File020.専属護衛
今日はイリスもすんなり起きてくれたので、薄めのスープと柔らかいパンで朝食です。
「お姉様、これからはもう少し美味しいものを用意しましょうね。」
「そうね、そのためにはちゃんと稼がないとね。」
そうです、稼がないと美味しいものは食べられないのですよ。本当なら町までの移動だって護衛の仕事をしながらがよかったのですが、私達くらいではまだ護衛は無理っぽいです。もう少し経験を積んでからと言われました・・・
さて、出かける前にイリスの髪を梳かしてあげましょう。櫛通りがいいですね。これでしっかりとシャンプーとかしていたら、つやつやになるのでしょうね・・・シャンプーってこの世界にはないですが、椰子の実の油とか使ってましたよね・・・探してみましょう・・・イリスに使ってあげたいです・・・もちろん私も使いますが。
そろそろ出発しましょうか。昨晩色々話を聞きに行った結果、野営地はほぼ等間隔に設置されているとの事でした。まぁ、同じくらいの時間で移動できないといけませんからね。今回は昨日より少しゆっくりめに進んでも大丈夫なようです。
「イリス、そっちは片付いた?」
「はい、馬も準備できてます。」
私も最後にテントをしまって出発の準備はできました。
「ちょ、ちょっと待ってくれないか?」
昨日色々話を聞いた商人さんですね・・・何でしょうか?
「はい、何でしょうか?」
「お嬢ちゃん、アイテムボックス持ちかい?」
「ええ、持ってますが・・・」
悪い人ではないと思いますが、アイテムボックス持ちを狙う輩もいると聞きます。うかつでしたでしょうか・・・
「ああ、警戒しないで欲しい。少しばかりお嬢ちゃん達と縁を持ちたいと思っただけだ。よかったらうちのキャラバンと一緒に移動しないか?」
「それはすごく助かりますが、私達と縁を持つというのは?」
とりあえずはこの商人さんと一緒に行動する事しましょう。いくら街道とは言え魔物は出るのです。大勢で移動した方が楽に決まってます。
「お嬢ちゃんのようなアイテムボックス持ちと縁を持っておきたいというのは商人なら当然の事だよ。」
本当なら自分の所の店で働いて欲しいそうなのです。私達が冒険者だという事なので、今後専属の護衛をすることを検討して欲しいそうなのです。私達はまだ幼いので今後に期待と言うことで声をかけたそうです。
「そう言うことだったんですね。私達もまだまだ経験を積まないといけないですからね。」
「もしよければしばらくうちの店で働かないか?もちろんお嬢ちゃん達の都合を優先してだ。護衛はできなくともキャラバンに帯同してくれるだけでいい。」
なるほど私がいれば、その分商品を持って移動できると言うことですか・・・
「イリス、どうします?いい話だとは思いますが、2人のことだから・・・」
「お姉様にお任せします。私もいい話だと思いますから。」
「えっと、もしできればお店で働くのではなく、ギルドを通しての依頼にして頂けると助かります。」
「なるほど、お嬢ちゃん達は冒険者だったな。ギルドを通せば実績になると言うことか。」
「はい。しばらくの間はえっと・・・」
「ザナックだ。まだ名乗っていなかったな。」
「あっ、すみません・・・私はアリスで、この子が妹のイリスです。」
イリスがちょこんとお辞儀をしてます。
「アリスとイリスか。よろしくな。」
「はい、しばらくはザナックさんの所の依頼を優先して受けさせて頂きます。それでいいですか?」
「ああ、そうしてくれると助かるな。」
特に期限は決めてませんが、優先的にザナックさんのキャラバンに帯同するということにしました。これで定期的な収入とギルドでの実績が手に入ります。
その後はザナックさんのキャラバンと一緒に移動して、私達も護衛対象として守って貰いました。護衛の依頼を受けたパーティの皆さんにマスコット的に扱われたのは仕方ないです・・・まだ、14歳で成人は来年なのですから・・・
男女2名ずつの混成パーティです。リーダーのマーキスさんとロッドさんが前衛で、エマさんとキティさんが後衛のようです。エマさんとキティさんはどうやら姉妹のようです。
結構仲良くなりましたよ。特にエマさんとキティさんには可愛がられましたね・・・抱っこしてあげるとか・・・私達そこまで子供じゃないんですけど・・・
町までの道中、1回だけ魔物と遭遇しました。マーキスさんとロッドさんがあっさり倒してしまいましたが・・・まぁ、ゴブリンでしたし・・・
他の人もいたので、クリエイトの続きはできませんでしたがそれ以上の収穫もありましたのでいいでしょう。
「お姉様、町に着いたらとりあえずギルドでオークを売って、良い宿に泊まりましょうね。」
「そうですね、ギルドで簡単な依頼などもチェックしておかないとね。」
「あら、アリスちゃん達はオークも倒せるの?」
エマさんに聞かれていたようです・・・
「ええ、なんとか倒せるといったところです・・・」
「そのオークもアイテムボックスの中?」
「はい・・・」
「ねぇ、アリスちゃんもイリスちゃんも私の妹にならない?それでこのパーティに入りましょうよ。」
パーティに入るのと妹になるのって関係ありますか?それに妹になるって何でしょうか・・・分かりませんよ・・・
「え、エマさん・・・その、妹って言うのは?」
「欲しかったの・・・可愛い妹が。キティはね嫌がるのよ・・・頭撫でたりすると・・・」
なるほど・・・それであんなに抱っこしてあげるとか、撫でてあげるとか言ってきたのですか・・・キティさんも妹が欲しかったのでしょうか・・・エマさんと行動が似てましたが・・・
「えっと・・・考えておきます・・・」
多分考えても妹にはなりませんけど・・・とりあえず逃げる為には仕方ありません・・・
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