File061.スパゲティ

 お米はすぐに見つかりました。なんと言っても安いのがいいですね。小麦よりずっと安いのですよ。美味しい食べ方が広まっていないせいか、値段が安く設定されているようです。ここは大人買い一択ですね。

 「おじさん、このお米ですがたくさん買ったらまけてくれますか?」

 「たくさんかぁ、そうだな3袋買ってくれたら1袋おまけしてやるよ。」

 4袋で3袋分の値段ですか。よほど売れないのですね。まぁ、1袋とは言ってますが30㎏入る大袋のことですよ。

 「今日は何袋ありますか?」

 「今日は5袋持っては来てるが、まさか全部買ってくれるのか?」

 もちろん買いますよ。当然じゃないですか。うちのパーティはたくさん食べるのですよ。今度は精米機が必要です。

 「もちろん、全部貰っていきますよ。」

 「本当か?助かるよ。正直なかなか売れなくて困ってた所だ。」

 みんなが食べる量にも寄りますが、安く卸して貰えるよう交渉するのもよいですね。

 毎日食べるとして、1ヶ月で1袋とちょっと消費しそうですね。5袋買っても4ヶ月持たないのですね・・・結構食べますね。さすがに毎日は食べないのでもう少し持つとは思いますがそれなりに減ることはよく分かりました。


 さて、おにぎりの具材ですね。梅干し、おかか、しゃけ・・・色々ありますが、鰹節はみたことがないですし、海から離れてるので海産物はないですね。1番あり得るのが梅干しですか。ただ、塩が結構高価なので梅干しも期待薄いですね。

 やっぱり塩むすびか焼きおにぎりでしょうか?


 市場の中を色々物色しながら歩いたところ、梅干しは見つかりませんでしたが、牛のしぐれ煮がありました。これならおにぎりの具になるでしょう。

 少し買っていきましょう。よければまた買いにこればいいのです。味付け次第では私が頑張ってもいいのですからね。


 「アリスちゃん、またおかしなものを買ってるわね。それって保存食よね?」

 なるほど、しぐれ煮は保存食扱いですね。確かにある程度保存は効くと思いますが、そこまで保存性は高くないと思いますよ。

 「おにぎりの具にいいかなって。」

 「おにぎりの中にそれを入れるの?」

 「ええ、そうですよ。塩で握っただけだと味気ないじゃないですか。」

 「十分美味しかったと思うわよ。」

 あれで十分美味しかったですか。確かに移動中に食べられる物はそれほどありませんからね。私のアイテムボックスが優秀すぎるのではありますが。

 「あれより美味しくなると思いますので、期待しててください。」

 「ええ、期待してるわ。」

 結構色々見て回りましたが、その他にはあまり面白そうなものは見つかりませんでしたね。

 「アリスちゃん、お昼はどうするの?宿に戻る、それともここら辺で食べてく?」

 そうですね、イリスはキティお姉ちゃんに捕まってますから2人で食べるでしょう。マーキスお兄ちゃんとロッドお兄ちゃんはいうまでもありません。

 「どこか美味しいお店でもあるんですか?」

 エマお姉ちゃんがいい店を知っているのなら、一緒に食べていきましょう。

 「そうね、ちょっと美味しい定食屋さんがあるわ。そこに行く?」

 「はい。お願いします。」

 エマお姉ちゃんと一緒にお昼ご飯を食べることにしました。どうせ宿に帰っても2人で食べることになるでしょうから、同じですね。

 「ここよ、ちょっと変わった麺を食べさせてくれるの。」

 麺ですか、変わった麺ってなんでしょうか?私が知っている変わった麺は、上に餡子が乗ったスパゲティくらいです。もちろん転生前に食べた物ですよ。怖いもの見たさに一回食べましたが、2度目はなかったです。

 「どんなふうに変わっているんですか?」

 「スパゲティの上に生クリームがたっぷり乗ってるの。すごく美味しいのよ。」

 同じ系統ですか、餡子が生クリームに変わっただけですよ。

 「ここは普通のスパゲティは置いてないんですか?」

 「ここは甘味専門だから、普通のはないわよ?」

 そうですか、エマお姉ちゃんが美味しいというのです。勇気をふりしぼって食べてみましょう。

 「それじゃあ、私は苺味でお願いするわ。クリームは多めでお願い。アリスちゃんはどうする?」

 「えっと、私は普通の生クリームでいいです。」

 「それじゃあ、この子はプレーンでお願い。あっ、生クリームは多めでね。」

 別に多めにしなくても良かったのに。エマお姉ちゃんの好意ですから、お願いしましょう。



 意外と美味しかったですね。前世の記憶はあっても、味覚までは引き継いでないのでしょうか?普通にこっちの食事をしてますからね。前世の味は覚えてても、この世界の私はこっちの味に順応しているのでしょうか?

 「アリスちゃん、また来ようね。」

 「はい、次はキティお姉ちゃんとイリスも一緒ですね。」

 「そうね、4人一緒に来ましょう。」

 また来てもいいと思うくらいの味でしたよ、前世の私ならきっとこの店に近づくこともなかったでしょうね。

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