File019.薄味のスープ
「イリス、朝ご飯ができたわよ。そろそろ起きて。」
「ううん・・・あとちょっと・・・」
あとちょっとじゃないでしょう・・・すぐ起きられるようにしておかないと知りませんよ・・・
「ちゃんと起きてください。」
「ん・・・おはよう・・・お姉様・・・」
「ほら、髪の毛が刎ねてるでしょ・・・ちゃんとしなきゃ・・・」
軽く櫛を入れてあげましょう・・・木の櫛ですがあまり綺麗な物ではないです・・・安物ですし、引っかかりもあるます。クリエイトで作りましょうか・・・つげ、象牙、鼈甲その辺りの物なら作れそうな気がします。せっかくなのでいい櫛を使ってあげたいじゃないですか。
「お姉様、ありがとう・・・」
そこまで照れる事ではないでしょう・・・
この村から町までは約2日・・・途中は野宿になります・・・中間地点ほどに野営地があるとは聞いていますが、野宿である事には変わりないのです・・・今回はよい予行演習でした。
「さて、そろそろ出発しましょう。」
「はい、お姉様。」
「ちょっとだけ早めに行くわよ。」
「えっ、どうしてですか?」
「途中にある野営地と言われるところで休みたいからよ。」
「そういえば途中にあるとは聞きましたけど、どこかまでは聞いていないですものね。」
「そう言う事。だから早めに移動してそこに辿り着きたいの。」
ちょっと、馬には無理させてしまうかもしれませんが、頑張ってもらいましょう。途中休憩の時にはニンジンをあげましたよ。頑張ってくれているのでご褒美です。
「イリス、何じっと見てるの?イリスもニンジン欲しいの?」
「い、いえ・・・そう言うわけでは・・・ご褒美貰えていいなって・・・」
最後の方はよく聞こえませんでしたが違うという事でいいのでしょう。
日が傾いてきた頃に野営地に着きましたね。ちらほらと馬車などが集まりかけています。私達も邪魔にならないような所で休ませて貰いましょう。
「お姉様、テントをお願いします。」
「わかったわ、出しておくから馬をその辺につないできてくれる?」
手際よく作業を分担して設営してゆきます。設営と言ってもテントをアイテムボックスの中から出すだけですけど・・・
さて、ちょっと早めですが夕飯の準備をしましょう。夕飯くらいイリスにお願いしてもいいのですが、少しでも美味しい物が食べたいのです。別にイリスが料理下手だと言っているわけではないのです。私の方が上手いだけです・・・
「お姉様・・・今日も味の薄いスープですか・・・」
「今日はオークのお肉を少し入れたから昨日よりは味が付いてるわよ。」
「えっと・・・お塩とかは?」
「それほど買ってこなかったでしょ?」
「それはそうですけど・・・」
「明日の夜が味無しのスープでよければもう少しお塩を入れますよ?」
「ごめんなさい、薄味のスープでいいです・・・」
次の町ではお塩を少し多めに買っておきましょう・・・少し高めではありますが、この薄味のスープを考えれば買っておくべきでしょうね。
さて、お待ちかねの夜です・・・クリエイトの時間です。今日はお試しでつげの櫛を作りましょう。いつもイリスの髪の毛が刎ねてますからしっかりと梳かしてあげたいのですよ。女の子なんですから身だしなみにも気をつけて欲しいのです。
ではクリエイトのスキルを使ってつげの櫛を作ります。
「あれっ・・・思ったより消費魔力が高くありませんね・・・もっとごっそり持っていかれると思ったのですが・・・」
手元には綺麗な櫛があります。自分の髪の毛を梳かしてみましょう・・・櫛がすっと入ります・・・高級品はこういった感じなのですね・・・プラスチックの櫛ばかりでしたからね・・・
魔力もまだ残ってますので、本命の方も頑張ってみましょうか・・・片手でも使える物がいいですね・・・将来的には弾倉を付けたいところですが、最初は簡単な構造がいいです。弾の入れやすさを考えると中折れ式でしょうか・・・バレルも切り詰めてハーフサイズくらいにしましょう・・・近距離でしか使いませんからね、命中率はとりあえず無視します。
まずは一気にやってみましょう。櫛があまりにも消費魔力が少なかったのでこれもできるのではないかと思ってしまいます。
ダメですね・・・一気に魔力を持って行かれました・・・ちょっと動くのが辛いくらいです・・・ほぼゼロと言ったところでしょうか・・・確かに魔力を半端なく消費しますね・・・
出来上がった物は・・・出来上がってませんね・・・作りかけといった感じです。あれだけ魔力持って行ってまだ出来上がらないのですか・・・明日も挑戦ですね・・・
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