概要
『アリアの書』は希望の光か。あるいは破滅の罠か。
目を開けると、上から覗き込んでいたのは、見知らぬ男。
「……どちら様?」
たずねると、笑みを浮かべかけていた男の顔が、たちまち凍り付いた。しかし、そうはいっても。
最初に「あらっ」と驚きの声を発したらしき、ふっくらした腰つきの中年女性も、目の前にいる、栗毛の三十半ばくらいの男性も、後から駆け込んできた、三十すぎくらいの、茶髪の女性にも、まったく見覚えがないのである。
記憶喪失かしら、と本気で考えた。けれども、記憶を失っているならば、自分が誰かも分からぬはず。
己のことは、ちゃんと覚えていた。
ロザリア王国の魔術師で、王国の長い歴史の中でも、随一といわれる魔力量の持主で。
賢者の称号まで持っていて。
けれど、美人(自分でいうか!)薄命。過ぎた魔力故に、二十を超えた頃には、体はもうぼろぼろで。
「……どちら様?」
たずねると、笑みを浮かべかけていた男の顔が、たちまち凍り付いた。しかし、そうはいっても。
最初に「あらっ」と驚きの声を発したらしき、ふっくらした腰つきの中年女性も、目の前にいる、栗毛の三十半ばくらいの男性も、後から駆け込んできた、三十すぎくらいの、茶髪の女性にも、まったく見覚えがないのである。
記憶喪失かしら、と本気で考えた。けれども、記憶を失っているならば、自分が誰かも分からぬはず。
己のことは、ちゃんと覚えていた。
ロザリア王国の魔術師で、王国の長い歴史の中でも、随一といわれる魔力量の持主で。
賢者の称号まで持っていて。
けれど、美人(自分でいうか!)薄命。過ぎた魔力故に、二十を超えた頃には、体はもうぼろぼろで。
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