回想〜秘密特訓で……
真紅郎はウサギと対峙するにあたり、改めて克服したときの感覚を思い返す為、メルとの秘密特訓を思い返していた。
◇
夕食を取り終えた真紅郎とメルは部屋へと戻っており。
お互いベッドに腰掛けながら話は夕食の時の話題になっていた。
「そのお聞きしてもよろしいですか? 旦那様がウサギが苦手になった理由」
メルが遠慮がちに真紅郎に尋ねる。
「ああそれは、冒険者として駆け出しの頃で御座った。剣の腕には自信があった拙者は慢心していたのだ、ダンジョンの本当の恐ろしさも知らずにな……その時に出合ったで御座るよ、迷宮の
真紅郎がそこまで話した時、突然ギュッと抱きしめられる。
「よほど辛い思いをされたのですね。全く同じとは言えませんが分かります。助けたい人を助けれることが出来なかった悔しさは、私も……」
メルは何かを思い返すと共に真紅郎を抱きしめる力を強める。
真紅郎も言葉に出来ない何かを察したのか強く抱きしめ返す。
そうしてしばらくの時間、慰め合うように抱きしめ合っていた二人。
安らぎの時間をいつまでも身を浸していたい気持ちを奮い立たせてメルが真剣な眼差しで告げる。
「旦那様。事情は分かりました。そして、助けられなかった仲間の為にも、旦那様はトラウマを克服しなければならないと実感しました。同じ悲劇を二度と繰り返さないように」
「うむ、そうであるな…………でっ、その拙者の苦手を克服するための重要なアイテムが【ばにーすーつ】とやらで御座るな」
「はい、ダンジョンで手に入れたレア装備でして、アデルに押し付けられた時は顔を顰めました。なにせ人前で着るには少々恥ずかしすぎるので……でも旦那様だけに見てもらえるなら」
そう言ってメルは覚悟を決めると、【
「…………」
予想していなかったメルの姿に言葉を失くす真紅郎。
メルは恥ずかしいらしく俯きながら、チラチラと真紅郎を見て尋ねる。
「あの、そのどうですか私の姿は……やっぱり恐ろしく感じますか?」
メルの問い掛けに真紅郎は息を呑む。
確かに淡青色の髪の間から伸びた長く黒い耳と尻尾の部分にあしらわれた白いモフモフした毛玉は、確かにウサギに見える。
しかし、それ以外はというと、なぜか首にはカラー付きの蝶ネクタイ。
特にメルのスタイルの良さがハッキリと分かるほどピッタリとした黒いスーツは大胆なほど角度の付いたハイレグレオタード、足は網目の細かい黒タイツ。
そして肝心の胸は、ショルダーレスでメルの豊満な胸を、下乳を覆うカップだけで支えている。
そのため真紅郎からすれば今にも零れ落ちそうで気が気でない。
「その、何と言うか、色々な意味でドキドキ感が止まらないで御座るよ」
真紅郎としてはウサギっぽい部分に恐怖を感じるのは間違いない。
しかしそれ以上にメルの姿が魅力的過ぎて自分の中の狼が目覚めそうなのを自覚する。
「あの、問題ないようなら、まずはウサギに慣れてもらいますね」
メルはそう告げると真紅郎にくっつくと、スリスリし始める。
真紅郎はというと、ウサ耳が頬をくすぐる度に恐怖で身が縮こまり、冷や汗が流れる。
しかし、それとは別のたわわに弾む胸の感触が、心を軽くし、幸せな気持ちとなり気持ちを楽にしてくれる。
正に飴と鞭ならぬ、ウサギとオッパイの狭間で揺れ動く真紅郎。
「旦那様。大分慣れてきたようですね。次はウサギさんの責めに耐えてもらいますね」
メルは少しだけ楽しげに微笑む。
真紅郎は完全にメルに翻弄されてしまっていた。
「なっ、何をするつもりで御座るか?」
「決まっています。ウサギさんの好物といえば人参。ですから旦那様の持っている人参さんをハムハムしちゃいます」
そう言ってメルが真紅郎の腰の位置に屈む。
メルの感情に合わせるようにピョコピョコと動くうさ耳。
合わせて頭も前後にも動き始める。
自身の人参をパクパク、ハムハムされているうさ耳の恐怖より、絶妙な感触に思わず声を上げそうになる真紅郎。
しかし、そこはグッと堪えると何とかバニーなメルの攻撃を耐えきる。
「ふっふ、さすがは旦那様てす。じゃあ今度は旦那様の番ですよ、勝手に人参をパクパクした悪いウサギさんにお仕置きタイムです」
そう言ってバニーメルは後ろを向くと誘うようにお尻をフリフリする。それと共に白いモフモフが揺れる。
恐怖の対象であるはずのウサギの尻尾。
しかし、限界を超え自身の獣を解き放ち狼となった真紅郎に怖れは無かった。
もうフリフリと揺れる白い尻尾は獲物にしか見えず、後ろから覆い被さるようにバニーに襲いかかるとその牙を突き立てる。
「いゃん。旦那様がケダモノに〜」
後ろから強引に襲われたのにも関わらずメルは愉しそうに声を上げる。
しかしメルは予想していなかった。ケダモノと化した真紅郎のお仕置きの凄まじさを。
「ぁう……いぃぅ、旦那様、もうダメぇでしゅうぅぅ」
真紅郎からの突き上げで何度もピョンピョンと跳び上がり、何度も頭を真っ白にされ、敏感な体は、もう自分ではコントロール出来ずに痙攣が止まらないメル。
色々見えてはいけない所がはだけたバニー姿のまま、息も絶え絶えに真紅郎を虚ろに見つめる。
ようやく落ち着きを取り戻した真紅郎が、メルの痴態を見て状況を悟る。
「済まぬ。余りにもメルが愛らしすぎて我を忘れてしまったようで御座る」
「いえ、わたしがぁ、わたしが悪いんですぅ。すごかったです……もう悪いウサギさんはぁ、見事に旦那様によって成敗されてしまいましたぁ」
蕩けた表情で白旗を上げるメル。
言葉通り真紅郎は落ち着いた状態でも、バニー姿のメルに恐怖は微塵も感じなかった。
つまりメルの身を挺した作戦は功を奏し。
見事、真紅郎は悪いバニーちゃんを退治し、苦手を克服したのだった。
……まあ実際、真紅郎としては本当に克服できたかどうかはまだ半信半疑であったが。
―――――――――――――――――――
◇
読んで頂きありがとう御座います。
少しでもバニー姿のメルさんに心を動かされましたら評価してもらえると嬉しいです。
次のシチュエーション……じゃなくてモチベーションにも繋がります。
☆でも☆☆でも構いません。
もちろん☆☆☆を頂けたらピョンピョン喜びますので、どうかよろしくお願いします。
――――――――――――――――――
アイテム解説
【バニースーツ】
等級:レア
特性:魅力強化/幸運倍増
幸運の兎の力を秘めた魅惑的なスーツ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます