File007.冒険者登録

 お父様とお母様に連れられて冒険者ギルドに来ています・・・成人してからしかギルドには登録出来ないと思っていたのですが、どうやら違ったようです。

 成人が目安であって、冒険者からの推薦などしっかりとした後ろ盾などがあればそれ以前でも出来たようです・・・

 お父様もお母様も冒険者ですから父兄同伴で問題ないようです・・・


 「アインさんとエリザベスさんの娘さんだからと言って試験がなくなるわけではありませんからね・・・」

 「もちろんだ、しっかり見てやってくれ。」

 お父様、出来れば手加減してくれるようお願いしてくれませんか・・・

 「それでは、アリスさんとイリスさん裏の練習場までお願いします。」

 「「はい。」」

 やっぱりハモりますね・・・双子ですし・・・タイミングもバッチリです。



 「どちらが先に試験を受けますか?」

 試験とは言っても、最低限の強さがあるかを試すだけのようです。教官と手合わせすればいいようです。

 「それじゃあ、私から・・・」

 先にやってしまいましょう・・・面倒なことは先にやってしまうに限ります。

 「お姉様、私が先にやる・・・」

 あっ・・・割り込まれました・・・仕方ないですね・・・

 「いいわよ、それじゃあイリスが先ね。」

 私は妹に優しいのです。


 魔法使いは魔法を使ってその威力を見るだけですか・・・イリスは賢者ですし大丈夫でしょう・・・

 「大いなる炎よ、礫となりて敵を燃やし尽くせ・・・ファイヤーボール。」

 イリスのファイヤーボールですね・・・んっ?しょぼいですね・・・森で使ったときにはもう少し威力があったように思いますが・・・

 試験管の人が難しい顔をしてますね・・・やっぱりしょぼかったのでしょうか?


 「それでは次はアリスさんですね。私が剣の相手をしますので打ち込んできて下さい。」

 「お願いします。」

 何回か打ち込みますが、剣が軽く感じますね・・・木剣だからでしょうか・・・

 「はい、いいわよ。」




 「アリスさんは問題ありませんね・・・イリスさんは・・・まだ、ちょっと早いかしら・・・」

 「えっ、そんな・・・今日はちょっと調子が悪かっただけで・・・」

 「冒険者は危険と隣り合わせですからね・・・」

 「あ、あの・・・もう一回だけ・・・お願いします・・・」

 泣きの1回というやつですか・・・

イリスは冒険者になりたがっていましたからね・・・

 「仕方ありませんね。もう一回だけですよ。」


 「イリス、もっと力を抜いて。森で使ったときはもっと上手に使えたでしょ?」

 「お姉様・・・」

 落ち着いてやれば大丈夫なはずです。だってイリスは賢者ですから・・・



 「最初からこのくらい使えていれば普通に合格ですよ。ちょっとムラがあるみたいなので、気をつけて下さいね。2人とも合格でいいですよ。」

 結構甘いですね・・・お父様とお母様のおかげもあるのでしょうか・・・なんにせよ、イリスは帰ってからお母様の補習でしょうね・・・お母様はとてもすごい魔術師のようですから・・・ちなみにお父様は剣士ですよ。とても強いのだそうです。



 今日から冒険者です。まだ見習い、Eランク冒険者ですが・・・冒険者カードもまだ紙です・・・Dランクになると初めて金属製のカードになるのだそうです・・・

 「2人とも無理はするんじゃないぞ。」

 「「はい、お父様。」」

 「あとは、2人の装備を買いに行かなくちゃね。装備はしっかりした物を選ばないといけませんよ。」

 お母様は装備にこだわりますね。確かにしっかりとした物を使うことは大切だと思いますが、冒険者になりたての私達にはお金がないのですよ・・・

 「最初の装備くらいは父さんが出してやるからしっかりした物をそろえるんだぞ。」

 出してくれるのですね。親ですから当然なのですか?でもちょっと甘いのでは・・・



 「イリスの装備は私が見立ててあげるわね。」

 イリスの方はお母様が見るのですね。魔法使いですからね・・・お父様が見るより良いのでしょう。私の方は・・・

 「アリスは自分で選びなさい。」

 「えっ・・・自分でですか?」

 「ああ、しっかりした物を選ぶのも冒険者として必要なことだぞ。」

 正論です・・・あまりに正論なので反論が出来ません・・・でも、冒険者になりたての人に言うことでしょうか?可愛い娘に言う言葉ですか?

 「わかりました・・・頑張って探してみます・・・」

 値段だけ見て買ってやろうかしら・・・少しだけそんな思いもありましたが、鑑定眼を使って良い物を選びましょう・・・身の丈に合った良いものをです。



 私が選んだのはショートソードと、ブレストプレート、あとはガントレットです。

 「お父様、これにします。」

 「どうして盾を選ばなかった?」

 「私にはまだちょっと大きいみたいなので代わりにしっかりしたガントレットを選びました。」

 「それでも盾は持って置いた方がいいな。」

 お父様は小ぶりなバックラーを選んでくれました。ガントレットも少し軽めの物に交換されましたが、全体的に見てバランスはいいですね、さすがお父様です。

 「アリスは物を見る目があるのだな。ちゃんと良い物を選んでいる。」

 褒めてくれますよ・・・ちょっと嬉しいですね。頭を撫でてくれるのはいいのですが、ゴリゴリやらないで下さい、ちょっといたいですよ・・・

 

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