File014.氷結魔法

 森の奥には行かないようにと釘を刺されましたからね、浅めの所で、ゴブリン狩りでしょうか・・・耳を持っていけばいいので簡単な依頼です。前世の記憶だけだったら絶対に無理ですね・・・耳をナイフでそぎ落とすんですよ・・・アリスの記憶があるおかげでなんとかやれている感じです。


 「イリス、ゴブリンでも狩りに行きますか?」

 「はい、お姉様。」

 「またオークが出るといけないので、注意してくださいね。」

 「任せてください。索敵魔法を覚えましたから、今回からはイリスにお任せです。」

 索敵魔法ですか。頼りにしてますよ。




 頼りにするつもりでした・・・索敵範囲が狭すぎます・・・私が気がつく方が早いじゃないですか・・・まだレベルが低いから仕方がないですか・・・頑張ってくださいね・・・

 「イリス、ゴブリンがいますよ。1匹みたいです。」

 「お姉様、今度は私に任せてください。新しい魔法を覚えたんです。」

 「ちなみになんていう魔法?」

 「ヴォルテックスランスという魔法です。」

 「却下です・・・私が切り込みますので補助魔法をお願い。」

 「むぅ~わかりましたぁ・・・」

 ヴォルテックスランスって炎系の魔法でしたよね?森を焼くつもりですか・・・




 こんな感じで、3匹ほどゴブリンを倒しました・・・今日は1匹で行動するゴブリンが多いようですね・・・助かります。


 「イリス、ちょっと待って・・・」

 「どうしたんですか、お姉様。」

 「向こうに4匹いるみたい。少し戻るわよ。」

 「4匹だと厳しいものね。」

 イリスもわかってきてくれたようです。



 「イリス、ストップ・・・囲まれたみたい・・・」

 「前に3匹、後ろに4匹よ・・・」

 「私がスピードをかけるからそれで逃げられないかな・・・」

 「正面の1匹を倒してそのまま走って逃げましょう・・・」

 「私とお姉様にスピードをかけますね・・・」


 イリスの魔法を待ってから急いで走り出します。正面の3匹・・・オークですか・・・よくよくブタと縁があるようです・・・

 「イリス、右に行って!」

 「はい、お姉様。」

 私も同じ方向に走り、狙うのは真ん中のオークです。そうすればイリスに向かうのに少しだけ時間が稼げるでしょう。

 「スラッシュ!」

 走りながら武技を使いましょう。オークなら一撃で倒せますが、少しだけ硬直があります。私にオークの攻撃が集まるでしょうが、イリスは逃げられるでしょう。


 「お、お姉様・・・早く・・・」

 「イリス、さっさと逃げなさい。すぐに追いつくから・・・」

 ダメでしょうね・・・後ろから4匹が近づいてきます・・・6対1ですか・・・分が悪すぎますね・・・

 「イリス、誰か人を呼んできてちょうだい!それまでなんとかするから・・・」

 なんともなりませんよ・・・6匹相手じゃ厳しいです・・・



 「お姉様、逃げて・・・深遠なる闇よ・・・」

 イリスの方にオークが2匹向かいました。呪文が完成するよりオークの攻撃の方が早いです・・・

 バカ・・・そんな長い呪文唱えて・・・間に合わないじゃない・・・もう隠したり出来ませんね・・・私も魔法使っちゃいましょう・・・

 「ダメ!みんな凍っちゃえ《アブソリュート》!」

 使っちゃっいました・・・イリスの目の前で・・・周りぜーんぶ凍っちゃったみたいね・・・イリスと私除いて・・・

 イリスになんて言われますかね・・・

 「お姉様・・・全部凍っちゃってますね・・・」

 「そうね、凍っちゃったわね・・・」

 「お肉・・・売れますかね・・・」

 はい?・・・そこですか・・・私が魔法を使ったとか、この広範囲の氷結魔法とかじゃなくて、お肉が売れるかどうかですか・・・



 イリスが無事なのを見たら気が抜けちゃいましたよ・・・

 「お姉様、魔法が使えたんですね・・・」

 「うん・・・」

 「私より上位の魔法ですよね・・・」

 「そうね・・・」

 「ずっと隠してたんですか・・・」

 「ちょっと前からかな・・・」

 「・・・・・・・・・・」


 しばらくは何も話をせずに家に帰りました・・・イリスが助かったから良しとしましょう・・・私は・・・1人で旅にでも出ましょうか・・・明日の朝にでもこっそり出かけましょう・・・

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