File042.お嫁さん

 「なぁ、お嬢ちゃん・・・うちの新メニューにケチ付けるのは止めて貰えないか。」

 料理人の人が来ちゃいましたよ・・・

 「いえ、別にケチを付けてるとか・・・そんなことはないですよ・・・」

 「そんなことはないだろう?誰にでも出来るとか言ってただろう。そうそう簡単な物ではないんだからな。」

 ここは謝って出ていった方がいいのでしょうか、それとも作って見せた方がいいのでしょうか・・・

 「キティお姉ちゃん・・・」

 「子供の言ったことなんで許してやって下さい。ほら、アリスも謝って。」

 上手く丸めてくれるんですね、助かります・・・あとで必ず美味しいホットケーキを作ってあげますから・・・

 「ごめんなさい・・・」

 「お、おう・・・こっちも大人げなかったな・・・まぁ、また食べに来てくれ。」

 なんとか収まったようです・・・さっさと店を出ましょう。



 「それで・・・アリスちゃんは本当にさっきのケーキを作れるの?」

 「はい、材料さえ揃えればたいしたことないですよ。」

 「それなら帰りに材料を揃えながら帰りましょうか。」

 そうですね、市場を回ればすぐに揃うでしょう。

 「何がいるの?」

 「まずは小麦粉ですね。」

 「小麦粉の他には何がいるのかしら?」

 「玉子と砂糖ですね・・・あと重曹も・・・」

 「重曹?掃除に使うやつ?」

 「多分それであってます。」

 変な目で見られながらも材料を集めました。一応全部揃いましたね・・・

 「材料は揃いましたけど、どこで作りましょうか・・・」

 「宿屋の女将さんに言ってキッチンを貸してもらう?」

 貸してもらえるのでしょうか・・・



 エマお姉ちゃんが上手いこと言って借りてくれました。

 さくさくっと作ってしまいましょう。混ぜて焼くだけです。分量ですか?なんとなくですよ・・・できあがりがちゃんとしてればいいのです。


 「お砂糖が少し多かったでしょうか?ちょっと焦げちゃいました・・・」

 「アリスちゃん、大丈夫よ。とっても美味しそうな匂いがしてるわ。」

 「エマお姉ちゃん・・・それじゃあ、1枚目はエマお姉ちゃんにあげます。」

 ちょっと焦げたのですが、エマお姉ちゃんにあげましょう。次はもう少し上手に焼きますよ・・・


 結構たくさん焼けましたね・・・マーキスお兄ちゃんとロッドお兄ちゃんにもお裾分けしましょう。

 「イリスは1枚だけよ。」

 「え~・・・」

 「十分食べたでしょ?」

 出かけるときから結構食べてますよね・・・食べ過ぎはよくないですよ・・・


 「これ・・・アリスちゃんが作ったのか?」

 「はい、ロッドお兄ちゃん。どうですか?」

 「本当にアリスちゃんは料理が上手いんだな。きっといいお嫁さんになるよ。」

 「ロッドにはあげないんだからね。」

 ちょっと、エマお姉ちゃん何言ってるんですか・・・別に、私がロッドお兄ちゃんと結婚するわけじゃないですよ・・・

 「そうです、お姉様はイリスと結婚するんですから・・・」

 イリス・・・どさくさに紛れて何言ってるんですか。

 「私はどっちとも結婚しませんから・・・」

 「えぇ~・・・」

 「イリス・・・」

 「だって・・・お姉様のお嫁さんになるんだもん・・・」

 だってじゃありません・・・結婚しませんからね・・・



 変な時間に間食してしまいましたからね・・・夕飯はちょこっとだけです。

 「アリスちゃん、今日も一杯どうだ?」

 「また今日も飲むんですか?」

 「まぁな・・・このくらいしか楽しみがなくてな。」

 マーキスお兄ちゃん・・・なんか他の楽しみを探しましょうよ・・・お酒ばかり飲んでいると身体に悪いですよ・・・

 そんなこと言いながらしっかりとテーブルについてはいるのですけど・・・

 「ちょっとだけですからね・・・」

 「お姉様、私も・・・」

 「イリスはダメ・・・」

 本当に弱いんですから、イリスは飲まないようにして下さいね。


 「アリスちゃんもそろそろ止めておきましょうね・・・」

 3杯目を飲み始めたところで、キティお姉ちゃんに止められました・・・また、部屋に連行されて抱っこされるんですか・・・

 どうやらこのパターンが定着しそうですね・・・イリスは・・・少し飲んだんですね・・・エマお姉ちゃんに抱っこされて部屋に連れて行かれてますね・・・

 飲まないように言ったんですけどね・・・

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