シスターズ ～妹は転生賢者のようですが、異世界転生した私は現代知識でチートする～

File062.危険地帯

　帰ってくると、イリスがキティお姉ちゃんに絡め取られていますね。抱きつかれていると言った方がいいのですけれども。

　「お姉ちゃん、おかえり。」

　「お姉様、助けて下さい･･･」

　キティお姉ちゃんから助けて欲しいのですね。でもここでイリスを助けたら私がキティお姉ちゃんに抱きつかれるのではないでしょうか？いえ、きっと抱きつかれるでしょうね。

　「イリス、キティお姉ちゃんにいっぱい可愛がられてね。」

　「お、お姉様。助けて下さいよ～」

　これ以上は聞こえなかったことにしましょう。

　「エマお姉ちゃん、あっちでお話でもしませんか？」

　「イリスちゃんはいいの？」

　「あまり良くないですけど、私が代わりにはなりたくないです。」

　エマお姉ちゃんには笑われてしまいましたけど、実際そうなんですから仕方ありません。危険は早めに回避するべきですよ。

　「マーキスお兄ちゃん達はまだ寝てるのでしょうか？」

　「朝方まで飲んでたみたいだからね？」

　ダメな大人確定ですね･･･大きな仕事を終えたあとなので許されるのですか。明日もこのままだと蹴り起こすのですね。私も参加するのですか？全員参加なのであれば仕方ないです。パーティの一員となったのですから私も参加しますよ。

　あとでロッドお兄ちゃんには声をかけておいてあげましょう。マーキスお兄ちゃんですか？ロッドお兄ちゃんが声をかけてくれるでしょう。

　「しばらくはお仕事はおやすみですか？」

　「そうね、大きな仕事だったししばらく休みにするんじゃないかしら？」

　「ギルドの掲示板にやたらとゴブリン討伐の依頼が多かったように思うのですけど普通なのですか？」

　ちょっと気になる多さだったのですがここら辺では普通なのでしょうか？冒険者をはじめたばかりの私にはよく分からない所です。

　「そんなに多かったの？」

　「はい、かなり。」

　「それは確認してみた方がいいかもしれないわね。」

　明日にでも確認しにいってみようと言うことになりました。マーキスお兄ちゃん達を蹴り起こしてギルドに行くようなことは避けられるといいのですが。

　「お姉様、酷いです。見捨てるだなんて。」

　「別に見捨てたわけじゃないわよ。キティお姉ちゃんは優しかったでしょ？」

　「うぅ～、それはそうなのですけど、四六時中頭を撫でられるのも困りものです。」

　ずっと撫でられていたのですか。助けなくて正解でしたね。

　「今度、美味しいスパゲティ屋さんに連れて行ってあげるから許して？」

　「美味しいスパゲティ屋さんですか？はい、許します、もちろん許しますよ。」

　美味しい食べ物で簡単に機嫌が直るのですね、何件か美味しいお店を開拓しておくのもいいですね。

　「お姉ちゃん、まさかあのお店に連れて行ったの？」

　えっ、なんか不穏な発言が飛び出しましたが大丈夫でしょうか？

　「ええ、でもアリスちゃんも美味しいって食べてくれたわよ？ねぇ、アリスちゃん。」

　「え、ええ・・・」

　何でしょうか、この重たい空気は。非常に気になるんですけど。キティお姉ちゃん、何か言ってくださいよ。

　「アリスちゃんが気に入ったのなら仕方ないけど、あのお店に行く人ってかなり少ないの。」

　「少ないって、どうしてですか？」

　「そのね、ちょっと特殊な料理でしょ？好き嫌いが大きく分かれるのよ。」

　はっきりとゲテモノ料理だと言ってくれた方が楽なのですけど。やはりあれは前世で食べたあの料理に通ずる所があったのですね。どこの世界も同じと言うことでしょうか？

　でも、そうするとあの料理が美味しいと思ってしまった私はこの世界では少数派と言うことでしょうか。

　「ねぇ、アリスちゃん。美味しければ何でもいいと思わない？」

　「それはですね。」

　えっ、エマお姉ちゃん、その怖い目をやめて下さい。なぜ睨むのですか？私に答えを強要しないで下さい。

　「美味しければいいと思います・・・」

　エマお姉ちゃんに屈してしまいました。逆らったらいけないと本能が言ってます。

　「お姉ちゃん、アリスちゃんを悪い道に誘わないでね。」

　まさかまだあんな店がたくさんあるのですか？エマお姉ちゃんの方を見ると、ニッコリと笑顔で笑ってますね。まだあるんですね。私はお仕事の合間にそこに連れて行かれると言うことでしょうか？

　「い、イリス。」

　「お、お姉様。私はキティお姉さんと食事に行くことにします。」

　逃げましたね、今の話を聞いてエマお姉ちゃんと食事に行くのは危ないと感じたイリスは正しいと思いますが、私も簡単には逃がしませんからね。

　「ねぇ、イリス。私と一緒にエマお姉ちゃんと食事に行くなら後でギュッてしてあげるわよ？」

　「えっ！」

　即答じゃないんですか？そこでまだ考えますか？イリスはどれだけエマお姉ちゃんとの食事に危険を感じているんですか？

　「お姉様、とても嬉しいお誘いなんですけど、私はやっぱりキティお姉さんと一緒に･･･」

　「えっと、キスもしてあげる。」

　「ほっぺたですか、それとも口ですか？」

　そこを要求しますか？

　「わかりました、口にキスしてあげます。」

　「キティお姉さん、私はお姉様達と食事に行きますね。」

　「アリスちゃん、犠牲者を増やすのはどうかと思うわよ？」

　キティお姉ちゃん、そこで犠牲者って言葉を使いますか？そこまで危険なお店があるんですか？

　夜は4人で食事に行くことになりましたよ。あれだけ危険だと言っていたキティお姉ちゃんも一緒です。