File006.両親の帰還

 冒険者ギルドからの帰り道・・・

 「イリス・・・冒険者ギルドに通ってたみたいね。何してたのかなぁ?」

 「えっとね・・・特に何もしてないのよ。ほんとよ、お姉様。」

 「色々売りに行ってたんじゃないの?」

 「えっと・・・特に魔物とかは売ってないよ・・・」

 「なら何を売ってたのかしら?興味あるわ。」

 「ゴブリン退治に行く途中とかに、小動物を狩ってそれを売ってたの・・・」

 「それほどお金にならないでしょ?」

 「うん・・・でも新しい杖とか欲しいし・・・」

 「いくら位するの?」

 「金貨10枚・・・」

 「いくら貯まったの?」

 「・・・・・・・・・・」

 ああ、これはほとんど貯まってませんね・・・自分で貯めようというのはいいのですが、狩人ではないので捕れる数も限られるでしょうし本職じゃないですからね。


 「オークで10匹ですか・・・」

 「お姉様、手伝ってくれるの?」

 「手伝うとは言ってませんよ。ただ、オークを10匹狩れば杖が買えるのですね・・・」

 私のレベル上げの為にも狩りをするのもいいですが・・・お父様とお母様の説得が先ですね・・・

 「まずは、お父様とお母様を説得してからね。さすがにオークは内緒で狩るには大きすぎると思うの。」

 「そうね・・・お姉様の言う通りだと思う。」

 お父様達も明後日くらいには戻ってくると思いますし、その時には私達がオークを倒してのを聞いてくるでしょう・・・特に口止めもしてませんからね・・・

 頑張ってお父様を説得しましょう。お父様が納得してくれればお母様もいいと言ってくれるでしょう・・・



 とりあえずはオーク肉を使った鍋料理でもしましょう。今日はオーク肉を使ったしゃぶしゃぶです。

 「お姉様、最近変わった料理が多いけど・・・」

 「そう?美味しくなかった?」

 最近は前世の記憶を元に似たような料理を作ってましたからね・・・今回も豚しゃぶですからね・・・オーク肉ってブタ肉によく似てるんです。普通のブタもいますよ、でも普通のブタより美味しいのです。ブランドブタでしょうか・・・

 「い、いえ・・・お姉様も作る料理がまずいなんて事ありません。ただ、変わった料理だなって・・・」

 「別にいいのよ・・・無理しなくても・・・」

 「そんなことないです。美味しいです、すごく美味しいです。」

 まぁ、美味しいと思ってくれてるのは本当らしいです。ただ、本当に食べられるの?みたいな表情は見せますね・・・



 「そろそろお父様が帰ってきてもおかしくないので、今日は家で大人しくしてましょうね。」

 「そうね、お父様の前でオークを持ち帰ったりしたら何か言われそうだものね。」

 お父様が帰ってくるようなときにオークなんか狩りに行きませんよ。そもそもお父様に許可を得てからしか行きませんからね。


 そんな話をしている間に帰ってきたようですね・・・お父様もお母様もあまりニコニコしていませんね・・・ちょっと難しい顔をしています。オークを倒したことがバレたのでしょうね・・・

 「アリス、イリス。ちょっとこっちに来なさい。」

 ああ、やっぱり呼ばれましたね・・・

 「はい、何でしょうか、お父様。」

 「・・・・・・・・・・」

 イリス、だんまりはよくありませんよ・・・

 「2人とも、オークを狩ってギルドに持ち込んだそうだね。」

 「はい・・・」

 イリス、全部私に押しつける気ですか・・・ちゃんとあなたも喋って下さいよ。じゃないと私に都合よく話をしますよ。

 「エリー、さすが私達の子じゃないか。まだ、成人前なのにもうオークを倒せるだなんて。」

 お父様・・・お小言じゃないのですか・・・娘自慢なのですか・・・

 「あなた、そうじゃないでしょ。アリスも、イリスもちゃんとした装備も持たずにオークなんかと戦闘をしてはダメでしょ。」

 お母様も注意する点は装備がしっかりしていないという点ですか・・・森に行くのがダメとかじゃないんですね・・・

 「お父様、オークを倒したことは怒ってないのですか?」

 「なぜ怒る必要がある?お前達はそれだけの力があると言うことだろう。」

 「そうよ、ちゃんとした装備を持っていればもっと安全に倒すことが出来るはずよ。」

 「それじゃあ、これからも森に行ってもいいの?」

 「ええ、ちゃんと装備を整えたからならね。」

 「イリス、よかったですね。森に行ってもいいんだって。」

 「お姉様・・・また手伝ってくれますか?」

 あなた、賢者でしょ?そこまで私を頼りますか・・・私を好きなのはわかりますが、あなたの前世はなんだったのですか・・・まさかロリコンとかじゃないでしょうね・・・前世も女の人ですよね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る