File064.ゴブリンキング

 翌朝、マーキスお兄ちゃんが普通に起きてきていたので、エマお姉ちゃんに話したゴブリンのことを話しておきましょう。

 「マーキスお兄ちゃん、エマお姉ちゃんには話したんだけど・・・」

 「ああ、ゴブリンのことか?」

 聞いていたんでしょうか?でしたら話は早いですね。

 「はい、結構たくさんの討伐依頼がでてたんで気になったんです。」

 「ギルドでも話があったよ。時間があれば調べて欲しいってな。」

 「集落でも出来たんでしょうか?」

 「かもしれんな、ロードや、キングとかがでてきていなけりゃいいが。」

 ロードとかキングって実際にいるんですね。ゲームの中だけかと思ってました。

 「ロードやキングがいるとまずいんですか?」

 「ゴブリンはもともと群れる性質があるが、軍隊のように行動するようになる。そうなるとちょっとやっかいでな。」

 なるほど、作戦とかたててくるのでしょうか?てんでバラバラに攻撃してくるゴブリンなら少しくらい数がいても知れてますが、組織だって来ると数がいると怖いですね。

 「次のお仕事はゴブリン退治ですか?」

 「たいした仕事じゃないし、本来なら俺等が受けるような依頼じゃないんだがな。」

 「じゃあ、受けないんですか?」

 「今回は仕方ないだろうな。めぼしいパーティは見んなワイバーンの方に行っちまってまだ帰ってきてないからな。」

 なるほど、一攫千金を夢見てワイバーンを狩りに行ったんですね。私達が3匹とも狩っちゃいましたけど。



 準備もあるんで3日後に出発と言うことになりました。そんなわけで、私はキティお姉ちゃんとお買い物です。

 買い出しは私のお仕事に定着ですね。アイテムボックスは便利すぎます。パーティーの食料を一手にまかないますからね。みんなの胃袋もしっかりにぎってますけど。おにぎりがえらく気に入ったようでしたから。

 あれから精米機も作りましたよ。精米機と言っても手動で拡販させるだけの物です。玄米がこすれ合って精米できるあれです。物が簡単だったせいもあって1日で出来てしまいました。これで毎日お米が食べられます。

 「アリスちゃん、またお米をたくさん買っておくの?」

 「ええ、今回は精米が楽になったので、おにぎりも作りやすいですから。」

 「じゃあ、遠慮無く食べられるわけだ。」

 えっ、いつも大きめのおにぎりを2個食べてましたよね、遠慮してあれですか?

 「キティお姉ちゃんはいくつくらい欲しいんですか?」

 「3個くらい食べられるといいかなぁ。あっ、でも今度はもっと美味しく食べられるとか言ってたわよね?だったら4個くらい食べられるかも。」

 食べ過ぎじゃないですか?魔法はエネルギーを大量に消費するから食べ過ぎくらいがちょうどいいのですか。本当ですか?私もイリスもそれほど食べませんよ?



 「今回は集団との戦闘になるかもしれないから、矢を多めに用意しておきたいの。それも預かってくれる?」

 「はい。いいですよ。なるべく近づきたくないって事ですか?」

 「そうよ。数が多いからね、囲まれたりするとまずいのよ。」

 確かにそうですね、遠距離でのヒットアンドウェイですか。確かに確実ですね。近づかれたりしたらマーキスお兄ちゃんとロッドお兄ちゃんの出番というわけですね。

 「今回はイリスちゃんに頑張ってもらわないとね。」

 「そうですね、イリスは攻撃魔法が大好きですからね。」

 「そうなの?何でも出来そうな感じなんだけど。」

 ええ、きっと何でもできるんだと思いますよ。大賢者ですからね。でも攻撃魔法が大好きなのは間違いないですね。

 「イリスは火力バカですから。」

 「そんなこと言ったら可愛そうじゃない?」

 「いえ、いいんですよ。このくらい言ってやらないと本当に攻撃魔法しか使わないですから。」

 「それはそれで困りものね。支援魔法って大切だものね。」

 そうなんですよ、支援魔法をあまり使わないんですよね。なんとか改善して欲しいものです。



 「ただいま戻りました。」

 「お姉様、お姉様。イリスのこと褒めてください。」

 「褒めてって、何かしたの?」

 「いくつか魔法を思いだしたんです。」

 それはいいことですね。ただ、何を思いだしたかですよね。

 「ちなみに何を思いだしたの?」

 「炎系の極大呪文と雷系の極大呪文です。」

 どこで使うつもりですか。それにいきなり極大呪文って、その間はどうしたんですか?そもそも雷系統の呪文は使えなかったはずでしょう。唯一使えるのが極大呪文って、どういうことですか?

 「極大呪文以外のは?」

 「極大呪文しか思い出せませんでした。」

 使えませんね。本当に大賢者でしょうか?ポンコツ賢者の間違いじゃないでしょうね。

 極大呪文が使えるのですから大賢者なのでしょうが、それしか使えないというのは問題ですね。

 「雷系統の呪文を全て思い出せたら褒めてあげます。それまではダメですね。」

 「えぇ~、せっかく思い出したから褒めて貰おうと思ったのに。」

 「魔法使いギルドで色々教えて貰ってきたら?」

 「知ってるのに教えて貰うだなんて、お金がもったいないです。」

 知っていても使えないあなたの方がもったいないですよ。

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