、あの娘全属性使えるのよ・・・おかしいでしょ・・・」

 「全属性って・・・治癒も?」

 「使ったことはないけど簡単なのなら使えるかもしれないだって・・・」

 「アリスちゃん・・・おかしいわ・・・」

 「そうなんです、お姉様はおかしいんです。」

 みんなして私を虐めるんですか・・・

 「ロッドお兄ちゃん・・・」

 「いや、剣を使えて、魔法まで使える時点で十分おかしいからな・・・」

 マーキスお兄ちゃんもそこで頷かないでください・・・逃げ道がなくなるじゃないですか・・・






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